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歴史上で悪名高い、象の足やデーモン・コアなど放射線事件

 

歴史上でも特に悪名高い放射線関係の事件である、「チェルノブイリ原子力発電事故」から生まれた「象の足」と、多量の放射線で研究者の命を奪った「デーモン・コア」について調査したので、分かったことを報告します。

 

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現在進行形で近づくだけで死に至る「象の足」

 

 

 

 

例えに用いられる動物の象の足

 

 

「象の足」に関するネット上のコメント

「象の足」とは
事故で制御を失った核燃料が高温によって溶けて、それがコンクリートなどと混ざって固まった物体。

常時、致死レベルの高線量の放射線を放ち続けていて、誰も近づけず、手が付けられない。

 

象の足に含まれる
放射性物質の主成分は「プルトニウム」。
象の足の放射線量は80sv/h(1時間当たり80シーベルト)と言われている。

 

「チェルノブイリの宝石」というのは、
線量が高すぎて近寄れない象の足を、遠距離から銃で同じ箇所を何度も撃ち、
象の足の破片をマジックハンドで回収したもの。
緑がかった透明な物体で、もの凄く綺麗だったらしい。
それが「チェルノブイリの宝石」と名付けられている。
もちろん、チェルノブイリの宝石は強い放射能をもつ放射性物質だから、非常に危険。

 

「防護服」を着て作業すれば?
って意見もあるけれど、
防護服は、空中を舞う「放射性物質のチリ・ホコリ」を生身に近寄せないためのもの。
空間中に放たれ続ける放射線に対してはほぼ無力なので、防護服を着ていても放射線は防護服を通り抜けて普通に被曝する。

 

「リクビダートル」という、
原子炉から放射性物質がまき散らされ続ける地獄の状況下で、なりふり構わず多くの人命を使い捨てた異常事件。

事故が起こったチェルノブイリ原発に、放射線の危険を知らされずに投入されたがれき除去作業員の呼称が「リクビダートル」。
その数は、60万人から80万人。

 




チェルノブイリ原子力発電所事故の簡単解説

 

事故が起こったのは、原子炉のストレステスト中に、作業員の操作ミス・原子炉の特性の2つが組み合わさって、予期せぬ事態が起こり、爆発が起こったのが原因。

事故が起こったのは1986年4月26日。

 

 

原子炉で爆発が起こった流れ




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  1. 本来ならば、原子炉の定格熱出力の20-30%へ下げてから実験をするだったはずが、原子炉内に蓄積したキノセン135が中性子を吸収したことと、オペレーションミスが重なって定格熱出力の1%まで下がってしまった↓
  2. 熱出力を回復させるために、「制御棒」を次々と抜いて原子炉内の核分裂反応を増大させて、定格熱出力の7%まで引き上げた↓
  3. 炉心の反応を止めるための「制御棒」がいちじるしく少ない、不安定状態で実験を開始↓
  4. 実験開始後、急激に原子炉の温度が上昇し、即座に危険な状態になる↓
  5. 緊急停止操作として「制御棒」を炉心へ入れる操作を行う↓
  6. この原子炉は「制御棒を入れると、一時的に出力が上げる」という特性があったため、さらに原子炉内での核分裂反応が進んでしまった↓
  7. 緊急停止ボタンを押したが、緊急停止に必要な30秒程度を待たずに、ボタンを押した7秒後に爆発した(炉内で蒸気圧が上昇したことによる爆発)

 

至近距離で致死量被曝「デーモン・コア(悪魔のコア)」

1度目の「デーモン・コア」事件(1945年)

 

「プルトニウムのかたまり」(これが後に「デーモン・コア」と呼ばれるようになる)の周りに、「炭化タングステン(=中性子反射体)」のれんが状のブロックを徐々に積み重ねることで、

「どのくらい中性子反射体をプルトニウムに近づけると、プルトニウムが臨界反応を始めるか」を確かめる実験が行われた。

「中性子反射体」は、核分裂性物質(この実験で用いられたプルトニウムのかたまり)から発生した中性子を反射して核分裂性物質にぶつけ返すことで、臨界反応を起こすことができる。

「炭化タングステン」と「プルトニウムのかたまり」がある程度離れていれば臨界反応は起こらないが、近づけすぎると、中性子がプルトニウムにぶつかりすぎることで臨界反応が起こり、非常に危険な事態となる。




