資源国が天然資源の力に依存するあまりに、他の産業が育たなくなってしまうという
「資源の呪い」と呼ばれる現象について解説します。
「資源の呪い」の解説と、資源の呪いによる影響
「資源の呪い」とは
「資源の呪い」とは経済用語であり、
豊富な天然資源を有する国家が資源の輸出産業に依存するあまりに、ほかの産業の工業化が遅れて結果的に経済成長度が低くなってしまう現象のことを指す。
資源国の、強みと弱み
強み
- 国内の資源を採掘して輸出するだけで、多額の利益が得られる
- 地面の中にたくさんのお金が埋まっているような、美味しい状況
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弱み
- 資源を輸出するだけで大金を稼げるせいで、他の産業の発展がとどこおりやすくなる
- 特に「製造業」「IT産業」などの高度な技術と高額な設備投資が必須の産業の発展が遅れやすい
- いずれ「採掘できる資源が、激減あるいは枯渇する」という深刻な問題に直面する
- 時勢の変化によって「世界のエネルギーの需要のタイプ」が大きく変化してしまった場合、自国のエネルギー資源の価値が暴落してしまう
- 資源産業のあれこれの利権(業者が公的機関などと結託して得る権益)を獲得するために、国内で腐敗・汚職が横行しやすくなる
資源の呪いに苦しむ、ロシア
ロシアで採掘できる、主な天然資源
- 原油
- 天然ガス
- 石炭
- 金
- 銅
- アルミニウム
- ニッケル
- 鉄鉱石
- ダイヤモンド
- 森林資源
ロシアにおける、資源の呪いの状況
輸出による収入の約半分が、エネルギー資源によるもの
- 2021年にロシアがエネルギー資源の輸出で得た収入は、2350億ドル
- これは、2021年のロシアの輸出額全体の約半分を占めている
1991年のソ連崩壊以後、経済がどん底状態にあったロシアが立ち直った大きな理由の1つが、
「エネルギー産業系の企業を国有化して、ロシアの資源の管理を国が主導する」
というものであり、
国の経済力を国内資源に依存する体制は以前と変わりませんでした。
資源産業以外の産業が、あまり育っていない状況
- 商品の開発力が低く、そのせいでロシアの国際競争力は低いと言われることが多い
- ロシア国内で流通している商品の大半が、国外からの輸入品であり、ロシア国民も国内産をあまり信用していない
- 経済が低迷し続けているロシアに見切りを付けて国外脱出する若者が多く、今後の経済成長のための主力となる年齢層が薄くなっている
ロシアの頼みの綱(つな)である原油の産出量が、だんだん減ってきている
- 近年、ロシアにおける原油の産出量が減り続けており、原油の埋蔵残量が枯渇へ向かっていることが懸念されている
- 「原油の採掘に適した地域」はあらかた着手済みであり、他の地域を新規開発しても原油の産出量が劇的に増えることは考えにくい状況にある
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ロシアに対する大規模な経済制裁によって、資源の輸出自体が困難になる
- 2022年2月、ロシアが不当にウクライナへ軍事侵攻をしたことを受けて、先進各国はロシアへの前代未聞の大規模な経済制裁を課した
- 経済制裁の項目は6000以上であり、これによりロシアの経済規模が大幅に縮小することは必至
- 経済制裁の項目の中には、ロシア産の原油の「禁輸」「輸入の段階的縮小」も含まれており、経済力を国内資源に大きく依存しているロシアはこれからどん詰まりに向かうことが予想されている
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