アメリカのスクールでは、露骨で厳然たるスクールカーストが存在していて、スクールに在籍する生徒達は各階級にそれぞれ振り分けられています。
「アメリカのスクールカースト」について調査したので、分かったことを報告します。
スクールカーストの最上位「ジョック」「クイーンビー」
ジョック(Jock、アメリカのスラングで「スポーツ選手」と同義)
「ジョック」の特徴
- その学校で最も影響力のある運動部(多くはアメリカンフットボール部)に所属している者が「ジョック」。ジョックは「体育会系」であることが前提条件。
- 「スポーツができる」「筋肉質」「長身」「容姿が優れている」などの外見的特徴
- 小さな頃から、親に「将来、子どもがジョックになれるように」スポーツの経験を積まされていることが多い
- 「傲岸不遜で他者(特に、スクールカースト下位の者)を見下す」「露骨な男尊女卑意識」「心身の強さを至上とするマッチョイズムに傾倒している」といった性格的特徴
- ジョック達の中でも、運動部の部長・キャプテン・エースが、最上位のジョックとして学校全生徒の頂点に立つ
アメリカ社会では、その人のスクールカーストの位置が、その後の社会人としての階級に直結するので、多くの親は「息子をジョックにしたい!」と願って、幼い頃からスポーツをさせたりするそうです。
スクールカーストの頂点に立つジョック達は女子生徒達にモテまくり、さらに「マッチョ(男らしさ)を体現していない者」を見下す差別意識が強いとされています。
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クイーンビー(Queen Bee、女王蜂の意味)
「クイーンビー」の特徴
- 女生徒達でのスクールカーストの頂点に立つのが「クイーンビー」
- 多くはブロンドの髪(金髪)で、チアリーダー。または演劇部の主演格。
- クイーンビーの多くは整った顔立ちと優れたプロポーションの身体をもつ、カリスマ性をもった美女
- クイーンビーと同じようにスクールカーストの最上級の「ジョック」と交際していることが多い
アメリカのスクールカーストの最上位である「クイーンビー」「ジョック」は、生徒達はおろか教師達にまで一目置かれ、あれこれ優遇されることが多いようです。
ジョックやクイーンビーの取り巻き「サイドキックス」
「サイドキックス」の特徴
- スクールカーストの最上位であるジョック・クイーンビーが引き連れている取り巻きが「サイドキックス」
- サイドキックス(Sidekicks)の意味は、親友・仲間・相棒など
- サイドキックスは、ジョック・クイーンビーのパシリに使われることが多い
- パシリに使われるものの、サイドキックスはジョック・クイーンビーに負けず劣らず優れた容姿を持ち、スクールカーストの上位者
サイドキックスの亜種「ワナビー」「プリーザー」
- ワナビー:ジョック・クイーンビーに憧れる者。
- ジョック・クイーンビーと、そのサイドキックスの取り巻きをする。ワナビーの語源は「want to be(~になりたい)」。
- プリーザー:スクールカーストの上位者にあれこれねだる立場の者。
- ジョック・クイーンビーと、そのサイドキックスの取り巻きをする。男子のプリーザーは、自分よりも下のカースト層生徒にたかり行為(please)をしていることがある。プリーザーの語源は「pleaser(ねだる者)」。
アメリカのスクールライフを純粋に満喫できる勝ち組階級はここまで。
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ここからはアメリカのスクールカーストの中間層と、その下の負け組階層をそれぞれ解説をしていきます。
スクールカーストの中間層
プレップス(Preps、予備校(Prep school)から)
「吹奏楽部」のような、文化系部活の最上位に属する生徒達は「プレップス」というスクールカーストになります。
「プレップス」の語源は、大学進学を目的にした私立高校(Prep school)。
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プレップスは両親がお金持ちであることが多いのですが、本人が体育会系ではないので、スクールカーストの上位へは行けず、中位に留まります。
メッセンジャー(Messenger、使いの者という意味)
「メッセンジャー」の役目は使いパシリ。スクールカーストの上位層に使い走りにされたり、上位層の意向を下位層へと伝えることなどをします。
日本でいう「キョロ充」に相当します。
