ある程度の年月、ライトノベルを買い続けている人達なら知っていて当然の超有名作「涼宮ハルヒの憂鬱」。ハルヒシリーズはライトノベルの歴史の流れを大きく変えた作品とされ、深夜アニメの活性化にも貢献したほどです。
涼宮ハルヒの憂鬱とは何がそれほどまでに凄かったのか?ハルヒシリーズがこの世に及ぼした多大な影響を調査したので、分かったことを報告します。
涼宮ハルヒの憂鬱が各方面へ与えた4つの大きな影響
1.ライトノベル業界で「謎部活モノ」という一大ジャンルを作り上げる
女子高校生ヒロイン・涼宮ハルヒと、ハルヒを中心にした団体「SOS団」(世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団、Sekai wo Ooini moriageru tameno Suzumiya haruhiの団→SOS団)をメインテーマにした涼宮ハルヒの憂鬱が大ヒットしたことにより、既存の野球部や吹奏楽部のような部活ではない、「活動目的が不明瞭なオリジナルの部活」が登場するライトノベルが一気に増え、一時期はそれがライトノベル業界の主流となった。
2.やれやれ系主人公の台頭の契機
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本作のヒロイン・涼宮ハルヒのような破天荒でアクティブな人物に巻き込まれる・引っ張られる男主人公のキョン、のような構図のライトノベルが、ハルヒシリーズのヒット後に増えていった。
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ライトノベル業界の流行小説においてヒロインの個性化が著しく進む一方、そんなヒロインにやれやれと嘆息したりツッコミを入れる無個性派の男主人公、という傾向が強まっていく。
3.京都アニメーションによる高品質なアニメ化で深夜アニメが活性化
2000年:7本
2001年:20本
2002年:23本
2003年:41本
2004年:60本
2005年:62本
2006年:93本 ←ハルヒ放送
2007年:75本
2008年:81本
2009年:69本 ←けいおん放送
2010年:57本
2011年:66本 ←まどか放送
2012年:106本
2013年:128本
4.アニメEDのハレハレ愉快ダンスが大流行
アニメEDで、SOS団が全員で歌に合わせて踊る、というキャッチーな試みがヒットし、踊ってみた系の動画アップが盛んになったり、学校の文化祭でハルヒダンスをマネする学生が急増することなった。
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参考:涼宮ハルヒシリーズの華々しい業績
- 小説の第一作である「涼宮ハルヒの憂鬱」が第8回スニーカー大賞「大賞」を受賞
- 2011年6月の時点で、既巻11巻の小説は800万部の売上。
これよりも売れているライトノベルは、「フルメタルパニック!」「とある魔術の禁書目録」「スレイヤーズ」など、ライトノベル全体の中でも10作品に満たない。 - 文庫本が、世界15カ国で、翻訳されて発売されている
- 『このライトノベルがすごい!』2005年版で作品部門1位を獲得。2005年から4年連続でベスト10入りした唯一の作品
- ライトノベル業界の重大な牽引役だったラノベ雑誌「ザ・スニーカー」の看板作品として涼宮ハルヒシリーズが雑誌を支え続けた
作品・涼宮ハルヒシリーズが優れていた点
親しみやすく、人気の出やすい学園モノ、という賢い選択
もともと、ライトノベルは、多くの読者にとって親近感のある現代の学園モノが人気が出やすい、という傾向がある。
人気の出る期待値の高い作品分野を的確に選んだ、ということが、ハルヒシリーズが大人気になった要因の一つ。
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もしもハルヒシリーズの舞台がとっつきにくい戦記モノだったりしたら、ここまでヒットすることはなかっただろう。
思春期の悩みを共有できるストーリー
アタシはある・・・。忘れもしない・・・。小学生の六年生の時。
家族みんなで野球を見に行ったのよ、球場まで・・・。アタシは野球なんか興味なかったけど、着いて驚いた。
見渡す限り人だらけなのよ。野球場の向こうにいる米粒みたいな人間がびっしりうごめいてるの。日本の人間が残らずこの空間に集まっているんじゃないかと思った。
でね・・・親父に聞いてみたのよ。ここはいったいどれだけの人がいるんだって。満員だから五万人くらいだろうって親父は答えた。試合が終わって駅まで行く道にも人が溢れていたわ。
それを見てアタシは愕然としたの。こんなにいっぱいの人間がいるように見えて、実はこんなの日本全体で言えばほんの一部に過ぎないんだって・・・。
家に帰って電卓で計算してみたの。日本の人口が一億数千万ってのは社会の時間に習っていたから、それを五万で割ってみると・・・たった二千分の一。
アタシはまた愕然とした。アタシなんて、あの球場にいた人ごみの中のたった一人でしかなくて、あれだけたくさんに思えた球場の人達も、実は一掴みでしかないんだってね。
それまでアタシは、自分がどこか特別な人間のように思ってた。
家族といるのも楽しかったし、何よりも自分の通う学校の自分のクラスは世界のどこよりも面白い人間が集まってると思ってたのよ。でも、そうじゃないんだってその時気づいた・・・。
アタシが世界で一番楽しいと思ってるクラスの出来事も、こんなの日本のどの学校でもありふれたものでしかないんだ・・・。日本全国の全ての人間から見たら、普通の出来事でしかない・・・。そう気づいた時 アタシは急に、アタシの周りの世界が色あせたみたいに感じた。
夜、歯を磨いて寝るのも、朝起きて朝ご飯を食べるのも、どこにでもあるみんながみんなやってる普通の日常なんだと思うと、途端に何もかもがつまらなくなった・・・。
そして、世の中にこれだけの人がいたら、その中にはちっとも普通じゃなく面白い人生を送ってる人もいるんだ、そうに違いないと思ったの。
それがアタシじゃないのは何故?
