医師という仕事の、激務すぎてブラックな側面について調査したので分かったことを報告します。
医師の、ブラック職としての2つの側面
1「過労死ラインを超えるレベルの、長時間労働」
厚生労働省「医師の働き方改革に関する検討会 報告書(平成31年3月)」より
医師が長時間労働を強いられる背景には、日中のあわただしい通常業務に加えて、
- 当直(一ヶ月に3~4回はあり、病院に泊まり込んで救急患者の対応をする。
当直による徹夜明けをした後、そのまま1日の通常業務へ移行することが珍しくない) - 日直(一ヶ月に2回はあり、土日に病院へ出勤する)
- 待機(一ヶ月に5~6回はあり、帰宅後も電話連絡での呼び出しに備えていること)
などの特殊業務が医師の労働時間を引き延ばしてしまっています。
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過労死ラインとされる月80時間の労働(1日あたり12時間の労働)を軽く超えてしまっている医師もそれほど珍しくはありません。
2「業務上、精神への負荷も相当なものになる」
- 医師が必死に手を尽くしても、重病すぎたり傷が深すぎて患者が亡くなってしまうことが日常茶飯事
- 誤診や施術ミスは、たとえそれが小さなものであっても患者の容態の悪化や死、自身が起訴されることに直結するので、仕事で常に神経をすり減らす
- 医学生時代の勉強内容を何度も復習したり、最新の医学研究の成果も勉強し続ける必要があるため、医師の負担が余計に増すことになる
- 毎日相手にする患者達が、病気や怪我や精神疾患で苦しんでいる人達なので、患者達の負のオーラに医師達が感化されて精神的に参ってしまうことも多い
2006年、筑波大学の前野哲博教授らによる研修医達を対象にした調査で、
調査対象の25.2%という大きな割合が「抑うつ状態(睡眠障害や気分の落ち込み)」を呈していることが判明しました。
しかし、そのことを理解していない遺族が医師を起訴することが頻発しています。
参考:診療科による激務度の差
最悪級の激務度
「小児科(体力や、病原菌への抵抗力が低い子どもの患者は容態が急変しやすい&親がささいなことでも子どもを病院に連れてくるので休む暇がない)」
「産婦人科(慢性的な医師の人手不足状態)」
「脳神経外科(脳梗塞などの急患の場合は一分一秒の対処差が患者の生死を分ける)」
「救急科医(大怪我人や瀕死の重体の患者達が次々と運ばれてくるので責任と緊張度が重すぎる)」
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医師業界では平均的な激務度
(過労死もありえるレベルで、各種ストレスによるうつ病の発症確率もかなり高い)
「外科」「内科」「消化器科」「精神科」「循環器科」「神経内科」
激務度がそれほど高くない
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「整形外科」「眼科」「皮膚科」
日本の医師達がブラック労働環境下で働かされる理由
医師達がブラック労働環境下で働かされる理由
- 医師の数が、根本的に不足しているから
(日本では、OECD加盟国の中で、人口1000人あたりの医師数は最下位のトルコと同水準) - 「当直(病院に泊まり込んで救急患者の対応をすること)」の業務が定期的にあるせいで、医師の勤務時間が大幅に引き延ばされるから
- その医師が担当している患者達の容態が不安定だったり容態が急変することが頻発し、そのせいで病院に夜遅くまで残り続ける必要があるから
- 特定の診療科は医師達から不人気なせいでいちじるしい人手不足におちいっていて、自身がその診療科に所属していると人手不足で自分に大きな負荷がかかるから
(「産婦人科」「小児科」「外科」は、業務内容がとりわけ責任重大なことや訴訟リスクが高すぎることから、多くの医師が倦厭している) - 患者から対面で、医療内容についてのクレームをつけられたり駄々をこねられたりして、医師の業務は「接客業のマイナスの側面」をもっているから
勤務医の高給は、必ずしも激務に見合っているとは限らない
約1230万円(月収95万円相当であり、ここへさらに賞与が加わる)
厚生労働省が2017年に発表した「賃金構造基本統計調査」より
本記事でこれまで解説してきた通り、
勤務医は
- せっかくの月収100万円前後という状況でも、そもそもお金を使う暇がろくにないほどの激務
- 激務のせいで身体や精神を壊すリスクがかなり大きい
- 患者の家族や、患者の遺族の「この医師が医療ミスをしたせいでこんなことになった」という誤解による訴訟を起こされる可能性がそれなりにある
- 学会への出席業務
- 定期的に行われるカンファレンス(医師を含む医療従事者達が、治療方針の検討などをする会議のこと)のための資料の作成と、カンファレンスへの出席業務
- 医学分野は日進月歩という特徴があるため、開発された新薬や、研究によって得られた最新の知見や技術について日々学習を重ねること
などなど、業務上で高いリスクや心身への負担を負っている、非常に過酷な仕事です。
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月収が約100万円という状況は非常に魅力的ですが、上記のような負荷が大きい業務や責任の重さを鑑みると、
「この給与額は、決してもらいすぎとは言えない」あるいは「医師の仕事量と仕事内容は、給与額よりも重すぎる」
という評価におのずと落ち着くでしょう。
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