スラッカー(Slacker、怠け者という意味)
スクールカーストとしてのスラッカーの意味は「抜け作、馬鹿」。スクールカーストの上位集団の引き立て役になります。
また、スクールカーストの上位勢の前でおどけて見せて笑いを取るため、一定の人気と地位を確保しています。
これらのカーストは、最上位へ昇ることはできないが、上からいじめられることもない、という中間的な位置づけです。
スクールカーストの下層の、いわゆる学校の日陰者たち
ギーク(geek、グロテスクな見世物をするサーカス芸人・変人などの意味)
パソコンやSFなどのオタク。
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スクールカースト最上位の「ジョック」や「クイーンビー」にいじめられることが多いので、ギークが社会人になって映画監督のような影響力のある仕事に就くと、学生時代の意趣返しをこめて、「ジョック」を思わせる筋肉バカや「クイーンビー」を思わせるハデな身体のバカ女が序盤で無残に死ぬ、という展開の映画やドラマが数多く作られる(ホラー系の作品で特に顕著)。
ギークとしては最上級に成功しているマイクロソフト社のビル・ゲイツ氏は「将来、君が働くのは今バカにしている連中の下だぜ」といった趣旨の発言をしており、オタクで勉強ができるギークが将来的に社会で出世することも多いです。
ブレイン(brain、ガリ勉、脳・知力などの意味)
ガリ勉、勉強ばかりしている人を指します。
ゴス(goth、野蛮さなどの意味)
ゴシック系・ホラー系の怪奇趣味に傾倒する人を指す。「私、幽霊が見えるの…」という感じの人。
スクールカースト最下層「ターゲット」
その名もダイレクトにtarget(標的)。
学内で孤立しているためにいじめの標的にされがちです。
体育会系の「ジョック」や「クイーンビー」からのいじめは熾烈を極めるので、ターゲットの学生生活は悲惨の一語。
特例のカースト外「バッドボーイ」「フローター」
バッドボーイ・バッドガール(bad boy、bad girl)
不良少年および不良少女。
授業をサボってばかりでクラスの中にいないことが多いので、スクールカースト外。
銃社会のアメリカでのバッドボーイ・バッドガールはシャレにならないほど危険なので、スクールカーストの各階層からいたずらにちょっかいを出されることも少ない模様。
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フローター(The Floater、浮かんでいる者、浮いている人という意味)
不思議ちゃんといわれる。
図書館で司書したり一人で本を読んだりしてる子。クラスから浮いており、最初からカースト間競争に参加しないのでスクールカースト外。
アメリカのスクールで「オタク達」がいじめられる理由
上記のスクールカーストの下位(ギーク・ブレイン・ゴス)を総称してナード(nerd)と呼びます。
アメリカの学校の文化背景に「スポーツ以外に、情熱を注ぐ趣味を持っていることは変人と見なされる」というものがあり、コンピューターやオカルトに傾倒するナードはスクールカースト上位層に変人と見なされ、いじめられることになります。
日本人には理解しにくいほど、アメリカのスクールでの「スポーツ信仰」は根強く、スポーツが得意でない・そもそもスポーツを全然やっていない者は、まっとうな人間とは見なされないほどだと言われています。
アメリカのスクールカーストについての豆知識
それに加えて勉強もできる文武両道であることが多い。
しかも、親がお金持ちであることも多いため、勉強しかできないナード層は手も足も出ない。
「人種の違い」「貧富の差」「スクールカーストの階層の違い」
などが複雑に関わってくるため、日本のいじめよりもはるかに過激で危険なものとなる。
お金持ちの子息はふんだんな教育費をかけられ、リゾートで遊び、各種の教養も身につける。
親の資産状況が子のスクールカーストに大きく影響し、貧乏な家の子はスクールカーストのカースト間の上昇がほぼ不可能となっている。
ナード(オタク的でひょろひょろした身体つきの人間)が主役で、何かのきっかけでヒーローになり、ジョックやクイーンビーは無惨な死を遂げる、
という展開がかなり多い。
学校でナードだった映画監督達がスクールカーストのせいでジョックやクイーンビーにいじめられ、その仕返しにこのような映画展開にする、と言われている。
それほどまでに、アメリカの学校ではナードはいじめられる。
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