急激な経済成長を遂げた中国の社会問題と、
中国の経済成長のやり方に関する大きな問題について調査したので分かったことを報告します。
中国での、5つの社会問題
1「深刻な環境問題」
- 大気汚染
- 「PM2.5(直径2.5マイクロメートル以下の微小粒子状物質)」「二酸化硫黄」「窒素酸化物」などによる大気の汚染であり、工場や自動車からの過剰な量の排気ガスや、農村部で使われている石炭燃料が大気汚染の原因
- 中国の地方部においては、死亡原因の第一位は「呼吸器疾患」(汚染された大気による人体への悪影響だと推察されている)
- 水質汚染
- 「工場からの、排水」「田畑に撒かれた農薬・化学肥料が河川へ流出すること」「河川の沿岸部に放置されたゴミの汚液」などが主な原因
- 土壌汚染
- 「重金属(銅・水銀・鉛・鉄など)」が主な原因
- 国土の砂漠化
- 「過伐採」「過放牧」「過剰耕作」が主な原因
近年、中国は急激な経済成長を続けていますが、
それは中国が経済発展を重視するあまりに、自然環境をないがしろにし続けてきたことも同時に意味しています。
2「中国において、少子化が進行していること」
- 2019年での、中国の出生数は約1460万人であり、この数字は前年比で約4%減であり、3年連続で出生数が減少している
- 「出生数が約1460万人」という数値は、1961年以降で最低の数値だとされている
- 予測では、中国の人口は2028年の14億4200万人をピークにして、そこから人口が減少へ転じるとされている
中国で少子化が進行している理由は、
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「仕事が忙しくなったせいで、結婚や家庭にエネルギーを費やす余裕が無い男女が増えたこと」
「近年の中国では労働力として女性が重用されるようになり、そのせいで、生活のために男性と結婚する必要性が低いタイプの女性が増えたこと」
が主な理由です。
3「高齢化が進行していること」
- 2018年の時点で、中国での65歳以上の人間の国民割合は11.9%(約1.67億人)
- 国連による試算では、2035年には中国での65歳以上の人口割合は21%を超えるとされ、これは「超高齢社会」という状況だと定義されている
- 人口の7%が、65歳以上の高齢者になった社会を「高齢化社会」と定義している
中国で高齢化が進行している原因は、
医療技術の発達によって人間が高齢になってもなかなか死ななくなったことと、
上記の2「中国において、少子化が進行していること」で解説したように、少子化の進行で若者の数が増えにくいせいで総人口に対する高齢者の割合が増加することが主な原因です。
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4「中国共産党」による一党独裁体制
- 中国では、国内のインターネット上での記事・コメントが常時検閲されており、政府を批判する記事・コメントをアップロードする中国人は逮捕されることがある
- 中国政府や北朝鮮を批判する内容の書籍は、規制や出版禁止にされることがある
- 「チベット自治区の人民」「新疆(しんきょう)ウイグル自治区の人民」を支配して、これらの人民の権利を制限して弾圧し続けている
- 2017年6月施行の「国家情報法」により、政府の命令によって中国国民・中国系企業は持っている情報を政府に提供したり、国外での諜報活動に個人・企業が協力する義務がある
中国では「中国共産党(1921年に中国に創立したことが始まりの、中国の政党)」による独裁体制が敷かれていて、日本やアメリカやヨーロッパ圏での政府では考えられないような強い権限を中国政府はもっています。
中国では、2020年の現代でも国家体制に「共産主義」の特徴が色濃く残っており、他の先進国とは国の在り方が色々と異なっています。
5「圧倒的なまでの、中国の経済格差社会」
- 中国の富裕層(世界上位10%である、純資産10万9400ドル以上を保有する層)は、9990万8000人(2018年時点)
- この富裕層は、近年の中国で起こった「土地・不動産の非常に大規模な経済バブル」に乗じて資産を形成したとされることが多い
- 富裕層は、「都市戸籍」をもっていることが非常に多い
- 都市戸籍をもっている中国国民は、約4億人
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- 中国の貧困層は「農村戸籍」をもっていることが非常に多い
- 農村戸籍をもっている中国国民は約9億人であり、そのうちの約3億人が「農民工」として、安価な労働力として都市部で働いている
- 残りの6億人の農村戸籍者は、中国の地方部で農業に従事し、貧困生活を強いられている
- 農村戸籍をもつ者は、「都市への移動」「都市での就職」「大学進学」などの行動が厳しく制限され、低賃金の労働にしか就けないことがほとんど
中国国民に振り分けられる「都市戸籍」「農村戸籍」という2種類の戸籍は、事実上の中国での身分制度です。
「農村戸籍をもつ国民は、合法的に安価な労働力として使役できる」
という中国の社会制度は、中国の都市部と中国の経済力を急激に発展させましたが、
多数の国民に生まれながらに奴隷的な生き方を強いる本制度は、倫理的に多大な問題を含んでいます。
中国の経済が強い、主な理由
中国経済が急成長した、主な理由
- 中国は他国よりもずっと人口が多くて、何億人という人口を「安価な労働力」として活用してきたから
- 中国に多数の工場を作り、外国の企業に「中国の工場では、中国人を安い人件費で働かせることができる」という魅力によって中国内の工場で製品を製造させ、製品を輸出することで、低関税によって多大な利益を上げられる
