ヨーロッパのEU圏で起きている各種の社会問題について調査したので分かったことを報告します。
EU圏の国々で起きている、5つの社会問題
1「紛争地域から脱出してきた『難民』が、EU圏に押し寄せること」
EU圏に入ろうとする、難民の主な出身国
- シリア
- アフガニスタン
- イラク
- パキスタン
- イラン
難民が入国申請をした、EU圏の主な国
- ドイツ
- フランス
- ギリシャ
- スペイン
- イタリア
EU圏の国の中では、ドイツが特に多くの難民を受け入れていることで知られています。
難民の受け入れについては、
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- 難民の衣食住の面倒を見ることは、その国の税金(税金は、その国の国民達の収入から徴収される)を使って行われること
- 難民が、貧困問題が原因で窃盗・恐喝・暴行のような犯罪を起こす可能性が高いこと
- 難民と、受け入れ国の国民との間で、宗教的対立が起こりやすいこと
など、複数の深刻な問題があり、難民の受け入れにはだいたいの国が難色を示します。
2「EU(欧州連合)が抱えている構造的問題」に、振り回されている国が多い
経済力が低いEU加盟国も、他の加盟国が面倒を見なければならない
- ポルトガル (Portugal)
- イタリア (Italy)
- ギリシャ (Greece)
- スペイン (Spain)
EU加盟国の中には、経済が好調な国と、財政破綻寸前までおちいった国(ギリシャなど)とが混在しています。
経済が好調なEU加盟国が、経済が不調なEU加盟国を税金を使って経済支援しなければならないため、そのことに強い不満を抱く人々が大勢います。
「他国の安い労働力」に、自国の雇用が奪われてしまう
- 「EU圏内では、国と国の間で人間が自由に移動ができるというルール」のせいで、仕事の雇用面での問題を抱えているEU加盟国が多い
- 経済力が高くて労働者の賃金が高い国(たとえばドイツ)へ、他国から労働者達が殺到し、そのせいでドイツ国民のための雇用が奪われてしまう
- 労働条件が良いEU加盟国へ労働力が流出してしまうせいで、自国の働き手が減少して経済力が減退してしまう国もある
EU圏では、「ユーロ(euro)」という共通通貨が使用されています。
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使用通貨が共通通貨で固定されていることの弊害で、EU圏内での地域間・国家間での賃金格差が露骨なものとなり、
最低レベルの時給4ユーロ程度の地域と、最高レベルの時給40ユーロ程度の地域が同時に存在しています。
「EU全体のための規則」に、自国が悪影響を受けてしまう
- EUでは、EU全体の運用が上手くいくようにするための法律・協定・非常に細かい規則が存在し、そのせいで悪影響を受けるEU加盟国がある
- 自国の状況を良くするための法律を新しく作ろうとしても、それが上記のEUの法律・協定・規則に沿っていない場合は、法律が無効になってしまう
- 自国の状況的にほぼ無関係で何の恩恵も受けられないようなタイプのEUの法律・協定・規則も、それを守る義務があるため、自国の行動が大きく制限されてしまう
イギリスがEU脱退にかじを切った大きな理由として、
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「EUの面倒なルールがあるせいで、イギリスの国の主権がおびやかされている」
というものが挙げられます。
3「移民を積極的に受け入れた事で、数々の弊害に苦しむことになってしまった」
「受け入れた移民達」と「自国民達」の、深刻な対立
- 生活文化の違いによる対立
- 使用する言語の違いによる対立
- 信仰している宗教の違いによる対立
- 生活の安定度の違いによる、「犯罪を行う者」「犯罪の被害を受ける者」という対立
EU圏の移民問題でよく挙げられる大きな問題が、
「イスラム系移民と、ヨーロッパの国々の自国民達との対立」です。
イスラム系移民が信仰しているイスラム教では、
「1日5回、礼拝をする義務がある」「豚肉や酒類は摂取してはいけない」「一年に一度、約30日間の断食月(ラマダーン)がある」
といった厳しい戒律が存在し、
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ヨーロッパ圏の国で広く信仰されているキリスト教とは、宗教の種類そのものと生活様式が大きく異なっているため、イスラム系移民とヨーロッパの国々の自国民達との間で、対立やみぞが生まれやすいと言われています。
深刻な対立によって生じる、犯罪やテロや排斥運動
- EU圏で生活を始めた移民達は、その国の使用言語を上手く話せなかったり、その国の文化に上手く馴染めないせいで、就学や就労で問題が起こる場合がかなり多い
