法的に直接はリストラできないので、様々な嫌がらせをして自主退職へと追い込む「追い出し部屋」の存在について調査したので分かったことを報告します。
「追い出し部屋」の特徴
- 社内に存在する「追い出し部屋」では、仕事がいっさい与えられなかったり、続けるのがうんざりするようなやりがいの無い単純作業しか割り当てられない
- もしくは、異常な激務を割り当てて、社員が壊れる・もうこんな苦しい仕事は辞めたい思わせるように仕向けるパターンもある
- 追い出し部屋へと追放される社員は「戦力外となった社員」「会社が募集している希望退職人数を満たすために、選出された社員」など
- 追い出し部屋へ追放することで社員に会社を辞めてもらう目的は
「会社都合退職(会社側の金銭的負担が大きい)ではなく、自己都合退職(会社側の金銭的負担が小さい)で辞めてもらうように、社員を追い込むため」
「追い出し部屋」の実例
まともな仕事をさせない系
- 会社から与えられる仕事は「転職先を見つけること」で、就職活動のレポートを定期的に提出させられる
- 「他の部署で人手が足りなくなった時のための応援要員」という名目で、常にずっと待機させられたまま何もさせてもらえない
- その他、ひたすら書類をコピーし続ける・箱に物を詰め続けるだけの作業など、社内で活躍している同僚達と比較してあまりにもみじめな作業をずっとさせられる
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子会社へ出向系
- 倒産間近で死に体になっている子会社のところへ出向させ、予定通りに倒産すると、出向させた社員も会社を辞めさせられる
とことん追い込む系
- それまでの前例ではとうてい達成できない異常なノルマ量を与え、当然ながらノルマ未達が続くので、評価を下げ続けたり、上司が詰め続ける
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給与額を下げる系
- 「在宅勤務」という形にさせて、社会保険も会社に負担してもらえず、収入が激減する
- 週に3日くらいしか出勤できないように勤務スケジュールを調整され、そのせいで収入が激減する
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追い出し部屋へ追放するのは「自己都合退職」にさせる為
転職・病気療養・結婚・出産など、労働者側の都合で会社を辞めること。会社側の経済的負担は小さい。
会社の倒産・会社からの一方的な解雇・会社から命じられた不本意な転勤・職場でのセクハラ被害などの理由で退職する場合は「会社都合退職」となる。
労働者が会社都合退職をすると、会社側にはデメリットが多い。
- 会社都合退職の場合、「解雇予告手当」を労働者へ支払わなければならない
- 会社都合退職の場合、労働者から民事訴訟を起こされるリスクが高い
- 会社都合退職の場合、「あの会社は自分たちの都合で労働者を切り捨てている」と悪評が広まり、取引先や融資を受けている銀行からの印象が悪化するリスクが高い
- 会社都合退職の場合、会社が助成金を受け取れなくなる事態になる場合がある(助成金の受け取り条件は、過去1年間に会社都合での解雇が無いこと、といった条件がある)
以上のように、労働者を会社都合退職させてしまうと、会社側は大きなリスク・面倒事を抱え込むことになってしまいます。
なので、解雇したい会社員を追い出し部屋へと追放し、合法の範囲内でありとあらゆる嫌がらせをして、「会社に辞めさせられたのではなく、労働者が自分で辞めた」という自己都合退職へと持って行こうとします。
後味の悪すぎる追い出し部屋話「なんにもしない課」
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藤子不二雄A作品「なんにもしない課」
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ある日、主人公のサラリーマン・天野に調査課への辞令が下る。
調査課は社内では姥捨て山や番外地などと呼ばれ、今でいう窓際族の吹き溜まりだった。
幹部が起こした仕事のミスの皺寄せが末端担当だった天野に来てしまったのが理由だという。
せっかく今まで営業として活躍してきたのに…と憤慨する天野だが、既に辞令は下っている為覆す事は出来なかった。
翌日、天野は調査課へと向かった。
課長の田所は挨拶を済ませるや否や「それじゃあ私は失礼して一眠りしますから」と居眠りを始めてしまった。
天野が慌てて田所を起こそうとすると、細井という男が
「課長は居眠りを邪魔されるのを嫌がるんですよ」と天野を止めて席へ案内した。
始業ベルが室内に鳴り響くと、細井は「さぁ仕事だ!仕事だ!」と新聞の記事でスクラップブックを作り始めた。
天野はそれを会社の資料作成だと思い手伝おうとするが、細井は
「これは私が勝手に暇潰しでやっているんです。何もしなくていいです」と手伝いを拒否した。
細井曰く、
「この調査課では会社の仕事は何もしなくていいし自分のやりたい事は何をやってもいいんです。
責任ある事は何一つしないで給料を貰えるんですよ」と言う。
居眠りをする者、売れない小説を書く者、読書をする者、編み物をする者、
酒を煽る者、麻雀をする者…調査課の人間はそれぞれの方法で暇を潰していた。
天野は暇潰しの方法が見つけられず居ても立ってもいられなくなり、営業課を覗きに行こうとする。
だが細井から「勤務時間中はトイレ以外でこの部屋から出てはいけない規則があるんです。
第一…行ったところで誰も相手にしてくれませんよ」と言われ、渋々席に座り直す。
やがて終業ベルがなり、細井が天野に
「ここは残業が無くて定時で帰れますから奥さんが喜びますよ」と話し掛けると天野は細井の暢気さに激昂した。
「人間を終日部屋に閉じ込めて飼い殺しにするなんて事が許されていいと思ってるのか!?」
しかし細井は天野を無視してさっさと帰ってしまった。その後、課内で酒を煽っていた社員が天野を酒場へ誘った。
酒場に着くと、天野はその社員から細井が何故調査課に来たのかを聞いてみた。
「あの人、組合の執行委員長(※労働者の待遇改善を訴える団体の代表者、会社経営者に邪魔者と見なされる)に担ぎ出されちゃったんですよ。なかなかの正義漢だし融通も利かないもんで
真正面から会社とやりあったらしいんです。そのせいで調査課に10年間もいるんです」
「でも最近細井さんご機嫌なんですよ。この会社じゃあ何かめでたい事があったら、
調査課から1人か2人マトモな課に転属できる特赦があって、それが細井さんに下るんじゃないかって…」
数日後、調査課に特赦が下る。だが特赦が与えられたのは課長の田所だった。細井は調査課課長に昇進してしまった。
その日の夜、天野が読んでいた夕刊に細井の写真が載っていた。「調査課課長・謎の自殺」という見出しと共に。
翌日出勤した天野は、引き出しから新聞の記事とハサミを取り出しスクラップブックを作り始めた。
「俺は死ぬもんか…一生この会社にへばりついてやる…!」
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