神童(非常に優れた知性・才能をもつ子ども)が、成長後に社会でなかなか成功できないことの理由について調査したので分かったことを報告します。
「神童」がほぼ社会で大成・成功できない5つの理由
「神童(しんどう)」とは、「才知のきわめてすぐれた児童」のことを指します。
「十で神童十五で才子二十過ぎればただの人」ということわざも存在していて、昔から神童は大成しにくいものだとされています。
1「その人が、ただ単に『早熟な人』であっただけだから」(これが最大の原因)
- 早熟(心身の発達が速やかで、普通より早く大人びること)なタイプであり、知識や技術の習得スピードが、周囲の子ども達よりもずっと早い
- しかし、その子どもはただの早熟な人であったため、能力の上昇が早々に頭打ち状態になってしまい、「成功できなかった、元神童」という種類の人になってしまう
2「その人の態度やメンタルの強さに、問題があったから」
- 自身が神童であることを鼻にかけて天狗になり、努力の継続をしないようになった
- 努力をせずにサボり続けていたら、「いつの間にか周りの人達に追いつかれて、その後に追い抜かされていた」「努力をする方法が分からなくなってしまった」といった原因で、成功できなくなってしまう
- 天狗になって周囲の子ども達を小馬鹿にした態度を取り続けていたら、いじめなどを受けて、そのせいで潰れてしまった
- 能力の向上の過程で、必ず発生するスランプ期(心身の調子が一時的に出なくなる時期)で、すぐに心が折れて、その物事を放棄してしまった
- 両親や教師から期待されすぎて、プレッシャーに耐えきれずに途中で脱落してしまった
3「才能はあっても、継続するモチベーションを維持できないから」
「才能があり、その物事を巧みにこなせる」ということと、「その物事が大好きで、長く継続できる」ということの、その2つを兼ね備えることはかなりのレアケースです。
神童であり勉学や特定の分野の才能があったとしても、その物事が大好きでは無い場合は継続が困難であるため、その神童は埋もれてしまって大成できなくなります。
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4「神童同士の競争で、勝ち抜けずに脱落したり鳴かず飛ばす状態になるから」
- 全国的に有名な進学校
- アイドルや歌手などの養成所
- ピアノ演奏や絵画などのコンクール
神童であり、能力をさらに伸ばす目的や、受賞などの具体的成果を獲得する目的で、上記のような場に身を置いても、
競争相手は自身と同じく「神童」「周囲から天才と評価される者」ばかりです。
- 周囲の「自分以上に才能に満ちている人達」「才能があるうえに、情熱も兼ね備えている人達」を目の当たりにして、自信喪失状態になる
- これまでは大した努力をしなくても簡単に集団の上位層に留まることができたのに、今では中位~下位へ押しやられていて、その物事についてのやる気が失われる
などのような原因で、競争中に途中で脱落したり、集団内での競争で勝てないせいでこれといった成果を残せない、といった状況になりやすくなります。
5「周囲の大人達が、神童を上手くマネージメントできなかったから」
- 持って生まれた才能を効率良く伸ばすための英才教育
- 「努力すること」「継続すること」「才能におぼれて慢心しないこと」「自身より優れた人達に負かされても、そこから立ち直る方法」などをきちんと教えること
- 能力を伸ばせる環境(自宅内にその分野用の道具一式を揃えたり、海外留学の準備を進めることなど)を用意すること
ほとんどの両親・教師は、子どもが神童である場合の適切なマネージメント方法を心得ていません。
そのため、普通の子ども用の無難な教育を施すことしかできず、神童がもつ才能を伸ばせないまま神童を凡人へ変えてしまう、ということが多々あります。
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「大成する神童」と「成功しない神童」の、それぞれの特徴
「大成する神童」の特徴
- 他の神童達の中で、その人の「才能や能力の大きさ」が群を抜いている
- 「その分野の物事が好き」「生まれつきの性格がストイック」などが理由で、たゆまぬ努力を続けている
- 性格が打たれ強く、自身より優れた才能の持ち主に負かされたり、試験やコンテストで悪い結果になっても、短時間で立ち直る
- 「有名大学に入学し、卒業後は大企業へ入って高給取りになる」のような、堅実な道を選択している
- 「スポーツ」「音楽」「アイドルや役者などの芸能系」「絵画や彫刻などの芸術系」のような極端に競争率が高い分野に挑戦した神童は、その後に不遇な状況になる場合がかなり多い
- 「周囲の人達と上手く協調できず、孤独感のせいでうつ病などを発症して、脱落」といった出来事が、運良く起きなかった
「成功しない神童」の特徴
- たしかに才能はあるが、「他の神童達の才能とは段違い」とまではいかないレベル
- メンタルが弱く、周囲からの期待のプレッシャーや、軽度の挫折や、人間関係の軋轢(あつれき)に耐えられない
- 上記の原因から、うつ病などを発症して潰れてしまう神童がかなり多い
- 優れた学力や才能にかまけていたせいで、サボり放題状態になってしまい、堅実な道を選べずに破滅的な道へと進んでしまう
- その分野の物事を巧みにこなせる才能はあるが、その物事が特に好きというわけではないせいで、長年継続するということが困難
- 「スポーツ」「音楽」「アイドルや役者などの芸能系」「絵画や彫刻などの芸術系」のような極端に競争率が高い分野に挑戦し、才能があるライバル達との競争に勝ち抜けなかった
- その子どもがもっている才能・可能性を、周囲の大人達が伸ばすための具体的な行動を取らなかった
参考:5000人の天才児を45年間追跡してわかった、親が知るべき8ヵ条
- 才能がある子どもに、多種多様な経験を積ませること
- 子どもが「ある物事への強い興味」「何かしらの才能」を示した場合、それらを伸ばす機会を与えること
- 子どもにとって心の負担になるため、「天才」「天才児」といったレッテルを子どもに貼らないようにすること
- 「子どもの能力の高さ」を褒めるのではなく、「子どもが努力したこと」を褒めること
- 子どもが挑戦・チャレンジすることを推奨し、失敗することについて子どもが否定的にとらえないように教育すること
- 才能がある子どもの「知性面での欲求」「心理面での欲求(褒められる・承認されるなど)」のその両方についてサポートすること
- 賢い子どもは「レベルの高い課題」「特別な学習支援」「自分のペースで学習する自由」を求めているため、教師と両親が協力して賢い子どもの欲求を満たしてあげること
- 子どもに知能テストを受けさせること
(知能テストの結果が、子どもにハイレベルな勉強をさせたいと教育機関に申し出る際の根拠になるし、子どもが社会性の問題を抱えていることやADHDなどを抱えていることを発見できる場合があるから)
アメリカの「SMPY(『早熟な数学的才能を示す児童の研究』の略語)」では、45年に渡って、非常に優秀な5000人の子ども達の人生の追跡調査を行いました。
SMPYにたずさわっていた、ヴァンダービルト大学の研究者カミラ・ベンボウは、
権威ある科学誌「ネイチャー」に掲載された「天才児の育て方」という記事において、上記の8ヶ条を子どもを持つ親の心得として挙げています。
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