最近の声優は顔出し・人前でのトーク・アイドル並のショーステージは当たり前。一昔前と違って多芸多才が求められる、大変難しい職業です。
しかし、最近は「声優になりたい!」という人が増えていると聞きます。
ネット上にあふれかえっている、「声優はやめとけ」情報を調査したので、分かったことを報告します。
ネットで調べれば調べるほど出てくる「声優はやめとけ」
声の特徴と魅力なんて生まれつきのものなのに、そのうえ、生まれつきの外見の良さまで求められたら、
なおさら声優になるのは困難になる。
そして、プロ声優は1万人。
そのうち、声優業のみで食っていけているのはたった300人。
テレビ番組や雑誌やアニメBDの特典映像なんかで繰り返し描かれるから、
みんな声優に憧れて、近年は声優志望者が増えすぎている。
志望者の母数が大きいから、採用する側はあれこれ注文つけ放題。
「顔が可愛い」「スタイルが良い」「トークが上手い」「声が魅力的」「歌が上手い」「若い」「ダンスもできる」など他にも色々。
こういう、厳しすぎる要求水準に適合したごくごく一部の志望者だけが声優になることを許される、そんな世界。
なので、20代後半になって若さにかげりが見え始めたり、人気が下降し始めたら、
あっさり事務所から捨てられて新しい若い声優に取って代わられる。
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当然声優になれると決まったわけではない。
それどころか、卒業後に専門学校の斡旋で養成所に入れられて、また金銭を搾取される日々が始まる。
さんざん学費を学校へ貢いだあげく、
「あなたは才能が無いから声優にはなれません」としれっと学校側に宣告される。
美少女動物園って小馬鹿にされるほど女性キャラばかり。
男性声優が出る幕はほとんど無くなってきている。
なので、男性声優になれる確率はほぼゼロと思って良い。
地声からしてアニメ声で魅力的でしょ。
どんな世界でも、トップ層を占めるのは天性の才能の持ち主達のみ。
量産型の萌え声しか出せない今時の声優は、若さや話題性を失ったらすぐに消えるぞ。
っていうアニメ制作現場を題材に扱ったアニメを観てみろ。
SHIROBAKOのストーリーで、
声優の子のキャラにやっと声優仕事が回ってきたのがSHIROBAKO全24話中で23話目。しかもモブキャラ役。100人以上の候補者の中からオーディション選考。
しかもこれはアニメだから、相当に現実を美化した内容。
現実はもっともっと厳しい。
「演技がやりたい人」。
アニメキャラが好きだから!アニメ作品が好きだから声優になりたい!って人は、
プロになる人達と考え方・努力行動のベクトルが根本的にズレていることに気づけよ。
「アニメ本編中の、アニメキャラの声のみ」。
声優の顔も、声出しの様子も見えないから、声でしか声優を認識できない。
しかも、大多数の視聴者は演技の上手い下手なんて細かい要素は判らないから、
声質が可愛いか可愛くないか・声質の魅力の有無でしか、その声優の価値を計れない。
演技の努力ではカバーしきれない、生まれつきの声質にほぼ100%左右される世界だって、少し考えてみれば分かるでしょ?
これがサラリーマンだったら、真面目さ・根回し・勉強・仕事量・愛想の良さ・残業時間なんかの色々な努力要素で成果をカバーできるんだが。
表舞台系の仕事を目指す夢は、極めてハイリスク。
昔から、夢破れて人生が破壊される人間はごまんといる。
声優も表舞台系の仕事の一種だということをお忘れ無く。
そのほとんどが劇団員・子役・歌手からの引き抜き。
表舞台の仕事をこなしてきた年数と経験や、これまで演劇に費やしてきた年数が、ずぶの素人とはまるで違う。
声優オーディションでは、こういう人達がどんどん合格して、余ったわずかな席を素人同士で奪い合う。
そんな出来レースみたいな声優オーディションでいいなら、どうぞ。
プロの声優として活動できたとしても、
声優のギャラの低さ・ライバル声優達にオーディションで勝ち抜く難易度・収入の不安定さで、
まともに暮らしていけねーよ。
並の声優じゃ、月収5万円くらいしか稼げないんじゃないの?