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1度目のデーモン・コア事件の流れ

  1. 物理学者のハリー・ダリアンが、「プルトニウムのかたまり」の周りに「炭化タングステン(=中性子反射体)」を少しずつ積み重ねていった↓
  2. ダリアンの手が滑って、炭化タングステンを手から落とした↓
  3. プルトニウムのかたまりの上に炭化タングステンがもろに落ちて両者が接触する↓
  4. プルトニウムのかたまりが即座に臨界反応を起こし、臨界反応によって大量の中性子線がプルトニウムのかたまりから放たれる↓
  5. 大量の中性子線が、そばにいたダリアンを直撃して身体を貫く(この時の線量は5.1シーベルトと推定され、この線量は致死量6~7シーベルトとほぼ同じ)↓
  6. 臨界反応を停止させるために、ダリアンがあわててプルトニウムのかたまりの上から炭化タングステンのブロックをはらいのける。臨界反応が停止する↓
  7. 25日後、ダリアンは急性放射線障害で死亡

 

 

 

2度目の「デーモン・コア」事件(1946年)

 

物理学者ルイス・スローティンが、上記の1度目の「デーモン・コア」事件(1945年)でダリアンを死に追いやった「プルトニウムのかたまり」と同一のものを実験に再利用。




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プルトニウムのかたまりを中心に設置し、それを覆う「2つの半球状のベリリウム(=中性子反射体)」を用意し、上のベリリウムと下のベリリウムの間にマイナスドライバーを差し入れて上下にぐらぐらさせ、

「どのくらい中性子反射体をプルトニウムに近づけると、プルトニウムが臨界反応を始めるか」を確かめる実験が行われた。

 

2度目のデーモン・コア事件の流れ

  1. 物理学者ルイス・スローティンが、上側のベリリウム半球をマイナスドライバーでぐらぐらさせて、周りの実験者がシンチレーション検出器で比放射能を測定していた↓
  2. スローティンの手が滑り、支えになっていたマイナスドライバーが抜け、ベリリウム半球の上と下がぴったりくっついてしまう↓
  3. 中性子反射体に完全に覆われたことで、プルトニウムのかたまりが臨界反応を起こす↓
  4. 臨界反応により、プルトニウムのかたまりを中心にして、その場が「青い光(強い放射線により、周囲の空気が電離されて起こる青いスペクトル光)」に包まれる↓
  5. 大量の中性子線とガンマ線が、そばにいたスローティンを直撃して身体を貫く(この時の線量は21シーベルトと推定され、この線量は致死量6~7シーベルトをはるかに上回る)↓
  6. 臨界反応を止めるために、スローティンがあわてて上側のベリリウム半球を手で払いのける。臨界反応が停止する↓
  7. 9日後、スローティンは放射線障害で死亡

 

 

映画「シャドー・メイカーズ」でのデーモン・コアの臨界反応シーン

 

「デーモン・コア」事件での伝説と、色々な名言

 

2度目の「デーモン・コア」事件での実験の際には、そのあまりの危険性から、ほとんどの研究者は実験参加を拒否した。

 

スローティンと同じくロスアラモス研究所に所属していた、物理学者のリチャード・ファインマンが、「ドラゴンの尻尾をくすぐるようなものだ」とこの実験の危険さを批判し、実験を止めさせようとしていた。

 

ノーベル賞物理学者エンリコ・フェルミは、功名心が先立って危険な実験を繰り返すスローティンに「そんな調子では年内に死ぬぞ」と忠告していた。

 

上記のファインマンが、本実験での、臨界反応を起こしていない状態の「プルトニウムのかたまり」を素手で触った結果、崩壊熱によって生まれる「放射能の暖かみがある」と発言。

 

立て続けに二名の研究者が死亡したことを受けて、その原因となった、死を呼ぶプルトニウムのかたまりが研究者の間で「デーモン・コア(Demon core)」と呼ばれるようになった。

 

デーモン・コアは、1946年7月1日の「クロスロード作戦」で洋上での核爆発実験に用いられ、爆発によってこの世から消失した。

 

もしもダリアンやスローティンが、プルトニウムのかたまりで起こっている臨界反応を止めようとせずにその場から逃げ出していたら、
ずっと実験室内で臨界反応が起こり続けて高線量の放射線が放たれ続け、誰も研究所に近寄れない状態になっていた可能性が高いので、
身をていして臨界反応を止めた二人は英断を下していたと言える。

 

「放射線」とは何なのか

 

