日本人が長らく信じていた根性論が、現代の若者世代には受け入れられなくなってきている状況を調査したので分かったことを報告します。
若者の3割が「努力は報われない」
- 20代~30代の若者の回答で、「努力しても報われない」が約3割に上った
- 日本の将来・経済には楽観的な考えをもっているが、その反面、自分自身の生活は変わらず努力も報われない、という若者心理が本調査で浮き彫りになった
2013年10月から12月にかけて回答調査し、情報・システム研究機構「統計数理研究所」が発表した「日本人の国民性調査」より
仕事にやる気どころか「働きたくない」若者が3割も
- 調査の結果、若者の約3割(29%)が「できれば働きたくない」と回答
- 働く理由として、最多の回答が「安定収入のため」で69%
- 若者が「仕事は生活のため」と割り切るようになってきている、という傾向が強まっている
2015年、電通の調査より
「努力の限界」を指摘した正論を話すと日本では炎上する
400mハードル日本記録保持者の為末大さんが、twitterで、「努力が通用しない世界」についてメッセージ投稿をしたところ、努力の有効性を信じる日本人ユーザー達からの反論をあびて炎上してしまった。
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日本人に、努力を信じる人・根性論者で構成された旧い世代がいまだに多く残っていることを象徴している事件だといえます。
アスリートもまずその体に生まれるかどうかが99%。
そして選ばれた人たちが努力を語る。
やればできると成功者は言うけれど、できる体に生まれる事が大前提」
2013年10月28日、為末大さんのtwitterでの発言
- 努力が報われないなんて発言は、身も蓋もなさすぎる
- 努力している人達に失礼
- 指導者の立場としては、努力は報われると言うべき
- 為末さんは、本当のことを言いさえすれば成功者の義務を果たせると思っている
- 努力することに意義はある
- オリンピック選手になるのは非常に困難で、努力よりも、まず才能と環境が必要となる
- 人生の前半は「努力で夢は叶う」で良いが、人生のどこかで自分を客観視できないと、成功できない自分=努力不足のせいと考えるようになり、努力原理主義者になってしまう
- 努力原理主義者は、成功できない自分を許せなくて、何かを呪って生きていくことになる
- 「がんばれ」より、「よく頑張ったねもう十分だよ」の方が報われることが多くなると思う
なぜ日本人は努力と根性を信奉してばかりなのか?
簡単に言うと、
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日本人は「問題」と「自己の感情」を切り離して物事を合理的に考える能力が乏しくて、どうやっても達成不可能なような課題について、それを淡々と「これは無理だ」と判断せずに「無理なのは挑戦者の根性と努力が足りないからだ」と思い込みやすいため。
(論理的にどうすれば良いのか分からないのでいきおい頑張れ、根性が足りない!としか言えない)
ネット掲示板上などで
「若者が貧乏なのは努力が足りない」「うつ病は甘え」「努力ができない性格っていうのは甘え」
などといった論理性を欠いた根性論寄りの趣旨のコメントを見かけたら、「ああ、これが日本人か」と理解するための一助になります。
「頑張らない生き方」を模索し始めた、現代の若者達
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かねてより、日本企業の劣悪な労働環境は折に触れて問題視されてきましたが、2015年12月に、電通の社員で、東大出身の女性の方が過労を苦にして自殺してから、それをきっかけにして日本の労働環境問題がはっきりと社会に認知されるようになりました。
twitterのような各人が自由に発言できるSNSをのぞいていると、激務薄給で社員を使い倒そうとする多くの日本企業に反発するメッセージ・日本の労働環境の悪さをなげくメッセージが多く見られます。
若い世代が、これまでのようにがむしゃらな根性で働くよりも、「企業経営者による不当な搾取を拒絶し、ゆったりとした人生を目指す」方向へ考え方を変えてきているように感じられます。
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