「声優になりたい!」ってはしゃいでいるのを止めないのって、
自殺を黙認するのも同然だと思う。実の親ならばさらに罪は重い。
確実に死ぬ道へ進もうとしている子どもに、現実の厳しさ・データを明確に示してきっちり断念させることは、
その子の将来を真摯に考えていることの証拠。
「努力すれば何とか通用する世界」と「才能が全ての世界」
をちゃんと見分けることが非常に重要。
声優、漫画家、芸術家なんて、もろに「才能が全ての世界」に該当する。
だから、「才能が全ての世界」を目指して頑張っている中年って、言っちゃ悪いけれど完全なアホ。
っていうかっこいい考え方もあるけれど、
夢が破れて30歳無職とか30歳フリーターのような状況に実際なったら、
多分後悔する確率は99%以上だと思うんだよね。
「こんな道、選ばなければ良かった。負け組であることが生涯確定してしまった」って
貧困の中で後人生を鬱々と過ごす確率が99%以上。
「ちゃんと戦って、それで負けたんだから、悔いはない」って
貧困の中で後人生を清々しい気持ちで過ごす確率が1%未満。
「貧すれば鈍する」ってことわざも昔からあるし、お金も見返りも一切無しの決意だけで自分を何十年も支え続けられるほど人間は強く出来てないよ。
火のないところに煙は立たない、といいますが、ネットにあふれている声優になる難しさの情報の数々を見るに、声優への道には煙どころか火柱が見えているようなもの。
よほどの魅力的な声質や可愛い顔を生まれ持っていない限り、火柱の元へ近寄っていっても大火傷するだけでしょう。
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言いたいことのほとんどは、すでに大塚明夫が言っていた
にもかかわらず、声優志望者たちがまるでシンデレラのような甘い成功ストーリーを思い描いてしまうのは、それを体現している役者が実際に存在するからなのでしょう。
たとえば、『新世紀エヴァンゲリオン』の綾波レイ役で有名な林原めぐみさん、そして『名探偵コナン』のコナン役でおなじみの高山みなみさん。彼女らは二人とも、二十代になるまで声優になろうなんて考えていなかったそうです。
それがあるとき突然声優を志し、あっという間にデビューしたのみならず、あれよあれよという間に一時代を築くレベルの人気声優になってしまったのだから大したものです。
言うまでもないことですが、彼女たちにあって、普通の声優志望者に欠けているものは「才能」です。
そこそこ才能のある人間が努力を重ねてやっと到達する領域に、いとも簡単に届いてしまう傑物がごく稀まれにいます。林原めぐみさんや高山みなみさんはそういう人種です。彼女たちの芝居はすごい。
実際に見ている私も心からそう思います。芝居の勉強をしたことがなかったのに何でこの領域にいるの? とぎょっとしてしまうような役者なのです。
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そして、才能のない人間がどれだけ努力を重ねたところで、その領域には決して届きません。努力だけでもある程度まではいきますが、その先の一線を越えるには「才能」というパスポートがどうしても要るのです。
才能の重要さについて語るのはとても難しいことです。なぜなら、芝居ひとつとっても「センスのある奴はほっておいてもできるし、できない奴は何を教えてもできない」の一行で済んでしまう話だからです。
声優専門学校に通おうが養成所に通おうが、できない人にはできない。センスのいい人は放っておいてもどんどんうまくなる。
理想の上では、学校などはこの「できない人」を「できる人」に育て上げる場所ということになっているのでしょうが、私の見てきた限りなかなかそうもいかないようです。
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著書「声優魂」より抜粋
参考:超大物声優「大塚明夫」
大塚明夫は、独特の低い声質で人気を博す、声優業界の大御所。
映画の吹き替え・テレビ番組のナレーションをはじめ、アニメやゲームでもキャラクターの役を多数演じている。
たぐいまれに魅力的な声質であることから、演じるキャラクターは決まって作品中の重要キャラだったり強者の位置にあるキャラ。
声優になりたい動機の甘さも大きな問題
上記のような甘い考えの声優志望が多いと聞きますが、
本来の声優とは、舞台上で芝居の演技をする役者が、「舞台仕事のついで」としてやるものなのです。
観客を感心させられるほどの魅力的な声質・演技力・迫力をもつ役者の声でないと、本来は声優としてやっていけないはずでした。
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しかし、最近の声優業界では「顔がかわいくてアイドルとして通用しそうな、声がちょっと魅力的な女の子」を声優として起用し、業界をあげて持ち上げるだけ持ち上げてキャラクターソングや声優カバーソングCDや番組出演で消費者から可能な限りお金を吸い上げ、人気がピークを下回ったらさっさと捨てて、次の声優を持ち上げるという、使い捨てスタイルになってきています。
(本物の実力がある個性派・実力派声優は別として、最近は実感としても、あまり個性的でなく数年後には音沙汰が無くなる種類の声優が圧倒的に多い気がします)
声優養成の専門学校では、先に挙げた考えの甘い夢見がちな人を「君も必ず声優になれる!」などといった誇大広告で次々と釣り上げて餌食にしているという現実を忘れないようにしてください。
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