研修医である主人公が医療現場にはびこる様々な問題に直面していく漫画「ブラックジャックによろしく」。
現場の問題を赤裸々に描いた本作は名作ですが、ネット上で本作のセリフを差し替えた企業広告を多数見受けます。
「ブラックジャックによろしく」が広告として利用されやすい理由を調査したので、分かったことを報告します。
広告ネタとして美味しい理由1「驚きの著作権フリー!」
- 2012年9月15日より、漫画「ブラックジャックによろしく」が漫画作者の判断で著作権フリーとなる
- 著作権フリーとなったことで、商用・非商用を問わずに、アニメ化・小説化・ドラマ化・本作をネットに掲載する、などのことが無料で自由に行える
- 利用については事前連絡も不要で、作者が使用料を要求することも一切無い
- 作者が著作権フリーにした理由は「どのように作品が利用され、拡散されて、作者に利益をもたらしたりもたらせなかったりするのかを調査したい」というもの
漫画作品としては完全に異例の事態です。
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なるべく広告用経費を節約したい企業側が「ブラックジャックによろしく」を積極的に広告用に採用する最大の理由が、使用料を取らない著作権フリーです。
ブラックジャックによろしくは著作権フリー作品なので、ネット上のいたるところで無料で全巻読むことができます。
「ブラックジャックによろしく」が著作権フリーになった影響
作者による、著作権フリー後の調査では以下のようなことが判明した。
- 「Web媒体(企業HPなど)」と「紙媒体(チラシや雑誌など)」での漫画素材利用が特に多い
- SoftBankやキャノンのような大企業でも、広告用素材として利用された
- 双葉社から廉価版「ブラックジャックによろしく」(全4巻)が発売される
- 小説家・春日康徳によって、二次創作の小説が執筆され、出版・発売される
- テレビやDVDのような映像媒体での利用は、他の媒体での利用数よりもかなり少なかった
- 著作権フリー化したことにより、作者への直接的な経済的利益は無かったが、Kindle、iBook storeなど複数の電子書籍販売サイトで「ブラックジャックによろしく」が人気ランキングトップを独占するなど、作品と作者の知名度アップに大きく貢献する結果となった
予備知識:漫画「ブラックジャックによろしく」とは?
大学を出たばかりの研修医の主人公が、医療現場にはびこる理不尽さ(健康保険制度の矛盾や、医局の都合で医療がゆがめられ患者が割を食う現実など)や、医学や医療制度の限界のせいで患者を救えないことへの葛藤などの描写を通して、現代の医療を克明に描く漫画。
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本作は2002年第6回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞。
広告ネタとして美味しい理由2「キャラがかなり濃い」
「ブラックジャックによろしく」の特徴の一つに、登場するキャラの顔が「濃い」というものが挙げられます。
歴史上の著名な人物である「デカルト」や「ガンジー」をモデルにしたと思しき医師や、音楽家の坂本龍一をモデルにした医師も登場し、インパクトがかなり強いというのが広告用として美味しいポイント。
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濃すぎて笑ってしまう、というのもブログ管理人個人としては高く評価したいです。
広告ネタとして美味しい理由3「白衣姿なので汎用性が高い」
作中に登場する医師のほとんどは医療現場に立つための白衣姿のため、会社員がスーツを着ているように見えなくもありません。
そのため、会社で何かをやっている・作業しているように見せかけて企業広告に使うことが可能。医師が常駐する医務室が会社の中のように見えるのも、会社員の仕事のワンシーンのように見せかけることができます。
広告ネタとして美味しい理由4「みんなが超真剣な状況」
深刻な病気に苦しむ患者やその家族、病気を懸命に治そうとする医師や、医療システムのゆがみに苦悩する医師ばかりが登場する漫画なので、みんな真剣な表情ばかり。
逼迫した状況・表情というのは、それを見る人の心に強く訴えかける効果があります。
賭博黙示録カイジがネット上でネタとして愛用され続けるのも、登場人物のほとんどが逼迫した状況・表情である、という理由が大きいです。
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