「月額定額で、サービス内に登録されている書籍や漫画、音楽やゲームなどを利用し放題」という現在人気の各種定額サービスが、
クリエイター側にとっては仕事の単価が暴落する危険性が非常に高いことについて解説します。
クリエイター側にとっての定額サービスのメリット&デメリット
- 大勢の消費者が登録利用する定額サービスの中に、自身の作品が加えられるので、クリエイターの名前や作品が消費者達に知られる良い機会になる
- 大昔に発表したのでもはや売上と知名度ともにゼロに近い作品でも、定額サービスの作品ラインナップに加えておけば、収益が発生する可能性がそれなりに高くなる
- 定額サービスの中に加えておいた作品を消費者が触れて気に入ってくれれば、その作品を単体で購入してもらえる場合があり、作者の収入が増える可能性がそれなりに高くなる
- 消費者達が定額サービスでクリエイターの作品を消費し、そこで満足してしまうと、自身の作品を個別に買ってもらえなくなってしまう
- 定額サービスの中で作品を見たり聴いてもらった回数に応じてクリエイターにロイヤリティー(著作権の使用料)が支払われるが、
個別に買ってもらう場合よりも収益金額が大幅に低くなる場合が多い
- 定額サービスの中で作品を見たり聴いてもらった回数に応じてクリエイターにロイヤリティー(著作権の使用料)が支払われるが、
- 定額サービスが広く普及することで「これからの時代は、映画や漫画や音楽は個別に買うものではなく、定額サービスの中でお得に消費するもの」という意識が消費者達に根付いてしまう可能性が非常に高く、
その可能性が実現すると、ますます作品が個別では売れなくなってしまい、クリエイターの生活が苦しくなってしまう
定額サービスが普及することによるクリエイター側のデメリットを総括すると、
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「クリエイターが安い仕事をすることを強いられるようになってしまう可能性が非常に高い」
ということです。
クリエイターの仕事の価値が低下し、仕事の単価が安くなってしまうようになる危険性が大きくなります。
定額サービスでクリエイター側が利益を得る仕組み
定額サービスの中に登録された作品が読まれた分量・再生された回数に応じて、定額サービスでのクリエイター用報酬を分配する、という仕組みであることがほとんどです。
(映像のような有力コンテンツの場合は、どれだけ再生数が少なくとも最低限これだけは払うという取り決めが交わされていることも多い)
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上記の仕組みであると、たとえばAmazonの「Kindle Unlimited」のような定額サービスの提供元はクリエイター側に定額サービス加入用の報酬を支払いません。支払うのは、あくまで「ある程度以上読まれた場合」という成功報酬のみです。
定額サービスの提供元は「あの有名で人気の○○という作品も定額サービスに入っています!」と作品のネームバリューを利用して宣伝し、定額サービスへの加入者数を増やし、収益額を増やすことができます。
その一方で、クリエイター側の方は「自身の作品が必ず読まれて、その結果、分配報酬が支払われる」とは限らないので、作品の名前だけを定額サービスの提供元に良いように利用されてしまう場合も多々あります。
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要するに、
Amazon「うちのKindle Unlimitedは大人気で、消費者も生産者もみんな利用しているから、クリエイターのあなたもうちのKindle Unlimitedに入った方がいいよ。
AmazonはKindle Unlimitedのユーザーの月額利用料金ですごく儲かっているけれど、ちゃんと読まれる人気クリエイターにしかお金は支払わないよ。
でも、作品名の効力だけは一方的に利用させてもらうよ。
今の時代、クリエイターは定額サービスの中に作品を登録しておかないと、ろくに収益が発生しないよ。
定額サービスが消費スタイルの主流になるように、各社が動いているんだから」
このような大企業側の思考・行動にクリエイター側が振り回されることになりかねないわけです。
消費者側が安価で便利なサービスを使うと、クリエイター側が苦しんでしまう
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- 消費者達が作品を個別に購入してクリエイターにきちんとした額の対価を支払う
- →きちんとした額の収益がクリエイター側に入ってくるので、生活していけるし創作活動も継続していける
- 定額サービスのような消費者達にとって便利で安価なサービスが普及してしまう
- →クリエイター側の収益が小さくなってしまうので、生活が苦しくなるし、仕事の単価の安さなどの理由から創作活動を断念するクリエイターが増えてしまう
資本主義経済では、商品・サービスを消費者達に買ってもらうために、より安くてより便利な商業スタイルを企業側が模索していくのが基本です。
そして、消費者達がより安くてより便利な商品・サービスの恩恵を受けられる一方で、負担のしわよせは生産者側に押しつけられることになります。
消費者達が安さ・便利さを享受することと、クリエイター達が十分な額の報酬を得ることの2つが両立することは、ほぼ不可能と考えて間違いありません。
現代では、クリエイターを目指すことは考え物かもしれない
- 本記事で解説してきたように、これからの時代の創作業は、定額サービスの中の一作品として微々たる収入を得るしかなくなる可能性が高い
- 漫画や小説の本、音楽CDは中古品が各種中古ショップやネットオークションにすぐに出回ってしまうので、なかなか新品を買ってもらえず、クリエイター側の印税が増えにくい
- しかも、漫画の画像データや、音楽の音声データや、映画やアニメの動画データがネット上にアップロードされ、不特定多数の人達にダウンロードされて、そのせいで製品が全然売れないという事態も容易に起きてしまう
- 出版社やレコード会社に完全に搾取されているような状況でも、「自身の作品が世の中に広く流通する」「好きな事を仕事にできる」「プロの漫画家、プロの小説家という肩書きに憧れる」といった理由からクリエイターの志望者は後を絶たないので、
企業からのやりがい搾取という状況がいっこうに改善しない
ずっと昔の時代から絵画や音楽のような芸術で身を立てることは困難だと言われています。
現代ではそれに加えて、クリエイター側に過度の負担を押しつける企業の行動や、画像データや音楽データをネットでダウンロードしてしまう人が多いという状況が重なってしまっているので、クリエイターが非常に不遇な生き方を強いられてしまっています。
このような状況では、現代ではクリエイターを目指すのは考え物です。
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