企業の株価・株価指数が、下落・暴落する主な原因を解説します。
「警戒度・大」の、株価・株価指数の下落要因
株価・株価指数の下落を事前に避けることができると、
・保有している銘柄の含み益が暴落のせいで減ることを、避けることができる
・暴落後に、安値で仕込むことで大きな利益を得ることができる
・安値圏で買えば、そこからさらに売りが入って下落することは起こりにくいため、安全
など、多大な恩恵があります。
1「その国の中央銀行が「政策金利」を上げること(”利上げ”と呼ばれる)」
- 「国のインフレを抑制するために、中央銀行が政策金利を引き上げること」がトリガーとなってほぼ確実に株価が下落する
- 政策金利(中央銀行が定める基準金利)が引き上げられることで景気減速へ誘導され、それによってインフレ率が低下するが、同時に企業の業績が悪化しやすくなるため
- それまで続いていた金融緩和のフェーズから金融引き締めのフェーズに入った年は、その年全体で株価の暴落や軟調が続くことが多いため、最優先で警戒するべき
- 「金利が上がったことで債券価格が下がり、安くなった国債などの債券がこぞって買われる(保有している株を売って代わりに債券を買うことが多発する)」
「相場が荒れることを見越して、株式から金(ゴールド)などの安定資産へ買い換える」などが起こり、それらの現象のせいで株式市場からどんどんお金が抜けていくことも株価暴落を誘発する
- 「金利が上がったことで債券価格が下がり、安くなった国債などの債券がこぞって買われる(保有している株を売って代わりに債券を買うことが多発する)」
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参考:政策金利を上げることでインフレ率が低下する仕組み
- 銀行金利が上がってお金を借りにくくなると、企業も個人も使えるお金が減り、モノやサービスの価格が据え置かれるようになって物価が下がる
- 政策金利を上げて自国通貨高へ誘導すると「輸出で不利」という状況になり、
各企業が国内へ向けて製品を売ることが増えて、それによって物余りの状態に近くなり、結果として物価が下がる
2「それまで起こっていた経済バブルが、今になってついに崩壊した」
- 平成日本の、バブル崩壊(土地バブルが崩壊したことが原因)
- アメリカの、リーマンショック(住宅バブルが崩壊したことが原因)
- アメリカの、ITバブルの崩壊(当時のIT企業が過大評価されていたことが原因)
- 相場における歴史的な大暴落は、上記のリストのような経済バブルの崩壊が原因であることが非常に多い
- 大規模な経済バブルが崩壊すると、暴落した株価が元に戻るまでに数年もかかる場合がほとんどであるため、何かしらのバブルが形成されている時期は撤退を強く推奨
- 相場における歴史的な大暴落は、上記のリストのような経済バブルの崩壊が原因であることが非常に多い
経済バブルの沈静化のために、中央銀行が利上げをするケースが多々ある
- 「土地価格の異常な高騰」「住宅価格の異常な高騰」など、国民の生活に有害な現象をともなう経済バブルの場合、
インフレを抑制するために本記事の「その国の中央銀行が「政策金利」を上げること」の項目が実行されるため、それがトリガーとなってバブル崩壊&株価の大暴落が起こる- 平成日本のバブル崩壊は日銀による急激な政策金利の上昇、
リーマンショックはFRBによる利上げで、
加熱した景気にブレーキがかけられたことでそれぞれ起きた
- 平成日本のバブル崩壊は日銀による急激な政策金利の上昇、
3「国の経済が「リセッション(景気後退)」の局面に入っている」
- 消費
- 生産
- 雇用
- 主にこれらの水準が、以前よりも大幅に悪化している局面がリセッション
- リセッション時では不況化が確実視されるため、株価・株価指数も大幅に下落することが多くなる
(欧米の基準では、実質GDP成長率が2四半期連続でマイナスになることでテクニカル・リセッション(機械的な判定に基づく景気後退)に入ったと定義されている)
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リセッション局面とNYダウの関係
「警戒度・中」の、株価・株価指数の下落要因
4「企業の業績が、期待外れ・悪化する」
- 企業の決算内容が、市場予想を下回る(株価下落の最たる要因)
- その企業の株式の配当を、減配、あるいは無配にすると発表される
- その企業の業界全体が、今の時勢の影響を受けて不調になっている
- その企業が示す、これから先の事業のロードマップが、ダメそう・いまいち
- 上記のリストのような事柄により、企業の株価が下落・暴落する
- めったに無いものの、その企業の不祥事・法律違反行為などが明るみに出て株価が暴落することもある
5「加熱していた相場で利益確定売りが相次ぎ、調整相場になる」
- 株価が急激に上がると、それにともなって売り圧力(利益確定売りが相次ぐことが原因)が強くなり、一時的な暴落・調整相場になりやすい
- このため、急激に上昇している時にあわてて買ってしまうと、典型的な高値掴みになりやすい
- 「高値圏で、ここしばらく株価が横ばい状態にあるという状況」では、買いと売りがほぼ拮抗している危うい時期であり、
ちょっとした悪材料でも暴落の引き金になる
6「その国の経済指標」が、市場の予想数値を下回る
- 雇用統計(失業率や雇用者数や平均時給など)
- 消費者物価指数(CPI)
- 国内総生産(GDP)
- その月の政策金利