小学校卒業するまでアタシはずっとそんな事を考えてた。考えてたら思いついたわ。面白い事は待っててもやってこないんだってね。
中学に入ったらアタシは自分を変えてやろうと思った。待ってるだけの女じゃない事を世界に訴えようと思ったの。実際、アタシなりにそうしたつもり。
でも、結局は何もなし・・・。そうやってアタシはいつの間にか高校生になってた。少しは何かが変わると思ってた・・・。
退屈な日常に非日常要素を探さずにはいられない少年少女の心理や、自身が集団内で主人公ではないことへの失望感など、思春期の読者が共感しやすい悩みをメインテーマにすえた事が秀逸。
単なる萌えオンリーに留まらず、ストーリー内のSF要素も骨太
自分の願望を現実世界に反映させる涼宮ハルヒは何者なのか?人間なのか?それとも神のような超常存在なのか?という謎に始まり、本格的なSF要素がしっかりとストーリーに絡められているのが本作の特徴。
ただ可愛いキャラと萌えだけを売りにした薄っぺらいライトノベルではなく、純粋に小説としての完成度が高かったのが人気を呼び、さらにはネット上での考察合戦を呼び起こし、さらなる人気を引き込むのにつながった。
他にもこんなところがハルヒシリーズはすごい
もともと原作に地力があった上に、アニメの秀逸な演出で大人気となった。
しかも、ストーリー・キャラ・SF要素のどれもが秀逸。
巨大掲示板から個人ブログといったネット上のあらゆる場で考察合戦が繰り広げられていた。
そのおかげで、ハルヒの知名度が上がった。
「やれやれ系主人公」
ばかりでしょ?
涼宮ハルヒの憂鬱の主人公のキョンが「やれやれ系主人公」の始祖なの。
作画も声優の演技もものすごいハイクオリティーで、ハルヒをきっかけにアニメオタクが一気に増えた。
そのおかげで、涼宮ハルヒの憂鬱という作品の人気と話題性が増幅された。
涼宮ハルヒの憂鬱が採用。
実写の役者の映像に、ハルヒ・みくる・長門のアニメーションが合成されたCMが放送された。
アニメのストーリー進行と連動して変化していくみたいに、芸が細かかった。
「新世紀エヴァンゲリオン」に近いものがある。
それほどまでにとんでもないレベル。
眺めているキョンといっしょに、視聴者達まで心ここにあらずの顔で驚愕。
ネット上に爆発的に増えた時期があった。
それが世間に受け入れられた。マネして踊るオタク達が続出。
そのおかげで、EDのダンスを踊ってみた、って動画がたくさん投稿されて、ハルヒの知名度が上がった。
ちょうどYouTubeの黎明期に重なったという運の良さもある。
ハルヒをネタにした動画とか踊ってみた動画とか弾幕コメントなんかで、ハルヒブームが過熱した。
「みんなでバカやって盛り上げよーぜwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
って時代にちょうどハルヒが放送されたのがタイミングが良かった。
秋葉原にオタク達が集結して、みんなでハルヒダンスを踊ったりして、作品の知名度が上がっていった。
今の時代なら、「ステマ乙」って一蹴されたり、SNSで「迷惑行為をするオタク達」って写真でさらし上げられて絶対に人気拡大にブレーキがかかる。
ほぼ同じ話内容のアニメを8週連続放送するという愚行のせいで、多くの罪無きハルヒファン達が消えた。
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