日本の労働環境が、これほどまでに個人に負担をかける構造になっている原因が、日本人がもつ気質と日本独特の文化から生じていることについて解説します。
日本のブラック労働の根源は「苦労の賛美と楽への拒絶」
まず、日本社会で
- 作業内容を改善して効率を上げ、労働時間を減らすことに成功した
- 人一倍、汗を流してがんばって働いた
のどちらが賛美されるかといえば、後者の「人一倍、汗を流してがんばって働いた」の方だ。
日本社会では、アメリカに代表される徹底した成果主義と比較して、結果よりも過程の方が重視される傾向がある。
そして、上記のような「苦労の賛美」が起こる原因に「楽への拒絶」がある。もはや、楽をすることに対する精神的アレルギーといっても良いかもしれない。
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精神の根底に「楽への拒絶感」があり、そこから表面上の「苦労の賛美」という文化が生まれてくる。
それでは「楽への拒絶感」が生じる原因とは?
「恐怖遺伝子」のせいで日本人は原則的に悲観主義
恐怖遺伝子(正式名称をセロトニントランスポーターSS型)を日本人の97%が保有しているとされ、
恐怖遺伝子は、「安心感をもたらす神経伝達物質・セロトニン」の作用を阻害して不安や恐怖心を引き起こしやすくする。
日本人のほとんど全員が恐怖遺伝子をもっていて、日本人は原則的にネガティブで悲観的だということだ。ネガティブで悲観的が通常状態ということの裏を返せば、苦渋や忍耐に安心感を覚え、それらの負荷が無い「楽な状態」に不安を覚える。
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日本特有の「強力な同調圧力」のせいで相互監視状態
「楽への拒絶」に支配された人達がいるだけならまだマシだが、日本では不運な事に「異常に同調圧力が強い」という文化がある。
そのせいで、「楽への拒絶」に支配された人達同士が同調圧力によって監視し合い、おのずとブラック労働環境が形成・維持されてしまうようになる。
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日本でブラック企業が生まれ続ける3つの環境的原因
1.「お客様は神様」という過剰サービス
日本人による接客サービスのレベルは世界最高峰。そしてそれはつまり、サービスをする側の多大な苦労によってようやく実現できているということ。
日本へ観光にやってきた外国人達が驚嘆する「日本ならではの懇切丁寧サービス」も、生まれついての日本人にとっては当たり前のこと。サービスをする日本人も、サービスされる日本人も、双方が「お客様は神様」の精神で行動するので、過剰サービス・過剰労働という形で日本の労働者が苦しんでいく。
2.「体育会系の上司・上層部」による精神論
運動系の部活・サークルを続けていた人達を指す「体育会系」は、
- 「辛い状況に弱音を吐くこと」自体が甘えだと考えている
- 先輩からのしごきと叱咤は無抵抗に受け入れる&先輩の教えと言葉は絶対
- 声の掛け合いによるコミュニケーションが得意
- 体力に秀でているので長時間労働も平気
- 以上のことから、学生の時点ですでに「社畜」としての下地が整っている
このような特性をもち、日本の労働環境と極めて相性が良い。それゆえに、新卒の採用では体育会系の学生が優先的に会社に迎え入れられ、その後に出世した体育会系社員が上司として精神論を振りかざすようになったり、仲間である体育会系の学生を採用するようになる。この連鎖のせいで、日本企業は体育会系の呪縛から抜け出しにくい。
3.個人の力に頼りすぎ
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勤勉・勤労な性質をもつ日本人は、個人としては労働価値がとても高い。職場で窃盗をしたり無断欠勤することもほとんど無いので、上層部が「個人の力」に期待しすぎるせいで個人の負担が激増する。
その点、海外の労働者は、日本人と比較すれば職務に不真面目な傾向が見られるので、上層部が成果主義の導入ような効率化を図り、上からしっかり統率していく必要がある。
なまじ日本人が働き者であるばかりに、日本人は非効率的で個人の負担が大きすぎる環境で働かされ、欧米では効率的な労働環境で働けるという皮肉な現実がある。
日本人の悲劇は、「遺伝子レベルでネガティブ・悲観的」×「劣悪な労働環境」という組み合わせで、辛さが通常以上に増幅されてしまい、平均的なサラリーマンは甚大な苦痛に悩まされ続けるところ。
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日本という国のいいところ・わるいところ
いいところ
- 治安の良さは世界最高クラス。夜、手ぶらでのん気に出歩ける国はそうそう無い
- 食べ物がとてもおいしい
- 売られている製品が基本的に「メイドインジャパン」なので高品質
- 島国ということで歴史と文化の独自性が高い
- 生活のセーフティー・ネットが優れているので底辺へ落ちても生き延びられる
わるいところ
- 同調圧力が強いので、個性的な人にとっては地獄
- 労働環境は世界最低に近い
- 政治から個人に至るまで日本全体が「決断力」に欠ける。果断な人には生きづらい環境
- 人生哲学が希薄すぎるので勉強と労働をするだけで人生を空費して終わる人が大部分
「お客様」として生きるのなら日本は最高級の環境。
「平均的な労働者」として生きるのなら日本は地獄に近い環境。
それをわきまえた上で、自身の利益が最大化するように工夫して人生を設計するのを推奨。
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