昆虫を補食する特殊な植物「食虫植物」の特徴について調査したので分かったことを報告します。
特に有名な、4種類の食虫植物
1「ハエトリソウ」
ハエトリソウの主な特徴
- 食虫植物のなかでは、おそらく最も有名でメジャーな種類であるのが、このハエトリソウ
- 二枚貝のような形状の捕虫葉(ほちゅうよう)の効果で、虫を捕らえて養分にする
- 捕虫葉のふちに生えているトゲ状の葉にある蜜腺から蜜を出して周囲の昆虫を誘引し、
捕虫葉の内側に左右の葉に3本ずつ生えている「感覚毛」が続けて2度刺激を受けると、
捕虫葉が約0.5秒で閉じて捕虫葉の内側にいる小虫を閉じ込める - 捕虫葉の内側に存在する、消化液を分泌する腺毛から消化液を出し、捕らえた小虫を約1週間かけて消化し、
消化後は、閉じていた捕虫葉が再び開く - 原産地は北アメリカで、湿地に自生する
- ハエトリソウを育成する場合は、日向に置き、水を満たした水受け皿の中にハエトリソウの鉢を置き、常に水分を供給すること
- 捕虫葉は3回~5回程度開閉するとその捕虫葉はエネルギー切れになって、以後は閉じなくなってしまうので、
面白がって感覚毛を刺激していたずらに捕虫葉を閉じさせないこと
ハエトリソウがスズメバチを次々と捕食する、話題の動画
2「ウツボカズラ」
ウツボカズラの主な特徴
- 消化液が詰まっている捕虫袋の中へ虫を落とし、タンパク質を溶かす消化液の効果で虫を養分にする
- 捕虫袋のふたのような形の葉にある蜜腺から出す物質で、周囲の昆虫を捕虫袋へ誘引する
- 捕虫袋のへり部分はつるつるとした構造になっていて滑りやすく、このへり部分を昆虫が歩くと、高確率で内側の消化液の中へ滑落してしまう
- 捕虫袋の内側の壁部分もつるつるとした構造になっているので、いったん内側に落ちた虫が壁を伝って上ることも困難
- ウツボカズラの消化液には界面活性効果があり、虫を液体中へ沈み込ませるので、ほとんどの虫は浮上できずに窒息死してしまう
- 原産地は東南アジアやオーストラリア
- 多湿環境を好んで育成し、直射日光には弱い。
また、低温への耐性が低いので冬場は室内へ移動させるなどの措置が必要。
ウツボカズラがアリを補食し続ける動画
3「モウセンゴケ」
モウセンゴケの主な特徴
- 葉の表面に、ネバネバの液体を分泌する腺毛が大量に生えていて、
腺毛の上にアリや羽虫が乗ると、
まず粘液が体に絡みつくことで身動きできなくなり、
次に葉が内側へ向けて丸まることで、虫の全身を腺毛の粘液で押さえ込んで完全に身動きを封じてしまう - 腺毛から分泌される粘液には、昆虫の体を消化する効果を合わせ持っている
- モウセンゴケは全世界に分布している
- モウセンゴケを育成するには、
常に日当たりの良い場所にモウセンゴケの鉢を置き、常に十分量の水を与えること
モウセンゴケが昆虫を補食する動画
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4「タヌキモ」
タヌキモの主な特徴
- タヌキモは水中の微小生物を補食する食虫植物
- 「捕虫嚢(ほちゅうのう)」と呼ばれる長さ3mm程度の袋の入り口は通常はドア状に閉ざされているが、
捕虫嚢の入り口にある2本のヒゲ状の植物体にミジンコやボウフラ等が触れると、
一瞬で水ごと微小生物を袋の中へ吸い込んで栄養にする- 通常、袋の中は低圧状態に保たれていて、ヒゲへの物理的刺激でドアが開くとスポイトが液体を吸い込むように微小生物を袋の中へ吸い込む
- 捕虫嚢の中にはバクテリアが存在し、バクテリアがミジンコなどを分解することによってタヌキモが養分を得ることができる
タヌキモが水中の微小生物を補食するシーン
その他、有名な食虫植物
ウツボカズラのような落とし穴式の食虫植物
- ヘリアンフォラ
- フクロユキノシタ
- サラセニア
- ダーリングトニア
- レウコフィラ
- アラータ
など
モウセンゴケのような粘着式の食虫植物
- ロリヅラ
- ムシトリスミレ
- モラネンシス
など
食虫植物が、昆虫などを補食する理由
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昆虫などを補食する理由
- 各種の食虫植物は痩せた土地・沼沢・湿地などで生育することが多く、
普通の植物の「光合成」という栄養獲得手段だけでは栄養が足りないため- 土地が痩せていて、土壌から十分に得る事ができない「窒素」「リン酸」「カリウム」などの栄養素を、昆虫を溶解することで獲得している
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ハエトリソウやウツボカズラなどの食虫植物を育成するにあたって、
「常に昆虫を与え続けないと、食虫植物は枯れてしまう」
と思っている方が多いようですが、これは間違いです。
食虫植物は昆虫由来の栄養素以外にも、太陽光を使って行う光合成と、土壌からの栄養素で生育できます。
実際にはわざわざ昆虫を与えなくても、十分な日光量・適切な土やミズゴケ・水分があれば問題無く育てることができます。
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