なぜ日本経済でバブルが生まれ、そしてなぜバブルがはじけて長期的な不況へ突入したのか?
それを調査したので、分かったことを報告します。
バブル景気のきっかけとなった「プラザ合意」
1985年の「プラザ合意」によって、円高ドル安の状況へと変わり、このことが後のバブル経済の引き金になりました。
- アメリカの貿易赤字が長期的に続き、いずれはドルの価値が暴落して世界中へ悪影響を及ぼす危険があったので、
先進国群(フランス・イギリス・西ドイツ・日本)が協調的なドル安路線を取ることでドル高状態を解消しようとした - 当時のアメリカは、対日貿易赤字が顕著だったため、実質的にプラザ合意の主題は「日本の為替レートを調整して、円高ドル安にしてもらう」というもの
円高による危機対策で借金金利引き下げ→バブル開始
上記のプラザ合意により、たった1年間で1ドル235円から1ドル150円になり、円高状態へと変わりました。
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円高にかたむくと、輸出量が減って輸出企業とその関連企業が打撃を受けるので、結果的に日本国内が不況になっていきました。
この円高の危機から脱するために、日本銀行は借金金利を引き下げ、低金利のおかげで誰もがお金を借りやすい状況を作り、不況を防ごうとしました。
- 法人税率の引き下げで、企業活動を活性化させる
- その他、各種の税金も引き下げられる
- 公共工事を積極的に行うことで国民の雇用を創出した
借金金利引き下げで、企業も個人も借金が容易になったため、みんなが借金をし始め、それによっていよいよ「バブル経済」が起こり始めました。
日本のバブル経済中の状況
「借金金利の引き下げ」&「各種税金の引き下げ」で、国内の土地や株式を買いやすくなり、企業の利益と従業員の給料もどんどん上がっていきました。
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バブル経済期にあった「土地神話」
好景気が続けば、日本の狭い国土は将来必ず高値が付く、とバブル経済期に信じられていたものが「土地神話」。
企業や個人は借金をして日本の土地を買い、買った土地を担保にして銀行から借金をしてまた土地を買う…ということをひたすら繰り返していった。
また、「土地転がし」と呼ばれる土地の転売もさかんに行われた。
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バブル経済期にあった「株ブーム」
1987年のNTT株の新規上場→1株119万円だったのがわずか2ヶ月で1株318万円まで株価が騰がったことをきっかけに、空前の株ブームが起こる。
普段は株を触らないような素人達まで株を買い始め、日本企業の株価が釣り上がっていった。
バブル時の異常な好景気と特異な現象
地価の高騰
東京圏では、住宅地の土地価格が1987年は22%、1988年は69%も上昇した。
商業地も、土地価格が1987年は48%、1988年は61%も上昇した。
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企業による急激なリゾート地開発
好景気による民間人の消費の活性化を見込んで、建設業界・ホテル業界・不動産業界がこぞってリゾート地やゴルフ場を開発した。
海外投資
日本企業が、国外の不動産や企業を買収し、さらなる増益を図った。
中小企業オーナーや個人の中にも、海外の不動産へ投資する者が現れ始めた。
就職率の大改善
有効求人倍率が、1991年に1.40倍を記録した。同年の最高値では、大卒の有効求人倍率が2.86倍。
- 会社員の年収が、1年につき100万円のペースで上昇
- 公務員になるのは馬鹿がすること、という社会風潮
- 企業面接に来てくれた学生へ、企業が多額の交通費を支給
- 企業が新入社員獲得に必死になるあまりに、企業説明会へ出席しただけで内定を出す・「お願いですから入社して下さい」と人事が学生に頭を下げるなど
- 企業から支給された「タクシー券」でタクシーを使いまくった企業通勤
- 会社の経費で、居酒屋やクラブで豪遊できた
- 企業の「年功序列」「終身雇用」が当たり前だと信じられていた
