20世紀には、ソ連や中国などで「共産主義」が実行され、世界の約半分が共産主義の国でした。
そして、共産主義国家の中で数々の問題が噴出し、やがて「共産主義は失敗だった」と人々の間で結論が下されるようになりました。
共産主義が失敗した理由について調査したので、分かったことを報告します。
失敗理由1「国の労働者達から意欲が減退して働かなくなる」
- 労働者達の賃金が一律になってしまうので、どれだけ働いても金銭報酬は変わらず、
労働者達は労働意欲を失ってしまった - 共産主義の構造上「なまけ者であるほど得をする」ので、労働者達がこぞってなまけるようになったため、
生産性が低下し、国の経済力も低下してしまった
上記に加えて、共産主義では政府が独断で国民達の労働配置を決定するので、それぞれの個人のやりたいこと・性格と能力に適した仕事に就けない場合が多発し、そのせいで余計に労働意欲が低下してしまうという問題点があります。
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予備知識:「共産主義」とは
ドイツ出身のカール・ハインリヒ・マルクス(1818年5月5日 – 1883年3月14日)によって体系づけられた思想と社会制度を共産主義と呼ぶ。
私有財産制を否定し、共有財産制を採ることで、国家の中で貧富の差を無くすことを目指す。
20世紀に、ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国や中国で共産主義が採用されたがどの国も上手くいかず、やがて共産主義は廃止の方向へ向かうようになった。(中国では現在でも支配体制に部分的に共産主義を採用している)
よく混同される社会主義と共産主義の違いは、
- 社会主義:国や独裁者が指揮し、労働者の働き具合に応じて富の分配がなされる。また、国家内に階級が存在する。生産力があまり高くない段階。
- 共産主義:生産力が高まり、社会主義から移行した次の段階が共産主義。国民は平等であり、国や独裁者が必要に応じて国民に富を分配する。
失敗理由2「一党による独裁体制のせいで国民が苦しめられる」
- 共産主義では、共産党の一党独裁体制が敷かれる↓
- 現在の体制に異を唱える国民は容赦なく粛清され、投獄されたり処刑される
- 独裁体制を維持するために、数々の非人道的な方法が採られる
- 国民同士を監視させ、体制に反対している者を発見して国に密告すると報奨金が出る
- 共産党の党首を過度に国民に崇拝させる
- 国による情報操作を行い、他国から流入してくる情報をシャットアウトしたり、国内の状況は好調だと嘘をついたりする
- 独裁体制であるのでその政党を批判したり競合する他の政党が存在せず、そのため独裁している政党内で腐敗が極めて生じやすく、国を正しく統治することが不可能になっていく
独裁体制は国民を苦しめ続けるので、そのせいで共産主義はいずれ破綻の方向へ向かうようになります。
失敗理由3「国の企業が進歩しなくなる」
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- 企業間で商品やサービスの品質の競争をする必要が無くなるので、「企業努力」というものがほぼ消失し、そのせいで企業も、企業が生み出す商品やサービスも進歩しなくなる
企業の実力や意欲が劣化すると、他国の企業との競争に勝てなくなるため、共産主義を施行している国の国際競争力がいちじるしく低下することになってしまいます。
失敗理由4「全国民に十分に富を分配する、ということが至難」
- 「国の労働者達が生産した富の合計を、全国民に平等に分配する」という共産主義の手法では、国民ひとりひとりが豊かに暮らしていけるだけの額にはとうてい届かない少額の金銭しか分配されなかった
- 主な理由は、共産主義体制では経済活動と経済成長が停滞するので大きな富を作り出せなかったことや、共産主義を施行したロシア・ソビエト連邦社会主義共和国はもともと経済力がそれほど優れていなかったせいで大きな富の生産が困難であったこと、など
失敗理由5「共産主義での”計画経済”はほぼ必ず失敗する」
「計画経済」とは、政府の作る計画に従って生産および分配が行われる経済制度です。
国家が生産・分配・流通・金融を統制して国の経済を運営する、というやり方で、共産主義社会では計画経済によって経済がコントロールされます。
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- たとえば、「本来の市場競争ならばとっくに淘汰されている低レベル企業でも国が資金を投入して無理矢理生きながらえさせる」など、
経済的に非効率な行為が多々ある - 仕事の価値の大きさ・重要度に見合った適切な賃金設定がなされなかったせいで、
労働者の労働意欲が激減し、それによって生産効率も大きく低下した、というのも大きな失敗理由の1つ - 商品の公定価格が決まっていても、仮に不作などを理由にして商品の流通が減ると、国民間で「闇市」が発生してひそかに商品が高値で取引されるようになり、
政府の計画からズレた方向へ進んで行ってしまう
国の経済活動に国家が過度に介入するようになると、弱者の過保護のせいで有能な人達が冷遇されてしまったり、非合理的な仕組みが強引に組み込まれたり、技術革新が進まなくなるなど、複数の深刻な問題が起こるようになります。
「共産主義の理念」が現実とはく離しているポイント
- 全ての人間が働き者であり、自ら進んで全体に尽くす
- →働いても働かなくても同様に食っていける、という状況下ではみんなが仕事をなまけてしまって生産性が大きく落ちた
- 全ての人間が清廉であり、私利私欲に走らない
- →支配者である共産党の中では腐敗がまん延して体制維持のために国民の粛清を続け、国民もサボり放題だった
- 労働者達は自らが生み出した富を国民間で平等化することをいとわない
- →有能な人間が無能な人間達をひたすら養うというのは、有能な人間にとっては心情的に無理がありすぎる
共産主義が失敗した理由を総括すると、
「共産主義は原理的に、人間の善意に頼りすぎているから」
ということになります。
共産主義は支配者層と労働者達が極度の聖人でなければ成り立ちません。
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現実的には、人間には強い欲望が備わっているので、国家のそれぞれの人間達が私利私欲に走り、やがて共産主義のシステムは破綻するようになりました。
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