「放射線」の定義

「電離作用を有する、電磁波・粒子線」の総称を、放射線と呼ぶ。

放射線の種類は、X線、γ線、β線、α線、中性子線、など。

 

 

「電離作用」とは、




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強いエネルギーを有する放射線が物質中を通過する際に、原子あるいは分子に含まれる「電子」を外へとはじき飛ばして、電子が欠けたことでその原子や分子を正の電荷を帯びた状態にする(つまり、原子や分子をイオン化させる)作用

です。

 

放射線の種類と、それらの物質透過能力の違い

 

α(アルファ)線

  • α線の正体は「陽子2個・中性子2個からなる粒子」
  • 放射線の中では、電離作用は強いほう
  • 物質の透過力は弱く、紙一枚や数cmの厚さの空気で遮断することができる

 

 

β(ベータ)線

  • β線の正体は「原子核から放出される電子」
  • 放射線の中では、電離作用は弱いほう
  • 物質の透過力はけっこう強く、アルミニウムのような薄い金属板を使えば遮断することができる

 

 

γ(ガンマ)線

  • γ線の正体は「不安定な状態にある原子核が、安定な状態へ移る際に生じる電磁波」
    • 「電磁波」とは、空間の電場と磁場の変化によって形成される波のこと。光や電波が電磁波の例。
  • 放射線の中では、電離作用はかなり弱いほう
  • 物質の透過力はかなり強く、鉛・鉄のような比重が重い物質の板・壁により遮断することができる。厚さ10cmの鉛の壁だと、γ線は約1/100~1/1000に減衰される

 

 

X線

  • X線の正体は「原子から生じる電磁波」
  • 放射線の中では、電離作用はかなり弱いほう
  • 物質の透過力はかなり強い。ただし、X線と似た性質をもつ放射線であるγ線よりは、物質の透過力は弱い

 

 

中性子線

  • 中性子線の正体は「中性子の流れ」
    • 「中性子」は原子核を構成する粒子の一つで、物質の透過力が強い
  • 放射線の中では、電離作用はかなり弱いほう
  • 物質の透過力は非常に強い。X線、γ線、β線、α線を遮断できたそれぞれの物質を全て透過してしまう。コンクリートの壁や水を大量に含んだタンクのような「水素」を多く含む物体で中性子線を遮断することができる

 

 

 

ウラン鉱石が放射線を発生させる様子

 

-40℃に維持された箱の中をアルコールの蒸気で満たし、その中に放射性物質を置くと、放射線が通った軌跡が可視化されるようになる。

 

「放射能」と「放射線」の意味の違い

 

「放射能」

放射能とは、「放射線を発する性質」を意味する。

懐中電灯と光の関係での、「光を出すことができる懐中電灯」=「放射能をもつ物質」。

 

 

「放射線」

放射線とは、「放射能をもつ物質から発生した、電磁波・粒子線」を意味する。

懐中電灯と光の関係での、「懐中電灯から出ている光」=「放射線」。

 

 

 

よく言われる「放射能を浴びてしまった」というのは誤用であり、正しくは「放射線を浴びてしまった」です。




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放射線は「目に見えない無数の極小弾丸」のようなもの

 

放射線に被曝することで細胞中のDNAが傷つく

  • 人間が放射性物質に近づき、放射性物質から発生する放射線を浴びる(被曝する)と、放射線が身体を透過する際に、細胞中のDNAが傷つけられる
    • 放射線量が1ミリシーベルトなら全身の各細胞に平均して1本ずつ放射線が通り、5ミリシーベルトなら全身の各細胞に平均して5本ずつ放射線が通る
  • 高線量の放射線を浴びてDNAがずたずたに傷つけられると、細胞分裂の際にコピー元のDNAがずたずた状態なので細胞分裂が不可能になったり、細胞分裂時にDNAの複製エラーが多発してガンを引き起こす

 

 

 

もともとDNAには、壊れた箇所を修復する機能があったり、間違って修復されてもそれを発見して正しい形へ治す酵素があります。そのため、ごく低線量の放射線ならば、DNAが少々傷つけられても自然修復します。

高線量の放射線を浴びると、全身の細胞のDNAがずたずたにされるので、細胞分裂が不可能にになって古い皮膚がはがれ落ちる・身体のなかで新陳代謝が活発な部位から順に崩壊していく・ガンが発症するなど、極めて悲惨な症状を呈し、多くの場合で死亡します。

 

原発事故で問題になるとされる、主要な放射性物質

 

