日本の産業の生産性を低下させる大きな原因の1つになっている、
「中抜き問題」について調査しました。
日本における、中抜き問題の代表例であるIT業界の多重下請け
日本のIT業界での「多重下請け構造」
「上流工程」に位置している大手企業
- 本項目で言う大手企業は、
SIer(システムインテグレーター、行政や企業の情報システムの構築・運用を一括して請け負う事業者のこと)が該当する - SIerは顧客が求めているプログラム・ITシステムの設計書を作成し、「下流工程」の企業へプログラミング業務を発注する(この段階で、金銭の中抜きが発生する)
「下流工程」に位置している中小企業
- 本項目で言う「下流工程」とは、
SIerが作成した設計書を元にして、実際にプログラミング作業をする工程のこと - 下流工程に位置している中小企業には、中抜きされた後の報酬金しか支払われないため、企業や社員が苦しむことになる
参考:日本で、中抜きが多いとされている業界の種類
- IT
- ゼネコン(建築および土木工事を一括して請け負う大手総合建設業者)
- 人材派遣
- 「アニメ」「漫画」「イラスト」などのエンタメ系の業界
- 製造業
中抜きという商習慣による、日本の生産性が低下する問題
日本の「労働生産性」が、低下してしまう
現場で作業をしている労働者達に、十分なお金が行き届かない
- 中抜きをする大手企業が、仕事の手配をするだけで、顧客(官公庁や他企業)から得た報酬金の大部分を取ってしまう
- これにより、現場で作業をしている労働者・技術者に、わずかな金額の報酬しか届かないようになってしまう
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「価値が低い企業」がはびこる原因になりやすい
- 「仕事の手配をするだけで、報酬を中抜きし、大した付加価値を生み出さない」という中抜き企業が多くなると、日本での『生産上の無駄』が拡大していく
- 生産上の無駄が増えると、有力な商品・サービスが生まれにくくなり、日本の経済力が減退することにつながる
- 中抜きを繰り返す価値が低い企業にも、有事の際には救済のために税金が投入されるため、日本という国の生産性が上がらないことにつながる
日本で、中抜き問題がいつまでも解決しない主な理由は、
・日本では、中抜きに対する法的規制が無い状況だから
・日本では解雇規制が強いせいで、社内に社員をずっと抱え込んでおくことはハイリスクであり、「必要な時にだけ、外部の人間に仕事を発注しよう」と多くの人達が考えるから
・日本人はリスク・不安定さを極端に嫌うため、中抜き問題や解雇規制問題を解決して競争を激化させるよりは「多少賃金が低くなっても、会社に雇用されていた方が安心」と考える人が多いから
などが主な理由です。
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