ジンバブエやベネズエラで起きたことで有名な、その国の物価が異常に上がり続けることでお金が紙くず同然になってしまうという経済現象「ハイパーインフレ」の影響や、
ハイパーインフレの原因について調査したので分かったことを報告します。
「ハイパーインフレ」時に国内で起こる3つのこと
その国の物価(商品やサービスの値段)が、異常に急速に上昇することを「ハイパーインフレ」と言う。
一般的に、「1ヶ月間でのインフレ率が50%以上になる場合」をハイパーインフレとしている。
1「その国のお金(硬貨や紙幣)の価値が極端に下がり、お金が鉄くず紙くず同然になる」
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たとえ話として日本でハイパーインフレが起きたとすると、果物のリンゴが1個5万円のような値段になってしまいます。
そのため、100円玉や500円玉のような硬貨、1000円札や10000円札のような紙幣の価値がいちじるしく低下し、
それまで自身が持っていたお金ではろくに物を購入できなくなります。
銀行口座に大事に預金していた数百万円から1000万円以上のお金も、実質的な価値が数百分の一からゼロ同然になってしまい、多くの人達が絶望することになります。
2「物を売っている店舗に人々が殺到し、どこの店も品切れ状態になる」
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ハイパーインフレが起きたことでその国の貨幣価値が極端に下がり、そのせいで現金や預金口座上の数字よりも、現物の商品の方がはるかに重要という状況になります。
その国の人々がこぞって現金を現物の商品へ交換するようになり、どこの店でも品切れ状態になって必要な物が購入できなくなります。
3「国内の治安が大きく悪化し、国民も生活に困窮する」
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- 「お金を使って物やサービスを買う」という行為が無意味に近くなったせいで、他者や店舗からの物品の略奪が横行する
- 物品の価格があまりにも高すぎて、手持ちの貨幣ではとても買えず、食べ物や衣類が得られない
- 医療費が高騰しすぎていて、病気になったり怪我を負っても病院へ行くことができない
- 国外へと逃亡する人々が相次ぎ、周辺国が難民の受け入れで迷惑を被ることになる
などが代表例
過去にハイパーインフレを起こした国の代表例
ドイツ
第一次世界大戦で敗戦国となったドイツが1320億金マルク(マルク札ではなく、金貨で支払うことを要求された)という途方もない賠償金を背負わされたことで、
ドイツの経済が大打撃を受けて経済状況が大きく混乱したため。
厳密に言うと、上記の事柄に加えて、フランス軍とベルギー軍がドイツ有数の工業地帯であるルール地帯を占領したことなどにより、
ドイツ国内で失業者があふれ、ドイツでの生産量が大きく低下したことで物不足におちいり、商品の物価が急激に高騰したため。
このハイパーインフレで、ドイツの物価は約2万5000倍になったと言われています。
ジンバブエ
- 「外資系企業の株式強制譲渡法案(ジンバブエ国内の外国企業が保有している株式の過半数を、ジンバブエ国内の黒人へ強制譲渡させる法案)」
をはじめとして、ジンバブエ国内の黒人を過度に優遇して外国企業を過度に冷遇する法案が成立したことで、ジンバブエから外国企業が続々と撤退し、
そのことでジンバブエが深刻な物資不足(この時点ですでに物価が高騰しているインフレ状態)におちいった - 上記のインフレ対策として、
「ほぼ全ての商品やサービスの価格を半額にしたうえで売ること」という政策が実施され、
その政策のせいで利益を得られなくなった企業(売値が安すぎるせいで金銭利益を回収できない)が続々と倒産し、
生産役の企業の倒産が相次いだことで、さらに国内での物資不足に拍車がかかり、どんどんインフレが進んでいった - 「選挙費用の捻出」「国内の労働者達からの賃上げ要求への対応」「コンゴ戦争用の支出金をまかなうため」といった理由で、無節操にジンバブエドルを刷り続けていた
などが、ジンバブエでのハイパーインフレの原因の一部
2008年10月、公式発表で同年7月のジンバブエのインフレ率は「2億3100万%」と報じられ、
人類史でもまれに見るハイパーインフレ例として世界中が驚きました。
ジンバブエでのハイパーインフレの末期では、100兆ジンバブエドル=日本での0.34円程度の価値にしかならなかったようです。
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ベネズエラ
- ベネズエラの主力産業である「石油の輸出」が、2014年の原油価格の下落によって大打撃を受け、国の経済状況がいちじるしく悪化した
- 上記の事態への対策として、ベネズエラの産業を保護するために「ベネズエラ内の石油関連の外国企業を国外へ追放すること」を国の政策として実行し、
優秀な技術者が国内からいなくなったことで、ベネズエラの石油生産量が半減してしまった - アメリカによる経済制裁を受け、余計にベネズエラの経済状況が悪化した
- 以上のような苦境への場当たり的な対策として、労働者の最低賃金の引き上げや色々な補助金をバラまくものの、
それはベネズエラの財政的に妥当なものではなかったため、結果的に余計にインフレが悪化した
2018年度ではベネズエラのインフレ率は170万%に達した、と南米ベネズエラの国会によって公式発表されました。
2019年現在もベネズエラではハイパーインフレが進行中であり、事態が収束する目処はまだ立っていません。
ハイパーインフレが起こる原因
- 大不況や賠償金の支払い義務や他国から経済制裁を受けることなどにより、国内の経済状況がいちじるしく悪化し、
そのことで国内での物資の生産量が低下すること - 「国内にお金が足りないから、国の中央銀行に新しくお金を刷るように命じよう」といった、
その国の通貨の国際的信頼をおとしめるような安易な政治的判断 - 国内から外資系企業を無理矢理追い出すなど、「国内での物資の生産量を大幅に減少させること」を引き起こし、そのせいで物が不足して物価が上がること
ハイパーインフレという状況を収束させる方法
その国がハイパーインフレという状況におちいっていると、その国のもともとの通貨はもはや価値と機能が大きく狂ってしまっているため、
「別の種類の通貨」をその国の経済に導入することでしか、ハイパーインフレを収束させる方法は無いと言えます。
- 第一次大戦後のドイツは「レンテンマルク(ドイツの土地や不動産の価値を担保にした、レンテン銀行が発行した臨時通貨)」を導入したことで、
ドイツのハイパーインフレは急速に収束した - ジンバブエはハイパーインフレの最中、アメリカ・ドル(アメリカ合衆国を筆頭にして、いくつかの国で公式通貨として採用されている通貨)を国内流通貨幣として採用したことで、
ジンバブエでのハイパーインフレは収束へ向かい、
ジンバブエドルという通貨は存在そのものが廃止された
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