新しいダイエット理論やダイエット本が次々と発表され、流行していくのが世の常ですが、生化学的視点で「なぜ太るのか?」という肥満のメカニズムを正しく理解していないと、その時々のインチキダイエット法に騙されても気づかない、という事態に陥ります。
細胞レベルでの太る・痩せるメカニズムを調査したので、分かったことを報告します。
肥満は余剰エネルギーが脂肪細胞に取り込まれる事が原因
- 炭水化物のような「糖質」を含む食べ物を摂取する↓
- 必要なエネルギー以上の、余剰の糖質(ブドウ糖)が肝臓において遊離脂肪酸(脂肪細胞の中に蓄えられていた中性脂肪が分解されて血液中へ放出されたもの)と結合し、「中性脂肪」になる↓
- 中性脂肪という体内保存に適した形になった脂肪が、体内の脂肪細胞の中へ蓄えられる
摂取した食べ物に含まれる「タンパク質」は、摂取後にアミノ酸へ分解され、アミノ酸が糖質となって肝臓内で中性脂肪へと合成されます。しかし、アミノ酸は臓器や筋肉の新陳代謝や傷の補修に優先して使われるので、中性脂肪になる割合は糖質のそれよりもだいぶ低いです。
摂取した食べ物に含まれる「脂質」は、リパーゼという酵素によって「脂肪酸」と「グリセリン」へと分解され、小腸で吸収されて、小腸壁で中性脂肪へと合成されて、血液に乗って全身へと運ばれて脂肪細胞の中へと蓄えられます。
2種類の「脂肪細胞」の特徴
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脂肪細胞には「白色脂肪細胞」と「褐色脂肪細胞」の2種類があります。
- エネルギー用として、中性脂肪を細胞内に貯蔵する
- 白色脂肪細胞が多い部位は下腹部・太もも・腕の上部・お尻・背中・内臓の周り
- 過剰な栄養摂取によってすでにある白色脂肪細胞の容量がいっぱいになると、成人後でも白色脂肪細胞は増殖してさらに中性脂肪を体内に蓄積してしまう
- 肥満状態の人は、痩せている人よりも、白色脂肪細胞の数が多いという特徴をもつ
- 脂肪を燃焼して熱を生み出す働きをする
- 褐色脂肪細胞は、首の後ろ・肩甲骨の周辺・わき・心臓や腎臓のまわりなどに分布し、存在する部位が白色脂肪細胞よりもかなり少ない
- 褐色脂肪細胞は生まれた時点で最も数が多く、加齢によって細胞の数が減少し、40歳以降になると激減してしまう
- 脂肪を燃焼する褐色脂肪細胞の数が減ってしまうことが、年を取ると代謝が低下して中年太りを誘発する理由ではないかと考えられている
以上の解説を踏まえた、太る仕組みの再確認
「摂取する栄養量」>「消費するエネルギー量」
高カロリー食品や、高脂質の食品ばかりを食べ続け、しかも、ろくに運動をせずに消費するエネルギー量が少ないと、体内で消費されることなく余っている糖質・アミノ酸・脂質が中性脂肪として白色脂肪細胞へ取り込まれ続けて太っていきます。
甘い物ばかり食べていて、常に高血糖状態にある
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甘い物を食べて血糖値が上がると、「インシュリン」というホルモンの分泌が促され、インシュリンの働きで体内で余っているブドウ糖が中性脂肪として脂肪細胞の中へと取り込まれます。
常に高血糖状態だと、常にインシュリンが活性化していて、食べたもののブドウ糖が次から次へと脂肪細胞へと蓄えられ、太り続けてしまいます。
いったん太ると白色脂肪細胞の数が増えて痩せにくくなる
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成人後でも、摂取エネルギーが過剰だとそれを中性脂肪として体内へ貯蔵しておくために、白色脂肪細胞の数が増加してしまいます。
白色脂肪細胞の数が増えると、体内の中性脂肪の貯蔵限界量が上がってしまうので、体内に容易に大量の中性脂肪が貯まるようになり、ますます痩せにくくなってしまいます。
脂肪細胞に蓄えられた脂肪を何とかして減らす方法
- ジョギング・ウォーキング・水泳のような「有酸素運動」を「30分以上」行う↓
- 30分以上有酸素運動を続けた事で、体内に一時的に蓄えられていた糖分が使い切られる↓
- リパーゼ(脂肪を分解する酵素)の働きが活性化する↓
- リパーゼの作用により、脂肪細胞中に蓄えられていた中性脂肪が分解され、「遊離脂肪酸」と「グリセロール」になる↓
- 全身の筋肉で、「遊離脂肪酸」がエネルギー源として消費されていく。「グリセロール」は肝臓で代謝されてブドウ糖になり、エネルギー源として消費されていく。
体内に蓄えられていた中性脂肪を分解するためのダイエットの本番は、有酸素運動を始めてから30分後です。
30分未満の運動は、体内の糖分が消費されるだけで中性脂肪は減りません。30分以降の運動は中性脂肪をどんどん分解してエネルギー源として消費していくので、体内の中性脂肪の総量が少しずつ減少してゆき、痩せていきます。
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