- 金銭不足で生活が困窮した移民が、窃盗や恐喝などを起こしやすいことが問題視されている
- 異なる宗教間での対立が原因で、イスラム系移民などがテロを散発的に起こすことも深刻な問題になっている
移民先の国に馴染めない移民達と、その国にもともと住んでいる人達の間に対立が起こり、
双方が起こす排斥運動・抗議デモにより、治安が悪化しています。
4「ポリコレ問題や人権問題のせいで、どんどん窮屈な社会に」
ポリコレ問題
- 性別
- 婚姻状況
- 職業
- 信仰
- 人種
たとえばこれらについて、差別・偏見を想起させない公正な言語的表現を周囲に求めることが、「ポリティカル・コレクトネス(略称がポリコレ、政治的公正さのような意味)」
人権問題
- LGBT(性的少数者)の人権
- 特定の人種に対する差別
- 特定の宗教に対する差別
- 移民や難民に対する差別や排斥運動
これらについて、人権を拡張させたり、差別や排斥運動を無くそうとするデモ運動
EU圏の国々は「人権先進国」と呼ばれることが多く、「差別」「人権」などの要素について非常に敏感です。
しかし、そのことが近年ではあだとなり、
抗議デモが頻発して街の治安が悪化したり、ポリティカル・コレクトネスを追求しようとするあまりにどんどん表現規制が増加したり、多数の問題を抱えている移民・難民の事案について抗議運動のせいで毅然とした対応が取れない、
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といった問題が頻発しています。
5「EU圏の国の、非常に高い若者失業率」
- 2015年度において、EU加盟国である28ヶ国の平均若者失業率は20.9%
- 同年で、特に若者失業率が高い国は
スペイン(若者失業率が49.9%)
ギリシャ(若者失業率が49.7%)
イタリア(若者失業率が42.7%)
- 同年で、特に若者失業率が高い国は
EU圏において、若者の失業率が平均的に高いことが社会問題になっています。
EU圏で若者の失業率が高くなりやすい理由は、
低賃金で働こうとする移民達に雇用を奪われてしまうことや、ヨーロッパの企業は経験者を採用することが原則であり未経験者の若者達は企業就職が困難であることが、主な理由です。
複数の構造的欠陥を抱えるEUを、それでも存続させる理由
EU存続の最大の理由である、「第一次世界大戦」と「第二次世界大戦」
1914年7月、オーストリアがセルビアに宣戦したことが原因(両国は共にヨーロッパ圏内の国)
(上記の宣戦後、オーストリアと同盟を組むドイツがイギリス・フランスと開戦し、ヨーロッパ圏内の国同士での戦争が起こる)
1939年9月、ドイツがポーランドへ侵入したことが原因(両国は共にヨーロッパ圏内の国)
(上記の出来事の後、ドイツがイギリス・フランスと開戦し、ヨーロッパ圏内の国同士での戦争が起こる)
大量の死者・負傷者を出してしまった歴史的大惨事である「第一次世界大戦」と「第二次世界大戦」が始まった原因は、共通して『ヨーロッパ圏の国同士の争い』です。
そのことへの反省と教訓を活かし、ヨーロッパ圏の国々の統合を目指して1967年に設立されたEC(欧州共同体)の前身を経て、
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1993年に設立されたものがEU(欧州連合)です。
EUというわく組みの中にヨーロッパ圏の国々を加盟させることで、これらの国々を共同体とし、
共同体である国同士が仲良く付き合うことで、二度と世界大戦が起こらないことを目指しています。
EUを存続させるうえでの、経済的な狙い
- EU圏内の国同士の間で、金銭資本・労働力の移動を自由化させるルールを敷くことで、EU全体で見た経済力の成長をうながす
- EU(20ヶ国以上の国家から成る共同体)という極めて巨大な経済圏を創ることで、アメリカ・日本・中国といった経済大国に対抗する
- EU圏内の国同士では、輸出入をする際の関税を撤廃することで、国家間の貿易がスムーズに進むようにして、EU全体で見た経済力の成長をうながす
- EU圏内で使える共通通貨「ユーロ」を導入することで、EU圏外の海外の投資家達がユーロ通貨の購入と、購入したユーロ通貨を使ったEU圏内の企業への金銭投資を促進させる
本記事で解説したEU圏内での社会問題は、そのほとんどが、EUを運用させるためのルールが原因です。
(たとえば、EUに加盟していると、EUのルールのせいで加盟国は難民の受け入れを拒否しにくくなる)
しかし、EUという構造には、世界大戦の再発を防ぐ目的や、ヨーロッパ圏の国々の経済力を成長させる効果があるため、一長一短の存在であると結論づけることができます。
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