人間に近い外見のファンタジー種族の、その元ネタ・原典を解説します。
「外見が人間とほぼ同じ」という種族
エルフ
- ゲルマン神話に登場する「自然と豊かさを司る小神族」という種族がエルフの元ネタになっている
- 非常に有名で影響力が大きい「指輪物語」というイギリスのファンタジー小説で、エルフは神の寵愛を受けた最高位の種族として扱われ、
本作がエルフが有名になる最初のきっかけとなった
創作物でのエルフの主な描写・特徴
- 「顔やスタイルが美形」「耳が長くとがっている」「長寿であり、数百年も生きる」「密林の中など、自然と共生して生きている」「弓の技術や魔法の力に長けているが、体力は低い」、
といった特徴を備えている - 「ハイエルフ(上位種のエルフであり、普通のエルフより寿命が長かったり魔法の力が強い)」と「普通のエルフ」の2種類が存在している世界観、という作品が多い
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ドワーフ
- 北欧およびドイツでの神話・民間伝承に登場する「人間よりも少し背丈の小さい妖精」が元ネタ
- J・R・R・トールキンの小説世界において、上記のドワーフの伝承から着想を得たドワーフ像が構築され、それが今日のドワーフのスタンダードなイメージとなっている
創作物でのドワーフの主な描写・特徴
- 「背丈は人間よりも低く、体付きは筋骨隆々で力が強い」「ヒゲが異様に濃くて長い」「鍛冶が大得意」「気難しい職人気質な性格」「エルフとは非常に仲が悪い(J・R・R・トールキンの小説世界での設定が元ネタ)」、
といった特徴を備えている
ホビット
- J・R・R・トールキンのファンタジー小説の世界で登場する、ホビットという種族が元ネタ
- J・R・R・トールキンの小説でも特に有名な作品の「ホビットの冒険」ではビルボ・バギンズというホビットが、
「指輪物語」ではフロド・バギンズというホビットが、それぞれ主人公を務めている
- J・R・R・トールキンの小説でも特に有名な作品の「ホビットの冒険」ではビルボ・バギンズというホビットが、
- ホビットは背丈が120cm程度の人型種族であり、牧歌的な暮らしをしている
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創作物でのホビットの主な描写・特徴
- 商権的問題から商業作品ではホビットという名称は使えないため、ハーフリング (halfling) という名称の種族として現代では定着している
- トールキンの作中世界で、ホビットを「ハーフリング」と呼称することがまれにあり、ハーフリングの方は使用が許されている
- 創作物では、ハーフリングは「体力は劣るが素早い」「宝箱の解錠など、複雑な作業が得意」といった設定が多い
吸血鬼
- ルーマニアなどの東欧地域で吸血鬼の伝承が存在し、それが吸血鬼という種族の元ネタ
- ブラム・ストーカーのホラー小説「吸血鬼ドラキュラ」(1897年に出版)および、それを原作にした映画によって吸血鬼の存在が一躍有名になった
創作物での吸血鬼の主な描写・特徴
- 「人間を襲って吸血し、相手を下僕として支配する」「血を吸われた人間は吸血鬼化することがある」「驚異的な身体能力・回復能力がある」「夜にしか活動できず、太陽光を浴びると灰になって死ぬ」など、吸血鬼には大量の設定がある
- 吸血鬼自体が非常に知名度が高く、さらには吸血鬼は強みと弱みの両方を数多く備えているため、創作物において使い勝手が良い種族であり登場頻度が高い
「人型であるが、人間との違いが大きいタイプ」という種族
ゴブリン
- ヨーロッパ圏での民間伝承に登場する、いたずら好きの妖精が元ネタ
- 「牛の乳の出を悪くさせる」「めんどりに卵を産まなくさせる」といった明確に悪意があるいたずらをすることが、他の種類の妖精達とは異なる特徴
創作物でのゴブリンの主な描写・特徴
- 「人間の児童くらいの背丈であり、顔は醜悪」「知能はあまり高くないが、性悪な気質」といった特徴を備えている
- 近年では「最弱のモンスター」として扱われるようになり、やられ役として活躍している
妖精・ピクシー
- イングランド南西部に伝わる民間伝承に登場する妖精が、ピクシー
- 洗礼(キリスト教で信者となるための儀式)を受ける前に亡くなった子どもの魂がピクシーになると信じられていた
- 人間に対しては悪意の無いいたずらをすることが好きではあるが、
