大勢とは違った感性を持っているせいで集団に溶け込めない人達を書いたり、圧倒的知識量で知的な作品世界と文章を綴り上げる、たぐいまれな傑物ライター「田中ロミオ」。
以前はPCゲーム界でその名をとどろかせ、現在はライトノベルを執筆して人気を博している、田中ロミオの紹介です。
世間と相容れないキャラクター達を書いた作品
歪みからそれぞれ孤立する登場人物達「CROSS†CHANNEL」
放送部のメンバーは、それぞれに心に抱えたゆがみから、関係に亀裂が深まってしまう。
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合宿が終わり、みぞを深めたまま街へ帰還する放送部メンバーの前に広がっていたのは、いっさいの生物・人間が消え去った無人の街だった。
放送部のメンバーは、世界に残されたたった8人として、無人の街で生きていくことを余儀なくされる。
PCゲームライター時代の田中ロミオの出世作にして代表作の1つ。
それぞれに異なった歪みを抱えたメンバー同士の対立と交流と和解は多くのプレイヤーに絶大な感動を与えた。
完成された「自己」を持つが故に他者とのコミュニケーション能力に問題がある、機械的でエゴイストな「理性の怪物」の支倉曜子が好き。
家族としての愛を育むシナリオが泣ける「家族計画」
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天涯孤独の主人公、行き場が無い中国人娘、家庭事情で人間不信におちいっている少女、結婚詐欺に遭って自殺しようとしていた女性など、行き詰まった境遇の者同士が寄り集まり、擬似的な家族を少しずつ築き上げていく。
田中ロミオが山田一名義で文章を執筆した作品。
それぞれが抱える「社会になじめない理由」ゆえにキャラ同士で孤立と対立を深めながらも、家族の愛と人との繋がりを求める登場人物たちの感動的なシナリオは本作の熱烈なファンと、多数の田中ロミオ信者を作り出すに至った。
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準が拒食症を克服するシナリオが好き。
弱さゆえの美しさという新視点を発見する「ユメミルクスリ」
勉強も遊びもそつなくこなし、何となく退屈な日々を送っていた主人公。
彼の前に、深く関わってしまうと危険そうな、風変わりの少女が3人現れる。
彼女たちと交流するうちに、主人公は非日常の毎日へと足を踏み入れていく。
田中ロミオが企画し、別人が文章を書いた作品。
日常でのいじめや、弱さゆえに集団になじめない女の子などをテーマにした凡庸なシナリオ設定ながらも、心の琴線に触れるストーリーで非常に心に残る良い作品です。
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白木あえかとシットシー・ねこ子のシナリオが大好き。
ライトノベル「とある魔術の禁書目録シリーズ」のイラストレーターで知られるはいむらきよたかと、田中ロミオが組んでいるという、知られざる豪華コラボゲームであるのも見所。
田中ロミオの作風
- 性格や境遇のせいで世間・周囲と距離をとって生きざるを得ない人達が、不器用ながらも誰かを思いやる過程を描く、という内容の作品が多い
- 作品にSF要素がからんでくることが多い
- 「幻覚」「夢」と現実が混ざり合った、現実世界とファンタジーの交錯という描写がよく見られる
- シリアスなシナリオが上手い一方、ギャグテイストの作品も書くことができる
心の琴線に触れる独特のシナリオを書くことから熱狂的なファンがいる一方、田中ロミオがシナリオを書いたPCゲームは商業的にあまり売れないことが多い。
同業者で有名シナリオライターの「奈須きのこ」「タカヒロ」「るーすぼーい」「藤原将」は田中ロミオのファンであることを公言していて、業界からの評価は高く、田中ロミオの総評は「知る人ぞ知る名シナリオライター」といった具合になる。
難解かつ秀逸な物語で高い評価を得ている田中ロミオ作品
ばつぐんに上手い文章と館に囚われる雰囲気「神樹の館」
大学生の主人公は、卒業論文を作成するための資料を探していた。
資料探しのために、山奥にひっそりと建っている洋館「神樹の館」へと出向いた主人公だったが、その館では条理にそぐわない不可思議な現象が起こっていた。
まず文章が圧倒的に上手く、それに加えて、物語の舞台である館の「神樹の館」の閉鎖的でどこか安息を覚える雰囲気が秀逸。定期的にプレイし直して神樹の館の独特の雰囲気を味わい直したくなる、中毒じみた魅力をもつ怪作にして傑作。
田中ロミオのインテリ具合がのぞく、様々な雑学がちりばめられた文章が楽しい。
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個人のもつ聖域を問う哲学的シナリオ「最果てのイマ」
主人公は友達がおらず、孤独な境遇だった。主人公と同じような、心や境遇に問題を抱える者同士が集う「聖域」を街外れの工場跡に作り、そこで仲間達と過ごすことを楽しんでいた。
しかし、人間が大幅に減少していたこの世界では、主人公達の平穏と聖域は長くはもたず、新たな災厄が襲いかかろうとしていた。
超インテリゲーム。学術系の広範な知識(特に情報分野)が無いと、本作を十二分に堪能することはできません。
また、まるでパズルのピースように断片的になった異常に難解なシナリオも本作の特徴。クリア後の考察作業はほぼ必須。
哲学的テーマ、人がまばらな黄昏れた作品世界や、それにマッチしたどこかもの悲しい作中雰囲気や人間関係など、オリジナリティーあふれる傑作で、ブログ管理人が最も好きな田中ロミオ作品です。
ネット上では本作は「田中ロミオ頭良すぎワロタwwww」などと評価されています。
その他、田中ロミオがたずさわったPCゲーム
- 隣り妻(CALIGULA、シナリオ監修)
- 雪影-setsuei-(Silver Bullet、企画原案)
- おたく☆まっしぐら(銀時計)
- Rewrite(Key、共著)
- Rewrite Harvest festa!(Key、共著)
山田一(やまだ はじめ)名義で田中ロミオがたずさわったPCゲーム
- 加奈~いもうと~
- 星空☆ぷらねっと
- ドーターメーカー
- ドーターメーカー2
- 黒の図書館
- ピアノ~紅楼館の令嬢達~
毒のあるユーモアと独創的な世界「人類は衰退しました」
人類の文明が衰退し始めて数世紀、かつての高度な機械文明は失われ、中世の文明レベルと変わらない状況になっていた。
既存の人類よりもはるかに小さなサイズで、高度な文明を短時間で築くことができる新人類「妖精さん」と、人類と妖精さんの関係を取り持つ調停官である「わたし」が交流を始める。
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10代の学生が買うことが多いライトノベルということで、童話調の簡単で親しみやすい語り口になっている
(しかしシナリオは皮肉たっぷりのブラックユーモアが多々で、難解なSF要素が混ざることも多い)。
本作はアニメ化もされている人気作。
田中ロミオの本気を少年少女向けにあえてグレードダウンした作品、という印象です。実は性格の悪いわたしちゃんが可愛い。
その他、田中ロミオが執筆したライトノベル
AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~
灼熱の小早川さん
アウトロー・ワンダーランド-0-
犬と魔法のファンタジー
本ブログ推奨の、アニメ見放題サービス
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