日本の剣豪・宮本武蔵を主人公に据えた、修行と放浪と自己探求の漫画「バガボンド」。
武蔵以外に佐々木小次郎や吉岡清十郎のような圧倒的な強者、自分の進むべき道が見つからずにふらふらしてしまう本位田又八など、憧れたり共感できる魅力的なキャラがいっぱいのバガボンドの紹介です。
漫画・バガボンドの2つの大きな魅力
1.美麗で迫力がある漫画の絵
作者・井上雄彦の優れた画力と独自のこだわりによって描かれる、バガボンドの世界。
1コマ1コマの絵が絵画のように美しいのはもちろんのこと、自然風景の絵からにじみ出る暑さや寒さといった空気感・登場人物の内面が過不足無く伝わってくる絶妙な表情などなど、バガボンドの絵の上手さの要素はたくさんありすぎてとても紹介しきれないほどです。
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2.躍動感と緊張感がみなぎる、決闘のシーン
真剣を使った決闘なので、直後に自分か相手かそのどちらかが死にます。
作中では両方とも生き残るという結末の決闘もままありますが、それでも片方が深傷を負って勝負がついたという形で終決するかたちが多いです。
真剣を使った躍動感あふれる決闘シーンは、読者にまでキャラクター達の緊張感・心情が明確に伝わってきて、読んでいてはらはらどきどきします。
予備知識:漫画「バガボンド」とは
1600年、新免武蔵(しんめんたけぞう)は立身出世を夢見て戦に参加したが、関ヶ原の戦いにて破れ、出世の道は閉ざされた。
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武蔵は自身の犯した罪により命が絶たれそうになる事態となるが、沢庵という僧に助命され、これまでの無鉄砲な生き方と決別して「宮本武蔵」という名前へと改める。
武蔵は天下無双を目指して、流浪の武者修行へと旅立つ。
漫画・バガボンドは井上雄彦による作品で、吉川英治の小説「宮本武蔵」を漫画化したものだが、井上雄彦による独自解釈・独自展開も多く含まれる。
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「バガボンド(vagabond)」とは英語で“放浪者”、“漂泊者”という意味。
第4回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞、第6回手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞など、バガボンドは多数の栄えある賞を受賞している。
バガボンドで人気の高い登場人物達
宮本武蔵
本作の主人公。優れた武才を持ち、自らを進んで死地に置くことで剣の腕を上げていく。やがて、全国に宮本武蔵の名が広まるほどにまで大きな存在となっていく。
物語初期では天下無双になることに固執していたが、次第に、剣の道を進む意味を自問自答するようになり、自然と執着から解放され始めた。
本位田又八
武蔵の幼馴染。武才と過酷な修行によってまたたく間に名を上げていく武蔵に、引け目を感じて、自らの人生を恥じている。
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たぐいまれな才能をもち、さらに常人にはとうてい不可能な死闘を次々と重ねて名を上げていく武蔵よりも、むしろ大多数の読者は又八の迷いと自己嫌悪に満ちた生き方に共感を覚えるかも知れません。
吉岡清十郎
美貌の天才剣士。京最強と呼ばれることから、武蔵の打倒目標となる。才能はずば抜けているが、遊び人気質であり、剣に生きる気は無い。
吉岡伝七郎
吉岡清十郎の弟。兄ほどの武才は持たないが、身体の大きさと長年の修行でかなりの強さがあり、過去には武蔵と勝負をして引き分けた。
佐々木小次郎
武蔵の宿敵にして、物語の第二の主人公。生まれつき耳が聞こえないというハンデを補って余りある剣の才能を持ち、戦場の修羅場をくぐり抜けていくうちに世の中で名前を上げていく。
伊藤一刀斎
通称「剣の神様」。佐々木小次郎を一流の剣士として育て上げた、世に名前が知れ渡る剣豪。闘うことへの執着を捨てようと思い悩む武蔵が驚愕するほどの、すさまじい我執と闘争心の持ち主。
沢庵宗彭
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国から国へと渡り歩く僧。人々から忌み嫌われていた武蔵に道を説き、武蔵の人生に転機を与えた重要人物となる。その後もたびたび物語に登場する。
「強さとは何なのか?」というバガボンドの哲学要素
- 「強い」とはどういうことなのか
- 「天下無双」とは何なのか
- 他人と強さを競って何になるのか
- 強さに執着する「我執」に振り回されることは空しいのか、それとも有意義なのか
- 剣の道を極めていくと、どんな風景が見えてくるのか
- 自分はどのような風に生きていきたいのか
- 平和になりつつある世の中で、不要になりつつある侍を続ける意味は何なのか
徳川家康が戦乱の世を鎮め、世の中が天下太平へ向かいつつある時点から物語が始まります。
戦争が無くなり、侍は己の武芸を発揮する場を失いました。この時点で、すでに武蔵の出世の道は大きく断たれたも同然。
その中で、あえて侍として生きていく意味は何なのか?
その答えを武蔵が探すのが、漫画・バガボンドの大きな哲学テーマです。
刀を通してその人の人生を考察する哲学的シーン
その刀を研ぐわたしもまた然り。人を斬るための刃物に、より、確実に斬れる様に磨きをかけている。
世にも稀な碌でなしでしょうな」
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武蔵の剣を研ぎながら、天下の名刀工の光悦が静かに続ける。
「剣を己の人生の真ん中に置いていると、剣こそすべて、と口にする方はたくさんおられるが、本当の意味で、剣こそ己、と、生きている人は稀。
そういう人は余計な色がつくのを拒む。
ただ、己の色を深く濃くしていく。
その色は美しい。美しいならば、人を斬ってよいと思っているのも事実です」
すでに引退していた光悦が武蔵の為に刀を研ぐ1シーン。
剣以外にも人生のあらゆることに適用できる考え方や、哲学的問いがいっぱいです。
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