「ネズミを孤独な環境に置くと、モルヒネ(麻薬)に依存するようになる」という実験の、
『ラットパーク実験』の内容・実験結果を解説します。
『ラットパーク実験』の概要と、実験結果
本実験の条件
「楽園ネズミ」のグループの条件
- 「モルヒネ」を含む水を自由に飲めるようになっている
- 上記に加えて、「モルヒネが入っていない、普通の水」も自由に飲めるようになっていて、ネズミは2種類の水のうちのどちらでも自由に選択できるようになっている
- 「広い空間の中に複数のネズミ(16-20匹の雌雄のネズミ)が居る」という環境
- ネズミが遊んだり隠れたりするための「箱」「缶(かん)」などの小道具が、ケージ内に設置されている
「植民地ネズミ」のグループの条件
- 「モルヒネ」を含む水を自由に飲めるようになっている
- 上記に加えて、「モルヒネが入っていない、普通の水」も自由に飲めるようになっていて、ネズミは2種類の水のうちのどちらでも自由に選択できるようになっている
- 「通常の広さの実験ケージの中に、ネズミが1匹だけ」という環境
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実験結果
「楽園ネズミ」のグループは、モルヒネ水を飲もうとしなかった
- 他のネズミ達と「じゃれ合う」「オスとメスが交尾する」などの行為を繰り返すだけで、自由に飲めるはずのモルヒネ水はほとんど飲もうとしなかった
「植民地ネズミ」のグループは、明らかにモルヒネ水に依存していた
- 2種類のうちの水のうち、モルヒネ水の方を好んで飲むことが確認され、モルヒネの効果で一日中酩酊し続けるネズミが多かった
- 上記のようにモルヒネに依存するようになった植民地ネズミを、「楽園ネズミ(16-20匹の雌雄のネズミが居る)」のグループへ移動させてみると、
移動直後は禁断症状(慢性中毒状態となった者が、その摂取の中断によって起こす精神的・身体的症状)のせいでけいれんが確認されたものの、普通の水を飲むようになり、行動スタイルが変化した
- 上記のようにモルヒネに依存するようになった植民地ネズミを、「楽園ネズミ(16-20匹の雌雄のネズミが居る)」のグループへ移動させてみると、
薬物依存症は「孤独」が原因である可能性が高い
「孤独」「状況によって生じる精神的な辛さ」が薬物依存症を招く可能性が高い
- 麻薬・覚せい剤などの薬物に依存する原因は、
「他者達との関係が断絶した、孤独な状況・環境」に置かれることだと、『ラットパーク実験』の実験結果が示唆している
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その人自身の生まれつきの資質よりも、その人を取り巻く環境に注意するべき
- その人が薬物依存症になる原因は、その人自身の「意志の弱さ」「快楽を好む性格」などが原因だと一般に思われやすい
- 『ラットパーク実験』の実験結果で、「孤独」「その人が置かれた状況によって生じる精神的な辛さ」が薬物依存へ走らせるという因果関係が示唆されたため、
「その人を取り巻く、悪い環境(孤独な環境など)」の防止&改善に努めた方が、薬物依存症問題を解決しやすい
- 『ラットパーク実験』の実験結果で、「孤独」「その人が置かれた状況によって生じる精神的な辛さ」が薬物依存へ走らせるという因果関係が示唆されたため、
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