近年、なりたい職業として大人気の、声優という仕事につきまとう3種類の異常な難しさの解説です。
1「声優は生まれが9割」
まず第一に、多くの人が勘違いしている「努力すれば必ず報われる」という思い込み。「努力を重ねれば誰もが声優になれる!」という努力論は、こと声優業については根本的に間違っているということです。
プロの声優の力を1000と数値化するとして、1日努力して1の力が貯まる…だから1000日…およそ3年努力すれば自分もプロの声優になれる!!…こういう単純計算的な考え方は大間違いです。
誰もがこんな順調に能力向上が続くはずもなく、人によっては200の段階で上に上がるための階段が途切れて200から上がれなくなる、
人によっては700の段階で次の階へ続く扉がどこを探しても見当たらない…。こういうことが起こります。
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いわゆる「越えられない壁」というやつです。
非常に残酷な話で申し訳ないのですが、芸能・アイドル・声優といった職業は人を魅せられるかどうかが全てだといっても過言ではありません。
犬・猫・ライオン・チーター・タカ・ゾウ・ゴリラといったビジュアル的に人気のある種類の動物に生まれつくからこそ、それらの動物が何をやっても人目を惹くのです。
カメ・カラス・ミジンコ・フナなどなど、不人気の生物に生まれついた時点で何をやっても注目を集めることはほぼありえません。
魅力のある声質に生まれついた人が技術向上の努力を重ねてようやく売れてくるという、生まれ持ったモノが9割を占めるのが声優業界です。
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いくら専門学校で声優の勉強をしても、生まれ持った声質を変えることは不可能です。
しかも最近では、女性声優を「歌って踊れてトークもできるアニメ系アイドル」として売り出すのが一般になってきており、
それこそ努力ではどうにもならない「生まれ持った顔」が重視される傾向が強まっています。
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2「定期的に就職活動を繰り返す生計面での不安定さ」
声優は、声を担当しているアニメが放送終了すると、自動的に無職になってしまいます。
深夜アニメでは一般的な1クール(全12回放送)のアニメで3ヶ月。小さな子ども達に人気の朝アニメは2~4クール続くことも多いのですが、それでも半年~1年程度。
声優は無職になるたびに、自分の声の資質が発揮できるアニメを選んで、プロの同業者とオーディションで戦わなければなりません。当然、オーディションで合格して採用されると決まったわけではなく、むしろ成功確率は低いでしょう。
人気声優ともなれば引っぱりだこで無職期間の心配をしなくてもいいものですが、そんな人気声優はプロ全体の中でもごく一握りです。
とにかく華がある芸能人や女優と違って、無名の声優は文句なしの結婚をして円満引退!ということも起こりにくいと思われます。
3.「目指すも地獄なれても地獄…声優の供給過多事情」
最近の声優業界は、昔に較べて無個性・あまり記憶に残らない声の声優を、短期間で使い捨てるスタイルになってきています。
無個性で代わりが効くから、別にその人でなくてもその時その時で旬の別の人物を使えばいい、という考え方です。
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天賦の声質とかわいい容姿を生まれ持った非常に幸運な人でさえも、たった3年程度で表舞台から消えるほど、声優の新陳代謝・入れ替わりが激しい状況になってしまっています。
声優を目指す過程で地獄の苦労を味わっても、たどり着いた先に待っているのは、ごく一部の本物の人気声優を除いて、ほとんどが地獄のみという現実…。
今はほとんど毎日、深夜にハイクオリティーなアニメを放送している時代なので、「声優になりたい!」と憧れる人が多いのは自然なことですが、
声優はごく一部の声質・技術の天才(それに加えて整った容姿)以外はほとんど良い目を見られない職業…だということを心に刻んでもらいたいと思います。
ネット上で語られる、声優を目指してはいけない理由
声優を目指す前に、腕試しでアイドルオーディションでも受けてみるべき。
毎年毎年その業界で働きたい志望者が大量に押しかけるから、採用側にとっては完全に殿様商売で志望者達を落としまくるし、
ごく一部の上澄みを採用しても安くこき使う。
安易に「声優になりたい!」って考える人が多すぎ。
動機が安易だから、しっかりした覚悟もないし、声優の仕事の不安定さも調べずに遊び感覚で声優専門学校へ行っている。
でも声なら出せるから簡単そうな声優になる!
という人達が声優になりたがっているのが大きな問題。
若さを失って人気の旬が過ぎるとさっさと捨てられる。
声優になることよりも、声優でいつづける方がはるかに難しい。
学費を搾り取るだけ搾り取って、そのあげくに「才能がないからやめた方が良い」と言い渡されて、ひどい。
しかもそれだけならまだしも、専門学校の次に養成所に入れられて二重に搾取される。
プロとしてどうなの?という人が多い。短期間で使い捨てる業界側の意図が見え見え。
さらに声優がたった数年で使い捨ての短命状態になってしまっている。
ベテラン人気声優の大塚明夫が語る、声優の難しい実情
アニメ「攻殻機動隊」のバトー役、「Fate/Zero」のライダー役などの名演で知られる、大人気声優であり声優業界の大御所の大塚明夫氏は、
著書「声優魂」の中で、声優業には抜きん出た才能が必須であることと、声優専門学校の効力に疑問があることを明かした。
その発言内容を要約すると、次のようになる。
- 「新世紀エヴァンゲリオン」の綾波レイ役で有名な林原めぐみさん、「名探偵コナン」のコナン役で有名な高山みなみさんは、ある時突然声優を志し、一気にトップへと躍り出てしまった。
その理由は、幾多の声優志望者達に欠けていて、彼女たちだけが有している「抜きん出た才能」である。 - そして、彼女らのような成功者の声優に憧れて声優を目指す人が多いが、「抜きん出た才能」が欠けているせいで、ほとんどがダメで声優になれない
- 努力だけでもある程度のところまでは届くが、その先の一線を越えるには「才能というパスポート」がどうしても必要。
才能のある人は指導せずに放って置いてもどんどん上手くなるし、才能の無い人は何を教えてもできないまま。 - 声優専門学校は「できない人を、指導と訓練で、できる人へと変える場所」とされているが、大塚明夫本人が現場を見てきた限りでは、そう上手くいかない
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