個人でなく、国家が、他国からの借金を返せなくなったり、借金の利息を支払えなくなって破産する「デフォルト」。
まれに起こるこの国家の財政破綻は、大ニュースとなって金融市場が大混乱に陥ります。
最近でもギリシャがデフォルト寸前に陥って話題となった、デフォルトの原因と、デフォルトによって引き起こされる現象を調査したので、分かったことを報告します。
2015年、ギリシャがデフォルト寸前までいった
2015年6月、ギリシャは6月末までのIMF(国際通貨基金)への15億ユーロの返済が難しくなり、デフォルト寸前の状況に陥りました。
- 国民と、公務員の年金などの生活手当が厚すぎるせいで、財政支出が多すぎる
- 公務員の数が多すぎる(国民の10%、労働人口比率では30%近くが公務員)せいで公務員の給与となる財政支出が多すぎる
- それまでは「財政赤字はGDPの5%程度」と公表していたのに、
2009年の政権交代時に「実は、財政赤字はGDPの12%程度」という事実と粉飾決済をしていたことが明らかになり、
国際的な信用を失って、投資家などからのお金が回りにくくなった - 国民のライフスタイルが「午前中だけ働いて、午後はのんびり休む」、観光業以外に目立った産業が無い、というギリシャの構造から、お金が生まれようがない
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ギリシャは、ユーロ圏の債権国側の要求である「今よりもさらに緊縮財政を進めろ」というものを呑むことで、何とか追加の融資を受けられることになり、デフォルトの危機を脱してEU加盟国に留まることができました。
デフォルトによって国内に起こる事
「デフォルト」によって財政破綻国家に起こる現象
- 「預金封鎖」(銀行預金から1日に引き出せる金額・送金できる金額に上限額の規制がかかる)
- 「失業者が急増する」(国の経済がとどこおることで、企業が倒産したり大幅な人員削減を行うため)
- 「物価が上昇する」(政府が発行している通貨の信用がいちじるしく下がっているため、それにともなって物価が上がり、国民の生活が苦しくなる)
- 「自国の通貨が通貨安状態になる」(上記のように通貨の信用と価値がいちじるしく下がっているため、自国にとって不利な為替レート状況になり、輸入をする際に価格が高騰している)
- 「公務員の給与が支払われない」(国に、公務員に支払えるお金が無いため)
政府のデフォルト史
- 1671年、イギリス政府は200万ポンド以上に上る公債が償還できなくなり、借金の棒引きを行っている。
- 1982年、メキシコで外債の債務不履行が発生した。
- 1987年、ブラジルは対外債務(1110億ドル)のデフォルトに至った。
- 1998年8月17日、ロシアは90日間の対外債務の支払停止(ロシア財政危機)。
- 2001年12月、アルゼンチンは外国債に関してデフォルトを宣言した。
- 2008年12月12日、エクアドルは同国政府が発行した外貨建て債務についてデフォルトを宣言した。
- 2013年7月18日、アメリカのミシガン州デトロイト市は米連邦倒産法第9章を裁判所に申請し財政破綻した。
- 2014年3月末時点で中国の9省が地方債務のデフォルトを起こした。
- 2014年7月31日 – アルゼンチンは、約12年ぶりに2度目の債務不履行に陥った。
- 2015年6月30日 – 返済期限である2015年6月30日を過ぎても、ギリシャはIMFへの負債総額15億ユーロを返済しなかった。
これによりギリシャは、IMFに対して債務不履行に陥った先進国としては最初の事例となった。
その3日後、ギリシャのIMFに対してのデフォルトが欧州金融安定ファシリティ(EFSF)によって正式に認定された。
IMFのプロトコルでは、IMFへの債務不履行になった場合は30日間のつなぎ期間が与えられ、可能な限りすばやく返済するよう求められる。
デフォルトによって課せられるペナルティー「緊縮財政」
デフォルト寸前国家「すいません、借金や、借金の利息が払えません、どうか助けて下さい」→貸し主国家「そうか、ならしょうがないな」
がまかり通るようではどの国家もデフォルトしまくり(つまり、借金の踏み倒し)なので、それを防ぐために、罰則的なものが用意されています。
各国が破産国家を金策支援する条件として、「緊縮財政」を行うことを義務づけることが一般的です。
- 国民への増税
- 国民への年金や健康保険のような社会保障を削減
- 財政支出の削減(公共サービスを縮小・カットしたり、公務員の人員削減や給与のカット、などによって達成される)
- 国が保有している資産を売却して収入額を上げたり、借金返済に充てる
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ちなみに、デフォルト寸前常連国家で、何度も緊縮を繰り返してきたギリシャが、緊縮によって食らったダメージ↓
- 4人に1人が失業状態で、100万人が失業している
- 若者の半数が失業状態
- 経済規模が25%も縮小した
- 緊縮財政により年金が大幅カットされる
- 年金がカットされる状況でさえ、企業が社員を大量に早期退職させる
- 住む家さえ無い国民が急激に増えた
日本はデフォルトするのか?
先に結論を言うと、「日本がデフォルトすることは、まず考えられない」と言って良いでしょう。
- 日本の国債の90%以上は日本国民が購入しており、日本の借金を日本国民が肩代わりしているも同然だから
- 日本は投資行為が苦手で、貯蓄を好むため、
個人と企業の両方が銀行にばく大な額のお金を預け、内部留保として貯め込んでいるため、日本国内にはお金がふんだんに在る
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立て続けの赤字財政を埋め合わせるために、日本は赤字のたびに国債を発行しています。
この国債とは、「一年で利率○%というお金の見返りを保証するから、この国債を買って、あなたのお金を国へ貸し与えて下さい」というものです。
国債と借入金を合わせた日本の借金は2015年時点で1053兆円にも上ります。
しかし、「日本がデフォルトすることが起こりにくい理由」で記述したように、日本国内には日本国債の購入者がたくさんいることと、銀行や企業内に現金が大量にあることから、「外国からの借金」は実は少ないのです。
なので、「外国から借りたお金を、国内にお金が無いので返せません」というデフォルト状態に陥ることはほとんどありえません。
ただ、将来的に日本国民から借り入れた借金額(=国債の発行額)が2000兆円、3000兆円と膨れあがりすぎ、どう逆立ちしても返済できない状況になったとしたら、
日本政府「日本国民の皆さんが買ってくれた日本国債は、本日をもって無価値の紙くずとします。国債を何百万円分も買ってくれていた人達は丸損ですが、これにて日本の、国民からの借金はチャラです」
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という事態になる可能性もあります。
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