取り替え子(チェンジリング)という「人間の子どもと妖精を入れ替える行為(人間の子どもは妖精の世界へ連れ去られ、代わりに人間の子どもを装った妖精が残る)」など、深刻な実害をもたらす行動も起こす
創作物での妖精・ピクシーの主な描写・特徴
- 「背中に半透明な羽が生えて飛ぶことができる、手のひらサイズの人間」として描写されることが多い
- 性格は善良・無邪気で、小サイズであるためぜい弱ではあるが魔法の力を備えている
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獣人
- 狼男(おおかみおとこ)
- 旧約聖書やギリシャ神話で狼男に関するストーリーが存在するが、
1941年にアメリカで公開された映画「狼男」で現代の狼男のイメージが固まったと言われている
- 旧約聖書やギリシャ神話で狼男に関するストーリーが存在するが、
- 半魚人
- 神話に登場する半人半魚の神「オアンネス」「ダゴン」が元ネタになっている説が有力
- リザードマン(トカゲやワニなど、は虫類の特徴を備えた獣人)
- 明確な原典は存在せず、近代の小説や漫画で創作された種族
- 龍人・ドラゴニュート
- ギリシャ神話におけるケクロプス(半身半竜の神)など、東西の複数の神話に龍人が登場している
- ネコ型の獣人やイヌ型の獣人など、獣耳としっぽが生えている獣人
- 明確な原典は存在せず、近代の小説や漫画で創作された種族
ハーピー
- ギリシャ神話に登場する半人半鳥の怪物が元ネタ
- ハーピー(英語圏での呼び名)の他に、「ハルピュイア」という名称があり、こちらの方が原典での名称に適っている
- 現代の創作物では美しい外見をもつ種族として描写されやすいが、原典においては劣悪な気質を備えた怪物・化け物として扱われている
創作物でのハーピーの主な描写・特徴
- 「両腕が鳥の翼になっているタイプ」「両腕は人間のそれであり、背中に翼が生えている」という主な2パターンがある
(どちらのパターンも、脚は鳥のそれになっている) - 翼によって飛行ができ、それに加えて天使を彷彿とさせる優雅な姿であることから、作中で優遇されやすい
人魚
- ギリシャ神話の「セイレーン」やアイルランドの伝承の「メロウ」など、人魚の伝承は東西で複数存在し、それが人魚の元ネタ
- 「綺麗な歌声で船乗り達を魅了し、それによって船を誘導して座礁・沈没させる」という伝承があり、人間に害を為す魔物としての側面が大きい
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創作物での人魚の主な描写・特徴
オーク
- 「ホビットの冒険」「指輪物語」などのファンタジー小説で知られるJ・R・R・トールキンの小説世界で登場する、オークという名称の種族が元ネタ
- 上記の小説世界ではオークは「邪悪な存在(サウロンという名前の強大な敵)」に使役される兵士として描写され、
指輪物語をオマージュしたテーブルトークRPG「ダンジョンズ&ドラゴンズ」で、オークはブタの頭を持つ人型種族として描かれ、こちらが現代のオーク像の源流になっている
- 上記の小説世界ではオークは「邪悪な存在(サウロンという名前の強大な敵)」に使役される兵士として描写され、
創作物でのオークの主な描写・特徴
ミノタウロス
- ギリシャ神話に登場する「頭が牛で、それ以外の部分が人間という怪物」であり、ミノスの王妃パシパエと牡牛との間に生まれた子がミノタウロスであり、それが元ネタ
創作物でのミノタウロスの主な描写・特徴
- 「巨体」「怪力」「凶暴な性質」「知性は低い」といった特徴を備えていることが多い
- 元ネタのギリシャ神話において、ミノタウロスを閉じ込めるために用意された迷宮の中でミノタウロスが討たれたことから、「迷宮」と関係するストーリーでミノタウロスが登場しやすい
ケンタウロス
- ギリシア神話に登場する半人半獣の種族が元ネタ
- 野心をもつイクシオンと、神妃ヘラに似せた雲(神妃ヘラを守るための身代わり役)との間に生まれた子どもがケンタウロスの始祖であるとされている
創作物でのケンタウロスの主な描写・特徴
- 下半身が馬であるため走るのが速く、機動力が優れている
ラミア
- ギリシャ神話に登場する蛇女がラミアの元ネタ
- ゼウスの妻・ヘラが、ゼウスとリビアの女王が恋仲になったことに怒り、リビアの女王を怪物である蛇女に変化させたエピソードがラミアの出典になっている
