異世界転生系のライトノベルや漫画やアニメが流行している現象の理由となっている、
社会的背景を解説します。
異世界転生モノが流行した理由の、読者側の背景
「現代を生きる人間達」の、願望や需要に応えたかたちが異世界転生作品
願望
- 労せずして、強力なスキル・能力を手に入れたい
- その世界で、優位に立ったり無双したい
- 「失敗」「試行錯誤の段階」などとは無縁で、最初から最適解を選び取ること
- 現代人は「失敗すること」「失敗に起因するネガティブ感情」への耐性がかなり低いため、最初から成功することが重要
- 最初から非常に強かったり、最初からいちじるしく優位にあること
- 「今のダメな人生をリセットして、より良い条件で人生をやり直したい」という願望が、異世界転生作品の流行現象ににじんでいると、ネット上でまことしやかにささやかれている
需要
- とにかく、お手軽に理解して、頭を使わずにストーリーを楽しみたい
- 鬱展開・ストレス展開が少なくて、始終良い気分のままストーリーを楽しみたい
- メタ視点
- 「RPG」「ファンタジー作品」それぞれの「お約束(使い古しの展開・状況・設定などのこと)」を、作品上で楽しめること
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異世界転生モノは、読者達にとって負担が小さいので好ましい
異世界転生モノの設定は、読者側の負担を大幅に軽減できる
現代人が転生したため、現代人視点で異世界が解釈され、読者にとって理解しやすい
- 主に現代人の「学生」「社会人(主に会社員)」「ある分野のエキスパート」が、異世界へ転生する
- 作中世界が現代人の思考・感覚・知識・視点から描写されるようになるため、読者にとって主人公に感情移入がしやすかったり、
現代人視点での説明によって、異世界にある物体・制度・現象などをスムーズに理解できるようになる
- 作中世界が現代人の思考・感覚・知識・視点から描写されるようになるため、読者にとって主人公に感情移入がしやすかったり、
作品の世界観は和製RPGに酷似しており、読者にとって理解しやすい
- 「魔法」「冒険者の職業」「モンスター」「異世界の文化水準」「異世界の社会制度」など、異世界のあれこれの設定が、日本製RPGの設定と非常に似ている
- 読者の多くがプレイ済みの日本製RPGの設定とそっくりであるため、異世界のあれこれの設定になじみやすい
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読者側だけでなく、異世界転生系作品の作り手側も、
・ストーリー構成がほぼテンプレになっているので、話を作るのが楽
・読者達の間で共通認識になっている「RPG的ファンタジー世界」でストーリーを展開させれば良いだけだから、手間がはぶけて非常に楽
このように作り手側の負担も小さいため、異世界転生系作品は作り手達に好まれやすく、異世界転生系作品が増加しやすい大きな要因になっています。
作品を創るうえで、読者側の負担をできる限り小さくする必要がある理由は、
次の項目で説明するように、現代の若者達の『読解力』が低下している傾向にあるためです。
現代の若者は、『読解力』が下落傾向にある
PISA(国際的な学習到達度調査)で、日本人高校生の読解力低下傾向が判明
「情報を探し出す能力」「評価し、熟考する能力」の平均点が低下
- 2012年度以降のテスト調査で、日本の「読解力」の国際順位が大きく低下した
- 「数学的応用力」「科学的応用力」のそれぞれ国際順位の変動具合よりも、「読解力」の国際順位の低下ぶりが明らかにいちじるしい
- 文部科学省がPISAの結果を分析し、
「情報を探し出す能力」「評価し、熟考する能力」それぞれの平均点が低下した一方、「理解する能力」の平均得点は安定的に高い、という結論に至った- これに加えて、記述式の問題のテスト結果について「自分の考えを他者に伝わるように根拠を示して説明することに、引き続き、課題がある」と述べており、「説明する能力」に問題があると評価している
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読解力が低下傾向にあるため、オリジナルのストーリーや設定を拒絶しやすい
- 読解力が低い場合、創作物における斬新な「ストーリー」「設定」「世界観」などに拒絶反応が出やすくなる
- 「異世界転生モノ」ならば、
作品のベースが和製RPGであり、ストーリーの流れもテンプレ化されているため、読解力が多少低くても読者達に受け入れられやすい
- 「異世界転生モノ」ならば、
時代の流れとして、異世界転生モノが支持される基盤があった
「平成~令和を生きる人々が親しんだモノ」をベースに創ったのが、異世界転生モノ
だいたい2000年までに、各創作ジャンルの基本要素はやり尽くされた
- 西暦2000年ぐらいまでに、ファンタジー分野の創作物において、基本的なストーリー・設定はあらかたやり尽くされた
- イギリスの有名作家「トールキン」の小説・指輪物語の設定に準ずる「剣と魔法と異種族とモンスターの世界観・設定を、日本人向けにアレンジした作品」が、上から下までほぼやり尽くされたということ
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2000年以降は、過去に日本で大流行したゲームや小説などが創作物の「原典」になる
- 2000年以降は、純粋なハイ・ファンタジー(異世界を舞台にした、完全オリジナルのファンタジー作品のこと)は少なくなり、
「過去に日本で大流行したゲームや小説やRPG」「オタク文化」などを題材にした作品が増加していった- 昭和末期~平成時代に生まれた人々にとって子どもの頃から慣れ親しんできた創作物は、
指輪物語のようなハイ・ファンタジーでなく、
「ハイ・ファンタジーを題材にした漫画やRPG」であり、この世代の人々の知識のベースは漫画やRPGになっているから
- 昭和末期~平成時代に生まれた人々にとって子どもの頃から慣れ親しんできた創作物は、
「過去に流行したRPGや漫画、あるいは、オタク文化」を、
原典にしたりパロディー(衆知の作品や有名作品の表現を誇張したり、もじったり、模倣したりなどして、面白く作り替えたもの)として作品を創る文化はすでに20年近く前から続いており、
「有名RPGや漫画や小説などのお約束ネタを取り扱った、異世界転生モノ」が流行することは、なかば必然の流れであったと言えます。
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インターネット文化の浸透によって、「小説家になろう」から異世界転生モノが大流行
- インターネット文化が国民の生活に完全に浸透し、
小説投稿サイト「小説家になろう」でアマチュア作家が小説をネットで公開しやすく、読者がスマホやPCで小説を読みやすい環境が整った- 作者側が、読者受けの良い作品作りを模索し続けた結果、
本記事の異世界転生モノが流行した理由の、読者側の背景の項目で解説したように、読者にとって低負担かつ願望と需要を満たすことができる「異世界転生モノ」という作品フォーマットが広く受け入れられるようになった
- 作者側が、読者受けの良い作品作りを模索し続けた結果、
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