- 中国は「製造」「加工」の分野に強くて、変動が激しい観光産業や金融事業などと違って堅実に利益を獲得し続けられるうえに、
後に世界で巨大な市場となる「家電」「スマートフォンのようなIT機器」と相性が良かったから - 中国には「勤勉で、向上心が強い学生」が多く、中国での極めて過酷な学歴社会を勝ち抜いた超エリートの人材達(中国は多人口であるため、超エリートの数も多い)が、研究開発や企業経営や投資などで中国経済をぐいぐいとけん引しているから
上記のように、
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中国は「数の力」や「優秀な超エリート達の力」でめまぐるしい経済成長を果たしましたが、
次の項目で解説するように、中国の経済力が高いことには「裏事情」があります。
中国経済における、2つの重大な問題点
1「経済活動において、中国は倫理意識が低い行動が多すぎる」
- 他国の企業の製品の、技術やデザインをパクったような製品・海賊版(外国の著作物を著作権者に無断で複製販売したもの)を作り続ける
- 「製品の性能・品質を意図的に落としてコストを削減し、買い手達を騙して安物の製品を大量に売りさばく」といった行為が繰り返される
などが一例
近年の中国の経済活動で特に問題視されていることが、「一帯一路(いったいいちろ)」というものです。
- 「一帯一路」とは、中国を含むアジア圏と、ヨーロッパ圏を、「貨物列車が走る、鉄道」「原油や天然ガスを移動させるパイプライン」などで結び、
非常に大規模な物流ルートを造ろうとする、中国が推し進めている構想 - 中国は「この一帯一路の計画に協力する国には融資(お金を貸し与えること)をする」として、お金が欲しい100近い国・地域が、この一帯一路に協力している(2020年現在)
- しかし、中国から融資されたお金を返済できない国は、その国の特定の港(みなと)の港湾運営権を借金のカタとして中国に渡さざるを得ない事態が多発し、問題視されている
一帯一路計画を介して多数の国・地域にお金を貸し与えて、それらの国・地域への中国の影響力を強め、
さらには、借金の返済ができなくなった国・地域の港(港は、海運や戦争行動において重要な役割を果たす貴重な存在)を次々と獲得していく中国の行動は、
露骨な覇権主義(その国の政治体制が、他国を経済的・政治的・軍事的に支配しようとすること)であると、各方面から指摘されています。
2「中国では、企業に政府が経済介入しすぎて経済のルールを逸脱しすぎている」
- 中国の国有企業が、不当な産業補助金(金額があまりにも巨額であったり、補助金制度の仕組みが対外的に不透明であること)の効果で急成長したり、
産業補助金の効果で「高性能な製品を超安価で次々と海外へ輸出して市場シェアを急速に奪っていくこと」が、近年、世界中で問題視されている - 「中国の国営企業の強力な競合相手になりそうな海外企業は、中国内で商業展開をすることを禁じる」など、他国の企業を不当にシャットアウトしている
本項目の有名な例が、2018年から2019年にかけて世間を騒がせた「HUAWEI(ファーウェイ、華為技術)」に関する事件です。
- 中国の大手テクノロジー企業・HUAWEIが発売していたスマートフォンやタブレットPCは、「価格が安い割には、かなり高性能な製品」だったので、アメリカや日本での市場シェアを急速に伸ばしていた
- ただし、「価格が安い割には、かなり高性能な製品」をHUAWEIを実現できた理由は、中国の国の背景を鑑みると、中国政府による不当な産業補助金があってこそ、という見解が強い
- 中国の「国家情報法」により、HUAWEIが販売したスマートフォンをはじめとしたIT機器製品で収集したユーザー達の情報は中国共産党に全て渡ってしまうため、HUAWEIはアメリカを筆頭にして各国から危険視された
HUAWEIの問題は、中国政府が国内企業や、人々のプライベート情報に不当に介入していることを如実に表している問題です。
HUAWEIは、アメリカ政府から製品の輸出規制をされたり、
HUAWEIの新製品には「Google Play」などのGoogleの重要なサービスが利用不可能になる措置がなされたりと、色々な規制・制裁措置がされています。
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中国の経済上での問題を総括すると、
「自国の経済発展やお金儲けを優先するあまりに、経済ルールや法律や人権を無視した暴挙に出ることが多すぎる」
というものになります。
そして、この問題は、
本記事で解説している中国での社会問題である
が起こる原因にもなっています。
「企業間での自由競争」という経済の原則ルールを無視して、中国国内の有力企業に潤沢な補助金をじゃぶじゃぶとつぎ込むという中国のやり方に、
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まっとうに経済ルールを守っている海外企業が勝てるはずがありません。
その状況を放置し続ければ、巨大な資本と優れた技術力と優秀な人材を抱えるようになった中国企業群に、海外の国々の経済が支配されることは目に見えています。
そうであるからこそ、2020年現在、アメリカや日本を始めとした各国が、中国からの自国企業の撤退を加速させていたり、
中国の逸脱したやり方を非難し経済制裁として輸出規制などをするようになってきています。
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