- 複数ある経済指標の中で、上記のリストが特に影響力が強い
- 市場の予想数値よりも悪い数値が出ると、短期的に個別株・株価指数が下落することになりやすい
(短期トレードをしている場合、特に注視する必要がある) - 指標の「GDP」「失業率」などの推移を見ることで、
本記事の「国の経済が「リセッション(景気後退)」の局面に入っている」の項目に該当しているかしていないかを判断することができる
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主要国の経済指標カレンダー
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7「アメリカの株式市場の悪影響を受けて、自国の株式市場も悪化する」
- NYダウ
- S&P500
- NASDAQ
- 上記のリストのアメリカの株価指数(3つの指数はほぼ連動している)が暴落すると、ほぼ確実に日本も欧州圏も株式市場が大荒れ状態になる
- アメリカの政策金利を決定するFOMC(Federal Open Market Committee)という会合は約6週間ごとに年8回開かれ、
FOMCの政策金利発表に応じてアメリカの株価指数が大きく変動し、それにともなって日本や欧州圏の株価指数も変動するので、FOMCの動向は常に注視しなければならない
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8「株価のアノマリー」で、下落しやすい月に該当している
- アノマリー(株式市場での経験則)で「株価が上昇しやすい時期」「株価が下落しやすい時期」が存在し、下落しやすいとされる時期では実際に調整相場になりやすい
- 多くの投資家達がアノマリーを参照しながらトレードしているため、アノマリー的に下落しやすい時期では投資家達の売りが集中しやすくなる
1年間の、株価のアノマリー
その月の株価のアノマリー | |
---|---|
1月 | 1月中旬まで上昇し、その後は調整相場になりやすい |
2月 | 節分天井彼岸底 (2月の節分(2月3日前後)に天井を打ち、3月の彼岸(3月18日〜24日)に向けて下落する) |
3月 | 節分天井彼岸底により、3月いっぱいは下げる |
4月 | 買い優勢 |
5月 | セル・イン・メイ(sell in May) 5月に株を売れ、という有名な言葉であり、5月は暴落しやすくて非常に危険 |
6月 | 方向性が無い相場が続きやすい |
7月 | サマーラリー 株価が上昇しやすいとされている |
8月 | 夏枯れ相場 7月の上昇の勢いが、8月中に徐々に失われていく傾向がある |
9月 | 1年のうちで最も下げやすいため、超危険 |
10月 | 9月に次いで下げやすい月であり、超危険 |
11月 | 買い優勢 |
12月 | 最初は買い優勢でも、 年越しに備えたポジション整理の影響を受けて年末にかけて下げてゆく |
1985年から35年分の各株価指数の月ごとの平均値
出典:【アノマリー検証】米国株の8月末買い12月末売りは大きな利益を得られるのか
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9「企業の決算期・メジャーSQ日など、相場が荒れやすい時期」
企業の決算期
- 「大企業の決算が集中している時期」は相場・株価指数が乱高下しやすく、多くの場合で相場は軟調になる
- 「噂で買って事実で売れ(買い材料の噂が出た段階で買って、事実として発表された段階では、売った方が良い)」とよく言われるように、
その企業の業績に期待して事前に株価が上がり、決算内容が良い物であっても発表された日に売りが集中して下落が引き起こされる
- 「噂で買って事実で売れ(買い材料の噂が出た段階で買って、事実として発表された段階では、売った方が良い)」とよく言われるように、
メジャーSQ日
- 先物取引やオプション取引において、その日までに必ず決算(買いで入っているなら売り、売りで入っているなら買い戻し)しなければならない日がSQ日(Special Quotation、特別清算指数)
- 先物取引とオプション取引のSQ日が重なる日がメジャーSQ日であり、
『メジャーSQ日を含む週』は株価が乱高下しやすいと言われている(メジャーSQ日の翌営業日に強制決算され、その日を通り過ぎると株価は落ち着きを取り戻す) - メジャーSQ日は、日本の株式市場では3、6、9、12月の第2金曜日(メジャーSQ日を含む週の水曜日は『魔の水曜日』と名付けられていて、魔の水曜日では波乱・暴落が起こりやすい)、
アメリカの株式市場では3、6、9、12月の第3金曜日
- 先物取引とオプション取引のSQ日が重なる日がメジャーSQ日であり、
「警戒度・小」の、株価・株価指数の下落要因
10「地政学的リスク」
- 国家間の戦争や紛争(大口の石油輸出国など、世界経済への影響力が強い国の戦争・紛争の場合、悪影響が大きくなる)
- 大規模なテロ
- 政治的理由による、社会的な緊張の高まり(例えば、2016年6月のイギリスの欧州連合離脱)
- 自然災害(例えば、2011年3月の日本での東日本大震災)
- これらが起こることによって、一時的に相場が荒れること
- 突然起こるため、地政学的リスクへの対策は非常に困難であるが、相場への悪影響は限定的であることが多く、株の長期ホルダーにはあまり関係無い
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