現代の異世界ファンタジーもののRPGや漫画やライトノベルは、作中での世界観や作中でのエルフやドワーフといった種族の起源はイギリスのファンタジー小説「指輪物語」です。
指輪物語が現代の異世界ファンタジー分野に及ぼしている、大きな影響について調査したので分かったことを報告します。
「エルフ」「ドワーフ」などのファンタジー種族を創り出した
指輪物語における「エルフ」の特徴
- 指輪物語の舞台「中つ国(なかつくに)」のなかでの、最上位種族
- なかば精霊のような種族であり、魔法的な能力を持ち、たとえばエルフが作った道具が退魔の力を発揮したりする
- 不老不死の種族(ただし、肉体を保てなくなるほどの損傷を負うと死ぬ)
- 例外なく、男女ともにとんでもなく美形
- 非常に高い戦闘能力をもっているが、この種族は好戦的な性格ではない
指輪物語における「ホビット」の特徴
- 小説・指輪物語の主人公は、フロドという名前のホビット族
- Halfling(ハーフリング、作中で「小さい人」という意味)という種族名で現代の漫画やゲームに登場することが多い
- ホビットは人間の亜種だとされている
- 身長は成人したホビット族で100cm~120cm程度。身体の造型は人間のそれとほぼ同一。
- のんびりした性格であり、保守的な文化をもち、新しいモノに否定的
- 種族のほとんどが農民として暮らしていて、食べることが大好きであり、一般的にホビット族は太っている
- 手先が器用であり、弓の扱いや投石の技術が優れている
指輪物語における「オーク」の特徴
- 非常に好戦的かつ粗野な性格で、無法者的な気質をもっている
- 秩序立てた集団行動が困難であり、オーク同士での仲間割れや同士討ちをすぐに始めてしまう
- 身体の造型は、人間を醜く崩したような姿。知能は人間並み。
- 現代の創作物におけるオーク像(人間と豚のハイブリッドのような姿)とは違っている
- 戦闘能力は人間やドワーフと同程度
指輪物語における「ドワーフ」の特徴
- 道具や武具の鍛冶・建築を得意としている
- ドワーフ製の道具は非常に高品質であり、多くの異種族に愛用されている
- 性格は、頑固で怒りっぽいなどかなりの偏屈で、職人気質
- 身長は成人したドワーフ族で120cm~150cm程度。身体の造型は人間のそれとほぼ同一。
身体が筋肉質で、ずんぐりむっくりな体型をしている。ファッションとして口周りのヒゲを長く伸ばしている。 - 本記事における「エルフ」と非常に仲が悪い
- かつて、「シルマリルという名称の、エルフが創った貴重な宝石」をドワーフ達が私欲で奪い、しかも、シルマリルの所有者であるエルフ族のシンゴル王をドワーフ達が殺害したため
(その報復として、事件の当事者であったドワーフの大半も殺害された)
- かつて、「シルマリルという名称の、エルフが創った貴重な宝石」をドワーフ達が私欲で奪い、しかも、シルマリルの所有者であるエルフ族のシンゴル王をドワーフ達が殺害したため
その他、指輪物語に登場する、現代の創作物への影響が強い種族
- エント
- 「歩く樹木」といった形態の種族
- バルログ
- 指輪物語においては、地獄の魔神とされる
- トロル
- 極めて頑強な身体をしているが、知能が低い。トロルの原点は北欧神話上の魔物であり、その伝承が指輪物語で種族の1つとして利用され、世間でトロルが有名になった。
指輪物語で登場する種族のほかに、
ミスリル(主にRPGで登場する、魔法的な性質を備えた特殊な金属)の元ネタは、
中つ国に存在する、銀の輝きと鋼以上の硬さを合わせ持つ金属「ミスリル」であったりと、
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各RPGやファンタジー系の創作物の中で登場するアイテム名や地名などは、指輪物語が元ネタになっているものが多々あります。
「ファンタジーという創作ジャンルが流行するきっかけになった」
- 1954年から1955年にかけて出版された、イギリス発の「指輪物語」が世界でヒットしたことを受けて、
