自己を確立できずに、周囲の人間(特に恋人)を徹底的に振り回す「メンヘラ」は、変わった性格の一種と受け取られがちですが、精神医学の観点からは「境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害、とも表現される)」に分類されるようです。
医学的見地からのメンヘラ=境界性人格障害という事実を調査したので、分かったことを報告します。
境界性人格障害の原因を知ることで、なぜ少年少女がメンヘラとなるのかの経緯を正確に知ることができるようになります。
メンヘラの特徴と境界性人格障害の特徴がほぼ合致する
- 相手を振り回して、自分を見捨てないかを試し続ける
- わざと嫌われる行為をして相手が嫌悪感を示すと「ほら、やっぱり見捨てた!」などと言って相手を試す
- 相手からの愛情を独占したい、という欲求が強い
- 相手に見捨てられることへの恐怖・不安が非常に強い
- だっこをねだるなど、3、4歳の幼児のような愛情表現を求める
- 相手が自分を見捨てるかも・嫌っているかもという猜疑心から攻撃的言動をとる
- 自己主張が強い
- 自己主張が強い一方で、甘えの気持ちも強い
- 他人との関係が「好き」か「嫌い」かの両極端なものにしかできず適切な距離をとることができない
- 虚言が多い
- 感情の起伏が激しく(キレたり沈んだりと、数時間から1日~2日で気分が入れ替わる)、自分で感情の上下をコントロールできない
- 価値観や人生観が安定せずにころころ変わる
- 他者を理想視していたかと思えば急にこきおろして攻撃性を向けるなど、他者への評価が不安定
恋人を徹底的に振り回し、「自分を愛しているか」をあれこれ試すメンヘラの行為が、境界性人格障害の症状とほぼ一致しています。
境界性人格障害の原因
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幼少時の家庭環境
1歳~3歳くらいまでの幼児期に、両親から児童虐待を受けたり、育児放棄をされて、十分な愛情を注がれずに育ってしまうと、心の中に欠損が生じて、10代後半あたりから境界性人格障害の症状を呈するとされている。
身体的原因
境界性人格障害を抱えている者は、心に安心感をもたらす神経伝達物質「セロトニン」を介して働く機能が低下しているので、強い不安・恐怖・不安定感を引き起こすとされている。
また、衝動性が強い・過敏な感覚をもつなど、境界性人格障害の気質を生まれつき持っているという原因パターンも多い。
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幼少時に母親から愛され、承認された体験が少ないせいで、自己のアイデンティティーが確立しないまま育ち、それに加えてセロトニンの機能不全のせいで孤独や不安に耐えられないので、他者に依存したり、自殺未遂・手首を切るなどの行為で他者の関心を自分へ向けさせて関係をつなぎ止めようとする、
というのが境界性人格障害の仕組みだと考えられています。
「人格障害」と「メンヘラ」の意味の違い
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その人本来の生まれ持った性格が、大多数の人達のそれとは異なるために、社会生活で自分が困難に遭ったり、周囲を困らせてしまうことが「人格障害」。
人格障害を抱えている者は、生まれつき、物の捉え方・考え方、衝動性、対人関係の構築の仕方がかたよっている。
「メンヘラ」という語句はネット上のスラングで、かつては、2ちゃんねるの「メンタルヘルス板」に常駐している人達を指してメンヘラと呼んでいた。(メンタルヘルスは「精神衛生」の意味)
現在では、「うつ病・パニック障害・統合失調症のような精神疾患を抱えていて、心療内科に通院中の人」がメンヘラと定義されている。
ネット上でメンヘラという言葉が使われる場合、「相手を徹底的に振り回して、しかも自分の身体を傷つけて関心を引こうとする、超かまってちゃん」を指すことが非常に多く、「境界性人格障害を抱えた人」をメンヘラと呼んでいることがほとんどです。
「人格障害」は、その人の生まれ持った性格・気質に起因する症状なので治すことが困難で、精神科医とのカウンセリングを通して、長い時間をかけて物事の認知の仕方を変えていくことで症状を緩和していくことを目指します。
うつ病や統合失調症のような「メンヘラ」も、精神疾患がもつ性質上完治は困難ですが、薬剤によって症状を抑えることができるので、精神科医とのカウンセリング・投薬治療・休養を続けることで寛解(かんかい、病状が見た目上はおさまった状態)へ持って行くことが可能です。
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