近年、ソーシャルゲームの人気が低下し始めていることの原因になっている、ソーシャルゲームの構造的欠陥について調査したので分かったことを報告します。
ソシャゲ人気の衰退に学ぶ、ソーシャルゲームの4つの構造的欠陥
1「ソシャゲの各ゲームシステムに、”不快な義務感”を覚える」
- ログインボーナスのアイテムや石をゲットするために、ソシャゲアプリを毎日立ち上げる必要がある
- 期間限定のデイリーイベント・ウィークリーイベントをクリアしてクリア報酬のアイテムをゲットするために、ほとんど毎日ソシャゲをプレイする必要がある
- プライベートが忙しいせいでログインボーナスのアイテムや期間限定イベントを数日分程度見逃してしまうと、
強烈な「やり損ねた感」からそのソシャゲへの熱・愛が一気に冷めるため、ゲーム引退という事態になりやすくなる
- プライベートが忙しいせいでログインボーナスのアイテムや期間限定イベントを数日分程度見逃してしまうと、
- ゲーム内で、ある程度高い地位を確保すると、以後は課金による強化を継続しなければすぐに地位が低下してしまうため、
地位の維持のためにゲームをプレイし続けなければならなくなる
ソシャゲ運営側からすれば、上記のことがらはプレイヤー達がゲームに触れる機会を増やすことでプレイヤー達がゲーム内課金をする可能性を高める狙いです。
しかし、プレイヤー達からすると、連日のソシャゲプレイは自身の生活のスケジュールに高確率で悪影響を及ぼすため、
ソシャゲの各ゲームシステムに付随する義務感に、うんざりするプレイヤー達が増えてきました。
2「どの種類のソシャゲも、似たようなシステムで、みんな飽きてしまった」
- ソーシャルゲームが乱発される過程で、「プレイヤー達にそこそこウケて、しかも、収益性がなかなか高いというゲームシステム」が開発・発見される↓
- 他のソーシャルゲームや、後発の新規ソーシャルゲームが、上記のゲームシステムをこぞって模倣する↓
- 結果的に、どの種類のソシャゲも似たようなゲームシステムになり、プレイヤー達が飽きることの原因になる
そもそも「世間で大流行して一世を風靡したモノが、流行が過ぎてみんなに飽きられる」という現象は、あらゆる流行コンテンツにほぼ確実に起こりますが、
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ソシャゲの場合、ゲームシステムの過度な画一化がプレイヤー達の飽きを早めたことは明確です。
3「重課金者優遇のゲーム内容のせいでライトユーザーがついていけなくなった」
- 課金して、課金によるゲーム内での優遇措置を受けなければ、なかなかイベントをクリアできないくらいに難易度が上昇してしまった
- 重課金者優遇のゲーム内容であるせいで、
無課金ユーザー達は周回プレイ(同一のクエストを2回以上繰り返し、そのことでキャラクターをレベルアップさせたり素材アイテムを収集すること)がほぼ必須となり、同じ事を何度も繰り返すのが嫌になるライトユーザーが続出するようになった - ゲーム内で「ランキング」や「他のプレイヤーとの対戦」などのシステムがあると、
重課金をしていて強いキャラクターや装備を所持している人達の独壇場になってしまい、ライトユーザー達がゲームを引退する大きな原因になる
多額のお金を落としてくれる重課金者達を優遇したゲーム内容になってしまったために、
ゲームプレイヤー達のうちの大半を占めている無課金層・微課金層がついていけなくなり、
結果としてソシャゲ分野自体から人がどんどん離れていく事態になってしまっています。
4「ソーシャルゲームというゲーム分野自体に不信感を抱く人が増えてしまった」
- 有料のガチャで、レアカードの排出確率がいちじるしく低いことが、プレイヤー達のネットの口コミや実際の検証で公になってしまった
- ゲーム内で、強さのインフレがハイペースで進むせいで、自分の所持キャラクターがすぐに役立たずレベルになってしまい、
プレイしているソーシャルゲームへの熱や愛が冷めてしまった - 「プレイ中だったソーシャルゲームのサービス終了に巻き込まれて、これまで一生懸命育ててきたデータがロストすること」をたくさんの人達が経験し、
ソーシャルゲームというゲーム自体に不信感を抱く人が増加した
一度ソーシャルゲームで痛い目に遭った人は、他のソーシャルゲーム群(有料ガチャやキャラの育成などのゲームシステムがだいたい同じ)も警戒することが多くなるため、
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いったん離れていってしまったプレイヤー達をソシャゲ分野へ引き戻すことは困難と言えます。
参考:有名ソーシャルゲームを運営している企業の近年の決算が大幅減益
「グリー」の2020年6月期第1四半期決算
営業利益:約12億円(前年同期比で27.2%減)
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グリーは、「グランブルーファンタジー」で有名な企業。
「DeNA」の2020年3月期第2四半期決算
営業利益:約50億円(前年同期比で52.7%減)
DeNAは「ポケモンマスターズ」「メギド72」などで有名な企業。
「mixi」の2020年3月期第2四半期
営業利益:約40億円(前年同期比で80.5%減)
mixiは「モンスターストライク」で有名な企業。
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過去、ヘビーユーザー達を優遇したゲーム分野はどれも衰退した
「格闘ゲーム」が衰退した理由
「技を出すための入力コマンドが複雑化しすぎて、ゲーム自体の難易度が高くなりすぎた」
「熟練プレイヤー達が、初心者プレイヤー達を一方的に狩り続けるという好ましくない状況を、ゲーム制作側が打開しようとしなかった」
などの、初心者お断りという閉鎖的な文化のせいで、格闘ゲーム分野は衰退していった。
「STG(シューティングゲーム)」が衰退した理由
各ゲームの難易度が平均的に高く、
さらに「プレイ中に何度も死にながら敵の攻撃パターンを覚えて、そのうえでステージをクリアする」というSTGのゲームスタイルが、
STG初心者達には敷居が高いうえにストレスが溜まるものであったため、STGは衰退していった。
「ネットゲーム(MMORPG)」が衰退した理由
「クエストのクリア条件が、ギルドメンバー達との協力プレイが前提になっている」など、気楽にゲームをやりたい初心者達にはかなり敷居が高く、
しかも、そのネットゲームを長く続けているネトゲ廃人達が、美味しいアイテムやイベントを独占する状況をネットゲーム運営側がいつまでも是正しなかったため、ネットゲームは衰退していった。
ソーシャルゲームを批判する意見では、
「ゲーム内での、課金への誘導のやり方が露骨すぎる」「有料のガチャで、レアカードの排出確率をあまりにも低く設定している」
といったものが批判の主流です。
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しかし、ソシャゲ運営側がプレイヤー達に課金させようとやっきになる理由は、
- 販売することで開発費を回収するコンシューマーゲーム(専用のゲーム機でプレイするタイプのゲームソフトのこと)と違い、
ソシャゲは課金をしてもらわないと多額の開発費・運営費を回収できない - 課金によって会社の利益の金額を向上させていかないと、会社に出資しているスポンサー企業や会社の株式を購入している投資家達に見放されてしまう
といった、かなりひっぱくした事情があるからです。
ソシャゲの人気が衰退し始めた主な理由は、
本記事の3「重課金者優遇のゲーム内容のせいで、ライトユーザーがついていけなくなった」を代表にして、
プレイヤー達に課金させようとするゲーム内施策が露骨になりすぎた、というものですが、
ソシャゲ会社側には、開発費や維持費を回収する必要があるという経営上の事情があることにも留意するべきです。
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