IT業界において、負担が大きいプログラミング作業が上流工程企業から下請け企業へと過度に押しつけられている問題について調査したので、分かったことを報告します。
下流工程の技術者達には負担の大部分が押しつけられる
IT業界全体の負担を押しつけられる「下流工程」の企業
- IT業界の仕事で下流工程とされるのは、二次請け、三次請け、四次請けといった下請け企業を指すことが多い
- 下流工程の企業へ仕事を回すのは、仕事の発注者から仕事を請けた「一次請け」の企業
- 上流工程から下流工程にかけて次々と報酬が中抜きされてゆくので、末端の三次請けや四次請けの企業は非常に低い報酬額で仕事をしなければならなくなる
- 下流工程の企業へ仕事が回ってくるまでにそれなりの時間が消費されているので、成果物の納品までの期限がぎりぎりになることが非常に多い。期限ぎりぎりのせいで「デスマーチ」が頻発してしまう。
- 下流工程ではプログラマ達がプログラミングを行い、心身に過酷な作業をしなければならない
- ソフトウェア開発の現場にいる下流工程企業の社員が、上流工程企業へ「請負」という形態で派遣される「偽装請負」が頻発してしまう

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上流工程の企業の特徴、やっていること
上流工程企業の特徴
- 上流工程の企業は、大手企業のSIer(システムインテグレータ)であることが多い
- SIerが仕事を請ける相手は、「省庁、県庁、市役所といった官公庁」「銀行」「大企業」であることが多い
- 一般に、SIerには高学歴でないと入社は困難と言われている
- 上流工程企業は「高給」「職場環境は比較的ホワイト」ということが多い
上流工程企業がやること
- 顧客とのヒアリングを元にした、システム・ソフト開発のための要件定義
- システム・ソフトの設計書の作成
- プロジェクト全体の進捗状況の管理・調整
- 中小企業へ、下流工程の業務を発注する
上流工程企業から下流工程にかけて報酬が中抜きされていく仕組み
中抜きされていく例
- 発注元から、大手SIerが「この内容の案件なら、120人月(10人作業して1年掛かる作業量のこと、この段階では人月単価=100万円)だから、1億2千万円で引き受けます」と、発注元から1億2千万円を受け取って仕事を請ける↓
- 仕事を請けた大手SIerが、中小企業へ人月単価70万円という条件で仕事を発注する↓
- 上記の条件で仕事を請けた中小企業が、零細企業へ人月単価50万円という条件で仕事を発注する↓
- 上記の条件で仕事を請けた零細企業が、人月単価50万円という条件でプログラミング業務をする
上記のように、IT業界の「ウォーターフォール・モデル」にのっとって、大企業が自己の利益のためにマージンを抜き、抜いた後の金額を報酬額として中小企業へ、零細企業へと次々と仕事を回していきます。
そのせいで、実際にプログラミング作業を行って最も辛い思いをする零細企業の社員が、非常に安い人月単価で仕事をしなければならない状況へ追い込まれます。
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なぜ、IT業界では下請け企業へ負担を押しつけるのか?
IT業界でのシステム開発・ソフトウェア開発の手法は、「ウォーターフォール・モデル」と伝統的に決まっています。
「ウォーターフォール・モデル」とは、システム開発・ソフトウェア開発を「要件定義」「開発」「テスト」などの段階へ分割し、上の工程から下の工程へ水が上から下へと流れ落ちるように(=ウォーターフォール)仕事を分担していくことを指します。
IT業界のウォーターフォール・モデル
- 「要件定義」(上流工程。顧客と、どのようなシステム・ソフトを作るかの話し合い)↓
- 「設計」(上流工程。システムの設計書を作成する)↓
- 「開発」(下流工程。システムの設計書にしたがってプログラミングを行う)↓
- 「テスト」(下流工程。いちおう出来上がったソフトが、正しく動くかの動作確認)↓
- 「納品」(完成したシステム・ソフトを、顧客へ渡す)
「ウォーターフォール・モデル」の性質上、比較的楽な上流工程と、連日のプログラミング作業で非常に辛い下流工程へと、その2種類へ明確に区別されます。
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「ウォーターフォール・モデル」を採用している以上、下流工程を担当する企業が「開発」や「テスト」などで負担が集中してしまうのは、モデルの構造上仕方がない部分とも言えます。
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