毎週、雑誌上で漫画作品を発表する「週刊連載」の異常な大変さについて調査したので分かったことを報告します。
「週刊連載」という連載スケジュールの、3つの地獄の辛さ
予備知識:2020年現在、週刊連載形態を取っている漫画雑誌
- 週刊少年ジャンプ
- 週刊少年マガジン
- 週刊少年サンデー
- 週刊少年チャンピオン
1「とにかく、漫画の作製のための時間が足りなすぎる」
- ネームの作製
- 漫画におけるコマ割・キャラクターのセリフ・コマ内での人物の配置やポーズ・その回での情報量の調整など、やることが多すぎる
- 作画
- 下書き状態の人物にペン入れをしたり、背景の絵を細かく描いたりと、かなりの時間がかかり、漫画家の手や目への負担も非常に大きい
主に上記の2つの作業が、大幅に時間を食う作業です。
それに加えて、これから先のストーリーの構成や新キャラクターのアイディア出しも並行していかなければならないので、
週刊連載漫画家は「とにかく時間が足りない状況」が慢性化しています。
2「とにかく、漫画家の心身に負担がかかりすぎる」
- 「徹夜をした後、一睡もせずにまた朝から1日働く」という状況が慢性化している
- 作画のために、ペンを握る手や目を酷使しすぎているせいで、腱鞘炎や眼精疲労(目の疲れや強い頭痛が起こる)が慢性化している
- 「良いアイディアが出ないまま、締め切りの時刻がどんどん近づいてくる状況」は漫画家の精神をいちじるしく痛めつける
よく聞く、週刊連載漫画家の「一週間の合計睡眠時間」が、
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8時間~10時間程度
というものです。
これでは心身を壊さない方がおかしいと言える、あまりにも異常な生活スケジュールです。
「100m走だと思って全速力で走り出したら、それが長距離マラソンへ変化した」
というものがあります。
3「とにかく、読者人気を獲得し続けないとすぐに作品が打ち切りになってしまう」
- 漫画雑誌界の王者である「週刊少年ジャンプ」では、
作品の連載開始時点から3週目までの読者アンケートでの作品評価の結果で、作品の連載継続か打ち切りかが決定されると言われている - 週刊少年ジャンプ以外の、週刊少年マガジンや週刊少年チャンピオンでも読者アンケートの結果はかなり重視しているだろうし、
単行本の初動(発売後一週間での売れ行き具合)を観察して、市場での作品の人気具合を読み取って連載継続か打ち切り決定かが決まる
週刊漫画雑誌は、月刊漫画雑誌や隔週漫画雑誌よりもはるかに雑誌内作品の新陳代謝が激しいことが特徴的です。
漫画雑誌の編集者達は、読者受けの良い作品だけを残したりそのような連載作品を新たに獲得しようとし、不人気作品はどんどん連載を打ち切っていきます。
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週刊連載漫画家は、『時間が足りなすぎる状況で、常に成果を上げ続けること』が要求されるため、精神への負荷は甚大なものになります。
・雑誌に掲載した分の漫画を単行本にするために、作品の加筆修正作業やカバーイラストを描くこと
・雑誌掲載の際に、その号での掲載は巻頭カラーにすることになったのでカラー原稿を製作すること
・書店で単行本を販売する際のPOP用イラストの作成
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などの作業が折に触れて追加されるため、もともとの超激務がさらに悪化することになります。
週刊連載の異常な大変さが分かる漫画・画像
週刊連載の大変さが分かる漫画
週刊連載の大変さが分かる画像
尾田栄一郎
岸本斉史
久保帯人
鳥山明
もともと、漫画は他の創作ジャンルよりも作者への負担が大きすぎる
- ゲームの企画立案:ゲームプランナーという職種の人が担当
- ゲームのシナリオ:シナリオライターという職種の人が担当
- ゲームのプログラム:プログラマーという職種の人が担当
- ゲームキャラクターの容姿のデザイン:イラストレーターという職種の人が担当
- ゲームの3DCG:「モデラー」「モーションデザイナー」「エフェクトデザイナー」という職種の人達が、3DCGの分野別にそれぞれ分担する
- 漫画の企画立案:その作品を描く漫画家
- 漫画のシナリオ:その作品を描く漫画家(+担当編集者がサポート)
- 漫画のキャラクターの容姿のデザイン:その作品を描く漫画家
- 漫画のページ内構成(コマ割):その作品を描く漫画家
- 漫画の作画:その作品を描く漫画家(+漫画アシスタントのベタ塗りやスクリーントーン貼りなどのサポート)
- 漫画を描くための画材や資料の用意:その作品を描く漫画家
「ゲーム」「小説」「音楽」「映画」「アニメ」「絵画」「彫刻」など、他の創作物ジャンルをざっと見渡しても、
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それらの創作物は、複数のプロフェッショナル達がそれぞれ作業を分担していたり、あるいはPCで文章を打ったりメロディーを考えて楽譜を書くことなど、
創作に関わる人の一人当たりの負担はそれほど大きくはありません。
しかし、漫画だけは作品制作のために漫画家が一人で何役もこなさなければならず、明らかに一人当たりの負担量が抜きん出て大きいです。
そのような、作者への負担が大きすぎる漫画を週刊で休み無く雑誌連載し続けるわけですから、
もともと週刊連載漫画という連載形態はかなり無理があると言わざるを得ません。
あまりにも大変すぎる週刊連載漫画家のために、私たち読者ができること
- 月刊連載漫画や隔週連載漫画と比較して、週刊連載漫画のストーリーや作画のクオリティーが少々低くても、
そのことをネット上などで叩かないこと - 話が間延びしているような印象を受けたり、人気取りのために唐突にトーナメント編が開始したり新キャラが続々と投入されたとしても、
それは漫画作者が連載作家として生き残るための必死の方策であるので、その事情に配慮して無言で受け入れること - 週刊漫画雑誌上で長期的に連載をしている大御所作家が、最近になって休載が目立つようになっても、
加齢のせいで週刊連載が辛くなっていたり高収入のおかげであくせく漫画を描く必要が無くなった可能性が高いので、その事情に配慮して無言で受け入れること - もしも可能ならば、これからも連載を続けて欲しい漫画作者を読者アンケートのハガキで高評価してあげること
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