小説投稿サイト「小説家になろう」での、小説の主人公の特徴傾向と、その主人公が嫌われやすい理由について調査したので分かったことを報告します。
小説家になろうの小説の、主人公の特徴
主人公の「能力」の特徴・傾向
- その作品が「異世界転生モノ」であった場合、転生時に、神様のような存在から強大なチート能力を授けてもらえるパターンがかなり多い
- 小説家になろうの小説の主人公が、よく持っているチート能力の例↓
- 自身が元居た地球世界から、任意の物資を瞬時に取り寄せる能力
- 入手したアイテム(道具や、素材)の効力を詳細に知ることができる鑑定能力
- 敵の能力を強奪し、自分が敵の能力を使えるようになり、さらに敵が能力を使えなくなる
- 対象を魅了し、自分を惚れさせたり言いなり状態にする能力
- 通常では有限である魔力が、主人公の場合は特例により無尽蔵
- 取得経験値が、主人公の場合は特例により通常の○○倍
- 転生前、特定の分野に詳しかったりマニアだったので、
転生後に生前の知識を活用して銃火器や薬を作ることができたり、軍事に関する有用な知識をもっている - 「料理が上手」という特技をもっていることが多く、仲間達に手作り料理を振る舞って賞賛される
主人公の「性格」の特徴・傾向
- 物事にめったに熱くならない、クールな性格であることが非常に多い
- ただし、あくどい行為や、腐敗した権力構造などに対しては怒りをあらわにする
- 「自身が、実はとんでもなく強いこと」をやたらと隠したがる
- 「べつに、そんなもの欲しくないんだけど」「べつに、そんなもの興味無いんだけど」といった淡泊な態度
- 「その世界で成り上がること」「自分をこれまで蔑んできた者達を見返したり、復讐すること」が主人公の主な動機になっているパターンが散見される
主人公の「他のキャラクター達との人間関係」の特徴・傾向
- 主人公の周りのキャラクター達は、無自覚にとんでもない功績をあげる主人公に、驚愕したり賞賛する役割を担っていることが多い
- 主人公以外の周りのキャラクター達は、極端な個性が排除されている無個性キャラであることが多い
- 複数の女性キャラクター達が主人公にベタ惚れして、主人公が彼女たち全員と恋愛状態にある「ハーレム」を形成することが非常に多い
主人公の「作中での状況の変遷」の特徴・傾向
- 基本的に、物語は右肩上がりのサクセスストーリーであることが多く、途中に「敗北」「挫折」「断念」などの展開は含まれない傾向がある
- 物語序盤では社会の底辺階級にいるが、ストーリー上で順調に功績を重ねていくことで、物語後編では王族・貴族のような特権階級へ上昇している
- もともとの人間から、スライムなどのモンスターに転生してしまうこともあるが、物語の途中から工夫や新能力の獲得によって人型へ変身できるようになるパターンが多い
- 最終的には、主人公は作中世界で最強・準最強(例外的な最強キャラを除けば、主人公が最強という状況)になることが多い
なろう小説の主人公が嫌われる理由
嫌われる理由のなかで、主要なもの
- 小説の中での主人公の状況に、読者達の「努力はしたくないけれど、簡単に大成功してみんなにちやほやされたい」というあさましい願望が透けて見えるから
- チート能力のおかげで何でもできたり、たくさんの美少女に囲まれているハーレム状態だったりで、客観的には非常に羨ましい状況なのに、
「やれやれ、べつにこんなことは望んでいないんだけどな」といった風の主人公の態度が反感を買うから - 「敵を銃で撃つ気まんまんだけど、自身が銃で撃たれることは絶対に嫌」といった感じの考えや言動が多く、そのせいで主人公の人間性が軽蔑されやすいから
- 創作物で「チート能力をもつ主人公」自体は珍しくも何ともないが、なろう主人公の場合は大量のチート能力を集中させて煮詰めているせいで、
多くの人達がなろう主人公に不信感・不自然感を抱くから
その他、嫌われる理由として挙げられるもの
- 一例として、
異世界転生モノの小説に共通している
「元のダメダメな人生を転生でリセットして、チート能力や生前の知識で無双して成功する」というストーリー要素が鼻につくせいで、
「坊主憎けりゃ袈裟(けさ)まで憎い」という風に、なろう小説の主人公も嫌われるから
(作品間で画一化された、手抜きの中世ヨーロッパ風RPG世界が物語舞台など、なろう小説が嫌われるポイントは他にもたくさんある) - 主人公の能力はたしかに凄いが、それは転生時に偶然授かったものであって地道な修練によって獲得した能力ではなく、
主人公の実力と主人公の幼稚な精神が大きく食い違っていて主人公に魅力を感じられないから
なろうの主人公が嫌われるのは、世代間の考え方の違いも大きい
小説家になろうの小説の主人公が嫌われやすい理由は、
昔の時代の創作物に慣れ親しんでいる世代が、現在の創作物の流行(だいたい、2010年以降くらいからの流行)に拒絶反応を起こしている部分が大きいと考えられます。
創作物での、以前の流行と現在の流行の違い
以前の流行 | 現在の流行 | |
---|---|---|
キャラクターの努力や苦労 | 当然、努力や苦労をするべき | 努力や苦労はゼロに近い方が良い(ストレス展開はゼロの方が良い) |
物語上の、謎解きや障害 | しかるべき手順を踏んだり試行錯誤することで、謎や障害をクリアするべき | 最初から解答が分かっていて、スマートに解決することが好ましい |
主人公の強さ | 物語の序盤は弱くても構わない | 最初から圧倒的に強い方が良いし、最強の存在でいてほしい |
創作物に求められているもの | 感動や驚きや、鬱展開が続いた後の問題解決によるカタルシス | チート能力による快勝展開などで、手軽に良い気分になれること |
近年になってゲームのメインが、
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複雑で難解なコンシューマーゲームから、簡単なゲーム内容で手軽に欲求を満たせるソーシャルゲームへとシフトしたことからも分かるように、
「より手軽に、より早く、より低負担に、快感というゴールにたどり着けること」
が現代の消費者達が求めていることです。
小説家になろうの小説と、小説の中の主人公は、現代の消費者達の需要を満たすものとして顕著な形であるため、
昔の時代の創作物に慣れ親しんでいる世代にとっては大きな違和感を覚えることが自然と言えます。
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参考:売れているなろう小説は、内容が非常にしっかりとしている
世間で売れていたり、さらにアニメ化されるようななろう小説は、
なろう小説の傾向を踏襲しつつもストーリーやキャラクターなどの内容が非常にしっかりしたものになっています。
ネット上で叩かれているなろう小説は、数あるなろう小説の中でも、他の作品群を模倣しただけの底辺の部類の作品であり、
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なろう小説の全てが、叩かれるべき小説というわけでは決してありません。
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