ヨウ素131

  • ヨウ素131は、事故を起こした原子力発電施設から周囲にまき散らされる
  • ヨウ素131は、原発事故を起こした場所の周囲にあった食べ物に付着してそれを食べたり、常温ではガス状なので呼吸によって体内に取り込まれる
  • 体内に取り込まれると甲状腺に集まり、ヨウ素131がβ崩壊をする際にβ線を発して細胞にダメージを与えて、甲状腺ガンを誘発する

 

 

セシウム137

  • セシウム137は、事故を起こした原子力発電施設から周囲にまき散らされる
  • セシウム137は、原発事故を起こした場所の周囲にあった食べ物に付着してそれを食べたり、空中を漂っている微細なセシウム137が呼吸によって体内に取り込まれる
  • 体内に取り込まれたセシウム137が発するβ線による内部被曝で健康被害が起きる
  • 体内に取り込まれても、尿によって体外へ排出されるので、体内に留まる量は少ない

 

 

ストロンチウム90

  • ストロンチウム90は、事故を起こした原子力発電施設から周囲にまき散らされる
  • ストロンチウム90は、原発事故を起こした場所の周囲にあった食べ物に付着してそれを食べたり、ストロンチウム90が付着した牧草を食べた乳牛が作った牛乳を飲むことで体内に取り込まれる
  • 体内に取り込まれたストロンチウム90は骨に吸着しやすく、ストロンチウム90がβ線を発することによる内部被曝で、骨肉腫・白血病を誘発する

 

放射能をもつ代表的な物質

放射能をもつ物質は、

天然物質では「ウラン」や「トリウム」といった鉱石。

人工物質では「セシウム137」「コバルト60」「ヨウ素131」「ストロンチウム90」「プルトニウム239」などです。

 

 

「ウラン」

 

ウランの特徴




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  • ウラン鉱石の埋蔵量が多い国は、埋蔵量の多い順にオーストラリア、カザフスタン、カナダ、南アフリカ、アメリカ合衆国(北朝鮮の埋蔵量がオーストラリア以上という見解もある)
  • ウラン鉱石中に含まれる天然ウランのうち、その約0.7%が「ウラン235」であり、ウラン235は核分裂をする。ウラン235の割合を3%~4%まで高めた核燃料を用いて、原子力発電を行って電力を得る
  • ウラン鉱石中に含まれる天然ウランのうち、その約99.3%が「ウラン238」
    • ウラン238はそのままでは核分裂を起こさないが、ウラン238に中性子を衝突させるとβ崩壊を経て、強い核分裂性をもつ「プルトニウム239」となる。
      プルトニウム239は強い発がん性があり極めて毒性が高く、また、プルトニウム239を90%以上含む兵器級プルトニウムを用いて核兵器を作ることができる。

 




人間が致死量レベルの放射線を浴びるとどうなるの?

 

即死レベルではない、高線量の放射線を浴びた場合

  1. 高線量の放射線を浴びた瞬間、全身の「細胞に含まれているDNA」が傷つけられる。細胞自体は死なない。人体の見た目上は、変化が無いように見える↓
  2. 被曝直後、強い吐き気をもよおしておう吐したり、食欲不振に見舞われる↓
  3. 全身の細胞が寿命を迎え、細胞が死ぬ前に細胞分裂を行おうとするが、放射線によってDNAが損傷しているため、正常な細胞分裂が不可能になっている↓
  4. 古くなった皮膚がはがれ落ちる。細胞分裂が不可能なので皮膚は再生されず、皮膚の下の組織がむきだしになる。
    腸内の細胞も新陳代謝ができないので、下痢をして古い組織を排出した後、食べ物を摂取しても腸で栄養吸収ができなくなる。
    白血球のような骨髄細胞も作られなくなったことで免疫力が失われ、感染症にかかりやすくなる↓
  5. 痛覚や知覚などを司る四肢や脳の神経細胞は、上記のような新陳代謝はしないため、DNAが損傷しても働き続ける。したがって、放射線障害で身体が崩壊し続けても、痛みや恐怖を自覚したまま、生存の限界の時まで生き地獄が続く

 

 

即死レベルの、超高線量の放射線を浴びた場合

仮に40~50シーベルトのような高線量の放射線を浴びた場合、中枢神経系に重大な障害を引き起こす。

被曝者は知覚異常・灼熱感を覚え、脳が浮腫状を呈し、昏睡して3日以内に死亡する。

 

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