裕福な親が子に高品質な教育を与え、貧乏な親は子どもにろくな教育をほどこせないので、それぞれの親の教育の質に大きな差が生まれる「教育格差」が社会で問題視されてきています。
教育格差の問題点を調査したので分かったことを報告します。
教育格差の、2つの大きな問題
親の収入の良し悪しや子どもの生育環境の良し悪しで、子どもの受けることができる教育の質に格差が生じること。
1.生まれついた親が裕福か貧乏かで子どもの人生がほぼ決まってしまう
裕福な親は、教育環境の良い私立中学を子どもに受験させるために、小さな頃から塾へ通わせたり、高額な教材を購入してあげることができます。私立の学校へ通うための費用も十分に用意することができます。
貧乏な親は、資金がとぼしいので、どうしてもそのように教育にお金をかけることが難しくなります。
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そのせいで、子どもが生まれついた親が裕福か貧乏かで、子どもの学歴の良し悪しが大きく左右されることになってしまいます。
教育環境が良い私立の小学校・中学校・高校には、100万円を超える学費が毎年必要となるので、裕福な家庭以外は敷居が高いのが問題です。
2.親の社会的階級が、子どもへ継承されてしまう
上記の「生まれついた親が裕福か貧乏かで子どもの人生がほぼ決まってしまう」で説明したように、裕福な親の子は高学歴になって良い仕事に就き、貧乏な親の子は低学歴になって良い仕事に就きにくいという状況になります。
裕福な人の子は裕福になり、貧乏な人の子は貧乏になるという、社会的階級の継承が起こってしまいます。
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裕福な家系はずっと裕福、貧乏な家系はずっと貧乏というように社会的階級が固定され、貧乏な家系に生まれた子どもは、「家族や親類に、お手本になる成功者がいない」「教育費が高騰しているせいで、とても私立の学校へ行くための費用を用意できない」といった問題から、上へと昇るチャンスが無くなってしまうようになります。
親の年収と子どもの進路の関係性
2007年、政策研究センター「高校生の進路追跡調査第1次報告書」より
親の年収が高くなるにつれて、高校生の子どもの4年制大学への進学率が上がり、親の年収が低いほど、子どもが大学進学ができずに就職している、という関係性がはっきりと表れています。
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高学歴富裕層の親と低学歴貧困層の親では教育意識が違う
- 良くできている教材や、実績がある学習塾を自分で調べだして、それを子どもへ提供する
- 親自身が勉強が得意で、受験戦争に勝つノウハウを心得ているので、「この教科はこうやってやりなさい」と具体的に指示し、子どもといっしょに勉強を進めることができる
- 近場の個別塾へ入れるだけで子どもの成績がどんどん上がると思って、そうする
- ゲーム・テレビ・漫画などの娯楽を禁止するだけで、あとは根性論的に「勉強しろ!」と強要し、具体的な勉強方法は教えることができない
高学歴の親は勉強が得意で、勉強に関するあれこれの心得もありますが、低学歴の親はその逆です。教育に同じ力を割くにしても、高学歴富裕層の親は自身の学生時代の経験・反省を活かし、さらには自分も子どもといっしょに勉強して、効率的な勉強方法をいっしょになって考える、ということができますが、低学歴貧困層の親は、子どもを近場の学習塾に放り出してそれだけで安心してしまう、ことも…。
さらに、富裕層と貧困層それぞれの資金力の決定的な差から、富裕層は教師の質も高く学習環境も良い私立小学~私立高校へ、貧困層の親は教師が不良学生の問題処理で手一杯の劣悪な学習環境の公立小学~公立高校へ進学させたりと、子どもにとってはその後の人生を左右するほどの教育の差ができてしまいます。
しかも、富裕層は大学進学率が高くて周囲も進学意識も高い都会に住み、貧困層は家賃や土地代が安い代わりに大学進学率も低くて周囲も進学意識も低い田舎に住まざるを得ず、そういった数々の環境の差が、富裕層の再生産・貧困層の再生産といった問題を生み出していると考えられます。
貧困層出身の人物が努力によって大成するのは、現実としてレアケースで、「努力すれば誰でも成功できる」というのはシンデレラのように理想化された夢物語かもしれません。
貧困家庭の子は、唯一の武器のやる気さえ失われる
- 格差の底辺に置かれた貧乏な子は、学習・進学の意欲を失ってしまっていることが多い。貧乏を強いられていてもハングリー精神で上へと上っていこうとする子はいることはいるが、それは一部にすぎない。
- 親からの貧困の連鎖は、子どもの選択肢の幅を狭め、非正規雇用者になりやすくなってしまう
- 貧困の連鎖を断ち切るためには、お金持ちとの間にそびえ立つ「教育格差」を是正するしかない。能力の開発ができる場・教育者と接点がもてる環境を整えることが必要。
- 将来に社会を支える人達の能力・労働力が、今はどんどん低下している。日本の将来のために、教育投資に力を割いていくべき。
公益社団法人「チャンス・フォー・チルドレン」の代表理事を務める、今井悠介氏のお話
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