創作物でのラミアの主な描写・特徴
- 「上半身は人間の美女、下半身はヘビ」というインパクトがあるビジュアルであり、妖艶かつ執念深い性格であることが多い
- フェチジャンルである「モンスター娘」の代表格がラミアであり、好事家の性癖に刺さると言われている
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アルラウネ
- 「マンドラゴラ(貴重な霊薬の材料になる植物だが、地中から引き抜くと断末魔の叫び声を出し、その声を聴くと即死する)の伝承」から派生した伝承が、アルラウネの元ネタ
- アルラウネを抜いた後に大事にすると「未来や秘密の事柄を教えてくれる」「貨幣をそばに置いておくと、それが2枚に増えている」など、所有者に福をもたらしてくれるとされた
- 別名はアルルーナ
創作物でのアルラウネの主な描写・特徴
トレント
- テーブルトークRPG「ダンジョンズ&ドラゴンズ」に登場するトレントという種族が元ネタ
- 上記のトレントは、J・R・R・トールキンの「指輪物語」に登場する「エント(樹木の精霊という種族で、見た目は樹木そのもの)」から着想を得ている
創作物でのトレントの主な描写・特徴
- 「顔と両腕は人間のそれだが、それら以外は全て樹木」という人間とは大きく異なる姿をしている
- トレントはかなりマイナーな種族であり、敵モンスターとして登場する場合が大部分を占めている
サキュバス
- 「古代ローマ神話」「キリスト教」の中で登場する夢魔が元ネタであり、サキュバスは下級の悪魔とされている
- 女性型の夢魔を「サキュバス」、男性型の夢魔を「インキュバス」と呼ぶ
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創作物でのサキュバスの主な描写・特徴
- 小サイズの「角」「翼」「しっぽ」などが生えた小悪魔として描写されることが多い
- 現代ではアダルト系作品ジャンルでは大人気の種族であり、一般作品でもエロ度を控えめにしたサキュバスキャラクターが登場することが多い
「自立した種族」として定義できるかできないかが判別困難な部類
ゾンビ・アンデッド
- ブードゥー教(西アフリカの民間信仰)に「特別な儀式を通じることで、死体を意のままに操作できるようになる」という信仰があり、
この考えが、創作物におけるゾンビの元ネタになっている - 中国にも「キョンシー」という、「術者によって使役される死体」という考えが存在する
ゴーレム・パペット
- ユダヤ教の伝承に登場する「製作者の命令に従う、泥人形(ゴーレムという名称)」が元ネタ
- パペット(puppet、英語で操り人形・指人形などの意味)には明確な原典が存在しない
人間やその他の種族よりも上位存在である、特殊な種族
天使
- 「キリスト教」「ユダヤ教」「イスラム教」「ゾロアスター教」などの複数の有名な宗教にそれぞれ見られる、『神の意思を地上の人々に伝える使者』が元ネタ
創作物での天使の主な描写・特徴
- 「頭上に浮かぶ光輪」「背中から生えた翼」「整った顔立ち」「神々しい雰囲気」といった特徴を備えていることが多い
- 神の使者であるだけあって天使の能力は非常に高く、他の種族では到底できない超常的な現象・奇跡を引き起こすことができる
悪魔
- 「キリスト教」「ユダヤ教」「イスラム教」「仏教」などの複数の有名な宗教にそれぞれ見られる、『人々の心を惑わせて害を及ぼす超常存在』が元ネタ
- 仏教においては、人間の欲望を煽って堕落へ導き仏道修行を妨害する存在を「マーラ」と呼び、これが悪魔に相当する
- キリスト教においては、かつては神に仕える身であったものの神に叛逆した元天使・堕天使を悪魔と呼ぶ
- 創作物で登場する「鬼」という日本発の種族も、
本項目の悪魔と類似した性質を備えており、西洋においては悪魔と鬼は同一視されている
創作物での悪魔の主な描写・特徴
- クラシックな悪魔像は「頭に角が生えている」「いかにもな悪人面」「性格は最悪」「コウモリのような翼が生えている」といった特徴を備えたもの
- 近年では「容姿は人間に近いものの、人間に悪質な契約・悪魔の契約を持ちかける性悪な詐欺師」として描写されることが目立つ
- 天使に比肩する上位存在だけあって、魔力など各種の能力は非常に高い
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