- 銀行の普通預金の金利が年7%~8%(現在は0.01%~0.03%)
- 車を、最初の車検を迎える3年目になる前に買い換えるのが普通
- 海外の国々で「made in japan」の製品だらけになる
- バイトをするだけのフリーター生活でも優雅な生活を楽々と実現できた
膨らみすぎた泡がはじけるように、ついにバブル崩壊
1991年3月頃から、ついに日本のバブル経済が崩壊を始めました。
- 東京圏での商業地の地価が1992年で-6.9%、1993年で-19.0%、1994年で-18.3%と地価が暴落
- 日経平均株価は1989年12月29日の38915円をピークにして、1990年10月に一時20000円割れを起こすなど株価が暴落
- 株価が暴落したことで、株式運用に失敗して経営が立ちゆかなくなる上場企業が続出
- 銀行からお金を借り入れて土地投機を行っていた企業群は、
地価暴落により銀行へ融資金の返済が不可能になり、次々と倒産していった - 銀行や保険会社やノンバンクも融資金の回収が不可能になり、倒産が頻発した
- 個人でも、銀行から借り入れたお金の金利が支払えなくなったり、購入した家の住宅ローンが支払えなくなったり、
価格が暴落して売るに売れなくなった土地を抱えたまま身動きが取れなくなった人があふれかえった - 借金苦や破産や財産の大幅な目減りを理由に、自殺や夜逃げをする人が続出
バブル崩壊のきっかけ
- 不動産に関する融資金額の規制が強まった
- 1989年5月からわずか1年3カ月の間に公定歩合が2.5%→6%代へと急激に引き上げられ、市中の金融機関にお金が回らなくなった
- 1989年に「消費税」が初めて導入され、そのせいで民間の消費が鈍化した
- 固定資産税の課税が強化された
- 「地価税」の導入によって土地が買いにくくなった
- 特別土地保有税が見直される
- 譲渡所得の課税強化
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これらの金融引き締め政策が複合的に作用して、バブルが崩壊したと考えられています。
ただし、バブル崩壊の根本的な原因は
「国民みんなが、土地価格と株価はずっと上がり続けると盲信してお金をつぎ込み続け、実態とかけ離れた高値が土地と株価に付いてしまったこと」
なので、仮に金融引き締め政策がなされなかったとしてもほどなくして何かをきっかけに地価と株価は暴落していたと考えられます。
当時のバブル崩壊が現代社会へ及ぼしている影響
↓
2006年末の日本の土地資産:約1228兆円
日本の土地資産は、バブル経済期をピークにして16年間で約1228兆円も失われた。
株式投資をやっている方は分かりやすいかと思われますが、
上記の「日本の土地資産は、バブル経済期をピークにして16年間で約1228兆円も失われた」という状況は、
ある株式を高値掴みしてしまった後に株価が暴落し、株価が半値になってしまったので、その株式を売るに売れずにずっと塩漬けにしている、という状況
と酷似しています。
「現金の多くを費やして購入した土地の価格が暴落したので、土地を売るに売れずに、現金の多くが売れない土地にずっと縛られたまま」ということが日本中で起こっているので、市場に流通しているお金の総量が大きく減り、日本の景気が冷え込みました。
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それは2019年の現在でも続いています。
また、市場に流通しているお金が減ったこと以外にも、
- バブル崩壊によって企業側が新卒採用数を激減させた「就職氷河期」が発生し、多くの人達がフリーターになって人生が破壊された
- 企業活動を活性化させるために「派遣社員」「契約社員」といった派遣制度が生まれ、国民間の経済格差が広がった
- バブル崩壊時のようにまた不良債権を抱えることを恐れた銀行側が融資金の「貸し渋り」「貸しはがし」をするようになり、
銀行から企業・個人へお金が回りにくくなり、経済の停滞に拍車をかけている
などといった、現代で問題視されている数々の現象がバブル経済崩壊によって起こりました。
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