種によってはどう考えても間違った方向へ進化してしまったような生物も存在しており、あまりに弱すぎて絶滅しないのが不思議、もしくは放っておけばすぐにでも絶滅するが人間にとってメリットがあるので手間暇かけて生かされている、という超脆弱な種がいます。
弱すぎて目を疑う、進化方向を誤った4種類の生物を解説します。
ちょっとしたミスですぐに死ぬ最弱伝説魚「マンボウ」
マンボウの弱いところ
- 食べ物の消化能力が低く、魚をそのまま食べると、骨が腸に刺さって死ぬことがある。
海の中では、柔らかいクラゲなどを食べ、水族館で飼育する場合にはイカ・エビのすり身などの消化しやすいエサを与える。 - 体表の皮膚が弱く、強めに触ると跡が残って、その傷跡から感染症を発症することがある
- 泳ぐ速度がかなり遅い。体の後ろにある小さなヒレでちまちまと方向転換をするため、小回りが効きにくい。
- マンボウのメスは3億個もの卵を産み、これは脊椎動物が産む卵の数としては世界最大とされる。
それだけ産んでも、マンボウの稚魚のほとんどは他の生物に捕食され、1匹か2匹しか成体になれない。「弱い生物ほど多産多死」の象徴的生物といえる。
- マンボウは直進しかできないので、障害物に衝突して死ぬ
- 近くにいた仲間が死んだことにショックを受けて死ぬ
- 深海へ潜水して、寒さで死ぬ などなど
ネット上では以上のようなマンボウコピペが流行しているが、これはマンボウの弱さが誇張されたデマとのこと。
水族館の飼育員の方によると、「意外と泳ぐスピードが速く、そんなに弱い魚ではない」とのこと。
スポンサーリンク
しかし、膨大な量の寄生虫に寄生されていて容易に病死、ほ乳類でいうところのろっ骨がほぼ無いので弱点ががら空きで、のろのろ遊泳しているところを他の魚に腹部をついばまれて容易に死ぬなど、マンボウが異常に脆弱であることは疑いようがない。
かわいいは正義!という理由で生かされている「パンダ」
パンダの弱いところ
- パンダの歯や消化器官は肉食動物のそれに似ているが、それでもなぜか食事のほとんどは植物である笹(ササ)。
パンダは笹を一日中食べているが、食べた量の1/5しか栄養にできないという不合理な生態をしている。- なぜ笹ばかり食べているのかというと、パンダは天敵・エサをめぐる競争を避けて中国山岳地方の奥地に棲み着き、そこで一年中食べられるエサが笹・竹だけだったから
- 笹ばかりを選んで食べているので、竹が60年から100年の周期でいっせいに開花して、その後枯れて10年近く再生されない時期には、エサを失ったパンダの大量餓死が起こる
- パンダは単独行動を好み、自然環境の中で異性の個体と出会う確率が低い。しかも発/情している期間が1年間で3日から1週間と極端に短い。
自然のままにパンダが大繁殖するのは不可能に近い。 - パンダの赤ちゃんは未熟児状態で産まれ、体温調節もできず、母親パンダが抱きかかえて温めて、授乳しないとすぐに死んでしまう。
母親の体の下敷きになって死んでしまう事故もよく起こる。母親パンダが育児放棄したら、飼育員達の手厚い育児が必要になる。 - ワシントン条約で「絶滅のおそれがある動物」にパンダが指定されている
- ただし、可愛い外見に反して、意外とどう猛
「客寄せパンダ(人気や知名度のおかげで、集客能力が高い人・モノを皮肉を込めて呼ぶ言葉)」という語句があるほど、パンダは人気があり、動物園での集客のカギにもなりうる動物。
そのため、パンダを飼育して、どうにかして繁殖させることは、動物園側の大事な課題となっている。
怠惰に極限特化した生命体「ナマケモノ」
ナマケモノの弱いところ
- とにかく、動かない。1日のうちの20時間程度は睡眠している。
- あまりにも動かないので、体表に「コケ」が生える。そのコケを自分で食べて、栄養源の1つにしている。
- 樹上から降りるのは、1週間に一度あるかないか(用事は排泄)
- 1日に食べる葉はたった10グラム程度。ほとんど動かないのでエネルギー消費が少なく、これほど小食でも生きていける。
- ほ乳類で唯一の変温動物であり、外気温によって体温が上下する。
恒温動物では、体温の維持に常にエネルギーを消耗し続けるため、動けないナマケモノは進化の過程で変温動物であることを選択した。 - 樹上から地面に降りた時の移動速度は、1時間に16メートルを移動するのがやっと。水中での泳ぎは意外と上手い。
- ナマケモノの身体能力がこれほど低いのは、全身に「筋肉」がほとんど無いため、動きたくないというよりも動けない
- 戦闘能力・逃走能力は皆無といっても良いので、枝に張り付くように丸まって、樹の一部に擬態して身を守っている。
しかし、それでもタカ・ワシ・ピューマ・ジャガーなどの肉食動物に見つかって、そのまま為す術無く捕食される。
弱体化しすぎてもう野生に帰れない「カイコ」
カイコの弱いところ
- 約5000年前から、人間の家畜として生態を調整されため、カイコはいろいろな能力が退化して自然界では生きていけない
- カイコの幼虫は腹脚の力が弱く、枝につかまり続けることができないので、すぐに地面へ落ちて死んでしまう
- カイコの幼虫は、近くの葉を食べ尽くすと、新しい葉を探そうとせずに、そのまま餓死してしまう。人間が継続的にクワの葉を与えないと、生存ができない。
- 成虫になったカイコは、羽虫であるにもかかわらずに飛行能力が無い。
そのため、交/尾するための相手を探したり、産卵場所へ移動することが難しく、カイコは自力繁殖ができない。
蚕(カイコ)が成虫になる時、口から糸を吐いて、だ円型の繭(マユ)を形成し、その中でサナギになる。
繭はサナギごと茹でられ(カイコは死ぬ)、繭を解きほぐして「絹(きぬ)」を織るための糸が得られる。絹で織られた衣服は光沢があり肌触りも良く、古来より高級品とされている。
スポンサーリンク
おまけ:上記の脆弱化進化とは逆の強力進化を遂げた種
- 「スズメバチ」…狩り用に、オーバースペックの飛行&攻撃能力を生まれ持つ
- 「クモ全般」…超軽量かつ丈夫な糸で罠の巣を形成したり、それ以外でも狩り能力も優れている
- 「シャチ」…海中で天敵が存在しない唯一の種とされている。
内臓を守る骨格もしっかりしていて防御力と身体能力が高く、巨体で、しかも集団で連携して獲物を襲うほど知能が高いため、サメ単体よりもはるかに強い。 - 「イヌ」「ネコ」…人間に非常に愛される外見で、愛玩動物として労さずして種の繁栄が可能
- 「その他、各生態系ピラミッドの上位捕食者」…クマ、タカ、トラ、ライオン、ゾウ、カマキリなど、生まれついての強者
本ブログ推奨の、書籍や漫画の読み放題サービス
コメント