自身の感情を上手く制御して接客することが強く求められるタイプの仕事の「感情労働」の種類や、感情労働の危険性について調査したので分かったことを報告します。
「感情労働」の具体的な種類
「介護士・看護師」
相手へのきめ細かな感情的配慮が求められるため、これらの職種は感情労働の筆頭に挙がります。
「接客業」
- 飲食店でのウェイター
- ホテルマン
- アパレルやインテリアなどの販売スタッフ
- ブライダルサービスの接客スタッフ
「営業職」
- BtoB(企業を相手にして、サービスや商品の営業を行うこと)
- BtoC(一般消費者を相手にして、サービスや商品の営業を行うこと)
「コールセンタースタッフ」
- カスタマーサポートのための電話受付係
- 顧客の意見の電話受付係(主に苦情やクレームの処理)
「教師などの教職」
- 小学校・中学校・高校での教師
- 塾講師
- 文化教室での講師
教職では、生徒に笑顔と明るい態度で接することが必須です。
さらに、生徒が子どもの場合は、子どもに加えて保護者にも感情のエネルギーを割く必要があります。
そのため、「感情労働」のなかでも教職は特に過酷な部類の職であると言えます。
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「バスや飛行機の中での接客スタッフ」
- 客室乗務員(CA)
- 観光バスにおけるバスガイド
予備知識:「感情労働」とは
「常に明るい表情や態度で振る舞い、同時に、自分自身の感情を抑制することが要求されるタイプの仕事」
が、感情労働だとされています。
感情労働という言葉・概念は、
アメリカの社会学者であるA・R・ホックシールドが、「肉体労働」「頭脳労働」とは別の性質・形態の労働として「感情労働」が存在する、
と著書の中で言及したことが発端になり、社会に感情労働の存在が周知されるようになりました。
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一例として、「介護職」の感情労働の側面
介護職で求められる感情労働
- 介護施設利用者である高齢者に暴言を吐かれたり、介助の際に抵抗される場合が非常に多く、その場合でも自分の感情を上手く制御する必要がある
- 施設利用者達には、常に笑顔と優しい言葉を向ける必要がある
- 施設利用利用者の子・孫などの親族から「親を雑に扱っている」と言いがかりを付けられる場合があり、その場合でも自分の感情を上手く制御する必要がある
- ストレスフルな業務のせいで同僚の介護士達はひどくイライラしている場合が多いが、
同僚同士でストレスをぶつけ合うと職場での人間関係が崩壊するため、自分の感情を上手く制御して同僚と付き合う必要がある
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「感情労働」は精神的エネルギーの消耗が激しいことが特徴的
- 笑顔
- 明るい口調
- 顧客を楽しませるための、楽しそう・嬉しそうな表情や声
- 顧客の態度や言葉などが原因で、たとえイラッとしたとしても、それを自身の表情や口調や態度には決して表さないようにすること
- 日頃の業務のせいでストレスが溜まり、精神状態が最悪的なものであったとしても、そのことを表情や態度に決して表さないようにすること
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本来、感情とは自然発生的なものです。
したがって、無い感情を無理に生み出したり、自身の内側の感情を無理に抑えることは、極めて不自然であり、精神衛生上良くない行為です。
感情労働は、自身の精神的エネルギーの枯渇を招いたり、不自然な心理的働きの積み重ねが心にひずみをもたらすことが非常に多くなります。
感情労働に従事することのリスク・危険性と、感情労働への対策
「燃え尽き症候群」にかかりやすくなる
- 精神的エネルギーが枯渇し、枯渇したことで強い疲労感を覚える
- 「脱人格化」が起こる
- 自身が従事している仕事の内容や顧客への関心を失い、「この仕事はお金を稼ぐためにやっている」と、割り切った冷たい態度を取るようになること
- 上記の2つの事柄のせいで仕事の質が低下し、成果量や顧客からの自身の評価が悪化するため、「達成感」「やりがい」「自信」などを失う
感情労働を続けた結果、「燃え尽き症候群」にかかると、強い疲弊感や達成感の喪失のせいで、休職や辞職にまで発展してしまうことが多くなります。
メンタルに深刻なダメージを負う
- 「内心では、べつに楽しくないし、嫌な思いをしている」という状況でも笑顔や明るい表情・声を無理に演じ続けるせいで、 精神への負荷がどんどん増加していく
- 精神への負荷が増大しすぎたせいで、「うつ病」「パニック障害」などの精神疾患を発症しやすくなってしまう
「感情労働」とされる介護士や教師やコールセンター職などは、もともと業務上で顧客からの失礼な態度などのせいで過大なストレスにさらされるタイプの仕事です。
そこへさらに、感情を酷使することでのメンタルへのダメージが加わるわけですから、
感情労働タイプの仕事はメンタルに深刻なダメージを負いやすい危険な仕事であると言えます。
感情労働によるストレスへの対策方法
- オンの仕事と、オフのプライベートを、意識的にはっきりと区別するようにして、オフの時に決して仕事を持ち込まないようにする
- 「ケーキなどの甘いものを買って食べる」「ノートやコピー用紙に、嫌な気持ち・悪口などを殴り書きして、書いた紙を破り捨てる・燃やす」
などの、意識的なストレス解消行為を取るようにする - 「これだけできれば、それでOK」という最低限守るラインを設定し、完璧な仕事はしなくても良いように心がける
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