アメリカでもハイ・ファンタジー(異世界ファンタジーのこと)のブームが起こる - 1974年にアメリカで販売された、世界初のテーブルトークRPG「ダンジョンズ&ドラゴンズ」は、その作風に、指輪物語の多大な影響を受けている
- 日本での有名なRPGである「ドラゴンクエストシリーズ」や「ファイナルファンタジーシリーズ」は、上記の「ダンジョンズ&ドラゴンズ」を参考にして作られているため、
現代のRPGのその多く(DQシリーズやFFシリーズに大きく影響されている)は、原典が「指輪物語」であると言える
現代のRPG・漫画・ライトノベル・アニメでの、異世界ファンタジー分野における
- 中世ヨーロッパ的な街並み
- 中世ヨーロッパ的な生活文化や、王権制などの社会制度
- モンスターなどの人間に害を為す怪物や、エルフやドワーフなどの異種族が、1つの世界の中に混在している
- 人間達を滅ぼそうとしたり、世界そのものを滅ぼそうとする「魔王」が存在している
- 魔王を打ち倒すために、仲間達とパーティーを組んで冒険の旅に出る
といった定番の世界設定・物語設定は、
ドラゴンクエストシリーズやファイナルファンタジーシリーズといった大作RPGシリーズが元ネタになっている場合が非常に多いです。
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そのRPGの元ネタをさぐっていくと、ファンタジー小説「指輪物語」の作中設定とストーリーが、異世界ファンタジー分野の全てのルーツであると理解できます。
小説「指輪物語」の、超おおざっぱなストーリーの流れ
- はるか昔、闇の冥王サウロンが、世界を滅ぼすほどの魔力を込めた指輪を創る↓
- 冥王サウロンが、指輪の力で中つ国への侵攻を進めるが、サウロンは打ち倒される↓
- サウロンの指輪は世界に残存し、所有者を次々と変えながら、主人公のフロド(ホビット族)の手に偶然指輪が渡る↓
- 復活をもくろむサウロンの手に指輪が戻ることを阻止するために、モルドール国にある「滅びの山」の火口へ指輪を投げ入れて指輪を破壊する(これが指輪を破壊する唯一の方法だとされている)ための、フロド達の旅が始まる↓
- サウロンの手先であるオークの大軍と戦ったり、サウロンの指輪の力と欲望に目がくらんだ者達と戦いながら、フロド達は国と国の間を渡り歩いていく↓
- フロド達がモルドール国にある「滅びの山」に到着する↓
- サウロンを指輪を火口へ投げ入れて指輪を破壊し、それによってサウロンの魂とサウロンが率いる軍勢が完全に消滅する↓
- それまでの旅路で闇の魔力にむしばまれていたフロドは命が尽き、神の国ヴァリノールへと旅立った(終わり)
指輪物語の作者「J・R・R・トールキン」の逸話
- トールキンは、世界的な名門大学であるオックスフォード大学での文献教授を務めた
- しかも、第一次世界大戦時にイギリス陸軍に少尉として従軍して、戦争の激戦地から生還した
- 指輪物語の作中でのエルフ語を、言語の文法からいちから作り、現代でも物好きな人達がエルフ語の研究を続けている
- トールキンが指輪物語を執筆した動機は「自身が発明したエルフ語が使用されるに至った、その背景となる異世界を創ってみよう」という部分が大きい、と言われている
- 指輪物語における、サウロンの指輪をめぐる一連のストーリーは、中つ国の全歴史のうちのほんの一部分でしかない
物語の舞台である「中つ国(作中でのMiddle-earthの邦訳)」には数万年分もの歴史があり、
トールキンが考えた中つ国の神話・歴史はトールキンの著書「指輪物語」「ホビットの冒険」「シルマリルの物語」「終わらざりし物語」「The History of Middle-earth」のそれぞれで語られます。
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中つ国の神話・歴史を理解するためには、上記の著書を精読したり、ネット上での中つ国の解説サイトの膨大な文章を熟読する必要があり、並々ならぬ労力が求められます。
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