エンタメ分野を見渡してみると、右を向いても左を向いても西洋ファンタジー物ばかりで、本場日本なのに、日本には和風伝奇モノが少なすぎる…。ブログ管理人は和風伝奇が好きなので残念極まりない気分です。
和風伝奇モノの漫画やアニメがあまりウケない理由について調査したので、分かったことを報告します。
和風伝奇の不人気理由.1 陰陽師などの攻撃手段が地味
和風伝奇モノといえば巫女や陰陽師がよく出てくるものですが、祈祷や破魔矢や占術や式神の使役などどうにも攻撃手段が地味なのは否めません。
西洋ファンタジーモノにありがちな、剣や魔法でハデに攻撃!といったぱっと見でのインパクトに欠けるので、必然的にウケが悪くなりがち。
「巫女」の役割
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- 神仏への祈祷
- 神楽(かぐら、神事にて神へと奉納するための歌舞)
- 占い
- 神託を民へと伝える
- 神社の神職者を補佐する
神仏へ捧げる祈祷や歌舞が主な役割なので、巫女を攻撃役へ配役するのはちょっと無理があります。
「陰陽師(おんみょうじ)」の役割
- 占筮(せんぜい)による占い
- 地相から、その土地の吉兆を判別する
- 風水のような方位学、占星術のような天文学を用いて物事の吉兆を判別する
- 占いの延長上の仕事として退魔業をする
陰陽師とは、奈良・平安時代に実在した公的な役職であり、色々な現象を検証する学者と占い師をミックスしたものでした。
創作物上の陰陽師は、さまざまな種類の式神を駆使して敵を攻撃したり問題を解決する能力者として描かれることが多いようです。
西洋ファンタジー作品での召喚士のようなポジションですが、陰陽師本来の役割が占いメインで地味であるため、もともと地味な陰陽師からハデな要素を見つけ出してキャラ設定へ反映させるのは無理があると言えます。
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和風伝奇の不人気理由.2 田舎の知られざる風習などが現代っ子に理解できない
田舎での閉鎖的な村社会・ひそかな土着宗教・地方の後ろ暗い事をしている名家など、和風伝奇を成り立たせるための要素は色々ありますが、致命的なのは、現代では地方の過疎化と都会への人口集中が加速し、現代の人達の多くが田舎暮らし・田舎の情緒をそもそも知らない事。
これでは和風伝奇の設定や味わいを共感できるはずもなく、和風伝奇が廃れてしまう原因となっています。
和風伝奇の不人気理由.3 和風伝奇はどうしても話が暗くなりやすくなる
- 呪い
- 怨念
- 怪談
- たたり神
- 神木
- 人身御供
- 鬼
- 屋敷の奥深くに隠されている座敷牢
- その土地に言い伝えられている禁忌の事柄 など
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和風伝奇の作品を作ろうとするなら、どうしても和風伝奇のお約束要素を作品の各所へと盛り込まなければなりません。
和風伝奇を構成する要素の、そのだいたいが暗くてじめじめした印象のものなので、必然的に和風伝奇作品はどれもこれも話が暗くて陰気なものになりやすくなります。
一部の物好きな人を除いて、大部分の人は暗くて陰気な作風の作品は忌避します。そのため、和風伝奇作品はウケが悪くなりがちです。
和風伝奇の不人気理由.4 「薄味を楽しむ」という伝奇の妙味が現代人に合わない
大量の漫画・アニメ・ゲーム・小説があふれている現代は「大量生産・大量消費」が基本。しかも人気の日常系ジャンルに代表される「お手軽で分かりやすい」という特徴をもっているのが売れるポイント。ちょっとでも「なんだよこれ…よくわかんないな…」とイラつかれたら、あっという間に捨てられて他の作品に乗り移られてしまいます。代わりはいくらでもあるのが現代のエンタメ分野です。
和風伝奇は、あいまいではっきりとしない神話・伝承を物語背景にしてストーリー展開することが多く、また、作品の雰囲気・薄気味悪さ・湿度・暗さ・幽玄さなどを楽しむ、いわば茶道でいうところの「わびさび」を堪能するような作品ジャンル。薄味だけれど味わい深い和風伝奇よりも、濃い味でわかりやすい味付けの西洋ファンタジー物の方が、現代人の嗜好には適合しています、残念ながら…。
結局、現代での和風伝奇ジャンルは、ニッチな需要を狙っていくPC用ノベルゲーム界や、発行部数も少なく読者も少ない無名漫画・小説あたりで細々とやっていくしかありません。表舞台で和風伝奇を見かける場合は、オカルト系エンタメ作品で、「西洋ファンタジーがメイン!和風要素もおまけで含まれているよ!」のように作品内スペースを間借りさせてもらう形で生き残っている事が多いように感じられます。
西洋ファンタジー作品が和風伝奇作品より人気を博す理由
- 「魔法」という要素を出すことができ、攻撃・防御・回復・補助・敵の弱体化といった色々な効果の魔法を出すことができるので話が面白くなりやすい
- 西洋ファンタジー作品はストーリーを勧善懲悪モノにしやすく、そういう分かりやすい正義対悪の物語は万人に好まれる
- ゴブリンやオークといった敵のモンスターや、中世ヨーロッパ風の街並み・文化など、ある程度のテンプレが用意されていて、消費者側の共通認識を上手く利用して安心感がある作品を用意することができる
- 登場人物が金髪碧眼のようなハデで見た目が良いキャラクターを何種類も出せる。原則的に黒髪キャラしか出せない和風伝奇とは、キャラクターの自由度が段違い
- 西洋ファンタジーの世界を舞台にした「男女恋愛モノ」「貧民から貴族への成り上がりモノ」「魔王の討伐冒険モノ」「日常モノ」「学園モノ」といった物語のバリエーションが豊富であり、色々なニーズに応えることができる。和風伝奇モノは物語のバリエーションが乏しい
- 上記のような西洋ファンタジー作品の高人気から、クリエイター達が西洋ファンタジー作品ばかり作るようになり、その逆に、売れない和風伝奇作品からは逃げていくようになるという、西洋ファンタジー作品一強状態が形成されていく
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