ソーシャルゲームの開発と運営をしている企業が、ユーザー達がゲームで遊んでいる裏側で、どのような作業をしているのかについて調査したので分かったことを報告します。
ソーシャルゲームの運営で主にやること
「ゲーム内容の拡張」に関すること
新キャラクターの追加
- 名前
- 新キャラクターの絵(イラストレーターに描かせる)
- レアリティー
- その新キャラクターの種族やキャラタイプ
- 能力値
- その新キャラクターの固有スキル
などを考案します。
新イベントの追加
新しくイベントを追加することで、ゲームユーザー数の向上と維持、売上額のUPなどが期待できます。
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そのイベントをユーザー達にクリアして満足してもらうことが前提となるため、難易度を高くしすぎないようにすることが重要となります。
新ストーリーの追加
上記の「新イベントの追加」に付随する作業です。
イベント進行で表示される文章をライターに執筆してもらいます。
「ソーシャルゲームの運営」に関すること
新たに得られた各種データの検証と、売上向上のための提案
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ソーシャルゲームを運営していると、ユーザー達の行動記録や課金額などのデータがどんどん蓄積していきます。
新イベントを投入した後のユーザー達の行動の変化を検証し、結果が良好だったので次も似たようなイベントを投入するか、それとも結果がかんばくしなかったので次は別種のイベントを投入するかを決定したりします。
また、売上向上のための提案には
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- ガチャ(お金を支払って行う、キャラクターやアイテムを引くためのくじ引き)の内容
- 敵の強さや、味方の強さなどのゲームバランス
などを決めることも含まれます。
ゲームプログラムの開発
上記の「新たに得られた各種データの検証と、売上向上のための提案」で得られた改善案をソーシャルゲームに実装するために、プログラミングを行います。
プログラミングを専門のIT企業へ外注しているソシャゲ会社もあれば、プログラミングを自社で行っているソシャゲ会社もあります。
グラフィックやレイアウトの開発
- 新規キャラクターの絵をイラストレーターが制作する
- ゲーム画面の各種レイアウト・見せ方を考案する
「課金ユーザーの人数」をアップさせるための検討と、施策実行
1日の売上額=「1日にサービスを利用したユーザー数」×「全ユーザーのうち課金する者の割合」×「課金ユーザー達の平均課金額」
ソーシャルゲームの運営側は、1日の売上額を伸ばすために、
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- 1日にサービスを利用したユーザー数
- 業界用語でDAU(Daily Active User)と表現される
- 課金ユーザー達の平均課金額
- 業界用語でARPPU(Average Revenue Per Paid User、平均購入単価という意味)と表現される
の2点を重点的に改善することを目指します。
「全ユーザーのうち課金する者の割合」はどのソーシャルゲームでも3%~10%くらいで固定されていて大きく数字を動かすことはほぼ無理です。
なので、改善の余地がある「1日にサービスを利用したユーザー数」と「課金ユーザー達の平均課金額」の2点を色々な施策によって向上させる努力を行います。
2点のうち、特に重要なのが「1日にサービスを利用したユーザー数」であり、ゲームへのログインボーナス(課金用に使うアイテムや、装備アイテムなどをゲームにログインしてくれたユーザーへ無料配布すること)を充実させたり、人気漫画や人気アニメのキャラクターをゲーム内に登場させるコラボレーション企画などによって、数字を改善させます。
「1日にサービスを利用したユーザー数」を増やして、ゲームを遊ぶユーザー数を底上げすると、それにともなって課金するユーザー数(課金するユーザー割合ではない)が増えたり、ユーザー達の口コミが広がってさらにユーザー数が増えたりするなど、多くの良い影響が見込めます。
ソシャゲのメンテナンス中に何が起きているのか
「定期メンテナンス」
「○年×月□日に定期メンテナンスを行います」と事前に告知がなされている、定期的に行うメンテナンスです。
メンテナンス中は、ユーザー達はゲームをプレイすることができなくなるパターンが多いです。
定期メンテナンスで行うことは主に
- ゲームプログラムのアップデート作業
- プログラムファイルの破損チェック
- サーバー機材の点検・部品交換作業
- メンテナンスのために停止させたサーバーの再起動作業
「緊急メンテナンス」
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想定外のトラブルが発生したせいで、緊急的にゲームをメンテナンス状態へ移行することが緊急メンテナンスです。ユーザー達への事前告知無しで、突然緊急メンテナンスへ突入します。
緊急メンテナンス中は、ほぼ確実にユーザー達はゲームプレイが不可能になります。
緊急メンテナンスをせざるを得ない原因は主に
- プレイユーザー数が急激に増えたため、サーバー側の処理が追いつかなくなりサーバーダウンが起こった
- 開発段階では未発見だったプログラムのバグが、ユーザー達のプレイに支障をきたしている
- 「たった1人しか配属されていない部門」がある場合があり、その1人が病欠したりすると、その部門を中心にして関係する複数の部門に支障が出てしまい、人手不足&相次ぐトラブルのせいで緊急メンテナンスに移行せざるを得ない
ソシャゲのサービスが終了する時
- そのソーシャルゲームの人気が低下し、ユーザーの流入数が減少し、ソシャゲの利益(ガチャによる売上利益がメイン)が微々たるものになってしまったから
- ソシャゲの利益が減少したことで、ソシャゲの運営と開発に関わる人達の人件費・ゲームを動かすためのサーバーの運用費・広告費といった支出をカバーできなくなり、ソシャゲ運営を続行しても赤字が膨らむだけなので、サービス終了するほかなくなる
ソーシャルゲームの場合、ストアランキングにおける総合セールスランキングで月に1回も100位以内~200位以内程度にランクインしない種類のソシャゲは、すでにサービス終了の黄色信号が点灯している状況です。
「2013年11月時点の売上Top100のスマホゲームが、2018年2月の売上Top100に入っている割合はわずか12%」
という衝撃の事実が、2018年5月開催のセミナー「超長期ゲーム運営サミット」(グリーとファンプレックスによる開催)で明かされました。
サービス提供開始から5年後も売上Top100にランクインしているソーシャルゲームは7~8本に1本程度しかありません。
ソーシャルゲームの生存率は低く、たいていのソシャゲは、埋もれて人知れずサービス終了してしまいます。
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